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【わっか】突撃お誕生日

2018/05/25 Fri 23:14

病院の待ち時間があまりにも長く暇だったのと。
ふと、ひさっちのところのお子さんのお誕生日だったなーと思いだしたのと。

そんなわけでざっくりした小ネタを投下。
わっか日和より。樹とさっちゃん師匠。

わっか日和については【こちら】。





*****


 パァン、と空気が弾けた。
 パン、パン、パァンッ。

「……えっと?」

 高宮幸子は、呆然とその場に立ち尽くした。
 ――ここは、自分の家のエントランスだ。まだ入り口、玄関。
 今は一応近所の人もいないようだが、まだ夕焼けにも早い時間、人目があってもおかしくない。
 そんな場所でクラッカーを手に、ぴんぴかりんな笑顔を浮かべているのは――。

「ししょー! おたんじょーびおめでとーなのデス!」
「ぴょこ」
「ぴょこじゃないのだよ!」

 「ぴょこ」こと日高樹。成り行きで幸子の弟子になった少女だった。
 彼女はクラッカーごと手をぶんぶんと振り回して抗議する。元気いっぱいだ。全身360度。

「つーか、何だよこれ」
「ししょーが誕生日って聞いたのデス! だからね、お祝いしたいなと思って! 誕生日にはコレなのだよ!」

 パン、と残っていたクラッカーが弾ける。
 幸子はため息をついた。

「気持ちは嬉しいけど、何だってこんなとこで」
「う……勝手にししょーのお部屋に入ることはできないし……でもやっぱり、こういうのはインパクトが大事だと思って」
「インパクト」
「つかみが大事って言うよね!」
「ぴょこは何を目指してんだ……?」

 ふんすふんす、と謎のやる気を見せてくる樹。
 そこに悪気は感じ取れない。純度100パーセントの善意だ。恐ろしいことに。

「とはいっても、20超えると誕生日もそこまで大きなイベントには感じないけどな」
「何を言うのだよ! ししょーの誕生日だよ! 生誕祭なのデス! お祭りなのデス!」
「ぷっ……それでクラッカーかよ」
「あっ。ちゃんとホウキとチリトリも持ってきたから、お掃除はちゃんとするよ!」
「ぶはっ……」

 鞄から本当にホウキとチリトリを取り出した樹。
 幸子は思わず吹き出した。必死すぎる。そして用意周到すぎる。そこまでしてクラッカーにこだわらなくても。
 浮かんできた涙をぬぐい、幸子は彼女の肩に手を置いた。

「じゃあ、それ片付けたら中に入ろうぜ。オレンジジュースくらいならまだ残ってたはずだし」
「わーい! さっちゃんししょーのお部屋! ……ハッ。って違うのだよ! 今日はししょーのお誕生日なんだからね! いつきがおごるのデス!」
「へー? 何おごってくれんだ?」
「あのねあのね! くろにゃんみたいなケーキを作ってるお店を発見したのだよー! ししょーも絶対喜ぶのデス!」
「そいつは楽しみだ」

 どこまでも元気すぎる弟子に笑いをこらえながら、幸子は彼女を部屋に招き入れた。
 ――こんな誕生日も、まあ、たまにはいいのかもしれない。


*****


他の方からもわちゃわちゃ祝われているのかもしれませんが。
まあどこかの空いている時間に樹は上手いこと突撃したのでしょう(ふんわり設定)
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