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07. 一日分の報告会だね

2018/01/31 Wed 21:29

ツイッターでお世話になっている方との小話を書きたいなと思いまして。
お題にレッツトライアル。

書けそうなものから順不同に。随時書いていきます。


お題サイト:Kiss To Cry


午睡七題
 綺麗なものほど、目には見えないよ

01. 穏やかな空気を持つひと
02. 前髪を梳くしぐさ
03. 嬉しそうな顔が見たいから
04. 駄目じゃないよ
05. とりわけ大切な理由
06. 重ねてきた手
07. 一日分の報告会だね


*****


 犬飼賢人とはひょんなことから知り合った。
 本当の本当にひょんなことというか、お互いに運の悪いことにというか――ともかく知り合った。さらに秋竹有人という共通の知り合いもいたことから、自然に交流を続けることになった。
 秀には他にも知り合いはいるが、やはり同い年というのは特有の気安さがある。
 気安ければそれだけ色々と吐き出すことも多いもので。

「秀!」
「おー」

 日はすっかり落ち、仕事帰りやすでに飲んで次の店に行く人たちで溢れている頃。
 改札に立っていた秀の元へ賢人が駆けてきた。パタパタと走ってくる様は、なんというか、犬っぽい。秀は彼に「犬っぽい」と言われたことがあるが、どちらかというと彼の方だろうと思う。何せ名前もだし、彼の一番好きな動物もだし、仕事だって犬絡み――犬まみれの犬マニアだ。良い意味で。

「待ちました?」
「んにゃー。三時間ほど」
「嘘言うのやめてもらえますー?」
「あっはっは。でも実際、思ったより遅かったな?」
「聞いてくださいよー。変なのに声かけられて」
「ナンパ?」
「くそですよね」
「あはー」

 賢人は声や筋肉はしっかり男だが、見た目は可愛らしいタイプだ。着やせもするのだろう。背も秀より低い。パッと見は、もしかしたら迷ってしまう人もいるかもしれない。
 どちらに同情してやればいいのか悩んだまま、秀はその答えを放り投げた。代わりに笑う。

「お疲れちゃん。飴ちゃんいる?」
「……何味です?」
「メロンソーダとはちみつー」
「もらいますー」
「はいよー」

 差し出された彼の手にちょこんと飴を乗せてやる。
 そんなゆるゆるとしたやり取りは毎度のことだ。

「ていうか、聞いてくださいよ」
「聞く聞く。そんでオレの話も聞いて」
「また小言言われたんでしたっけー?」
「そー。いや悪い人じゃねーんすよ? 言ってることはちょっと理不尽だケド完全に嫌がらせってワケでもなくってさ? でもちょっと、ちょーっと、なぁ?」
「脳天気そうな秀にも色々あるんですねー」
「うははひっでぇ」
「ボクの方だって全部が駄目って言ってるんじゃなくて。犬はいいんですよ犬は。でも人間の方はちょっと色々問題ありすぎっていうか」
「あ、待ってストップ」

 お互いにわーっと勢いで話しかける。そのことに気づいて秀は彼の前に手をかざした。ハッ、と気づいた賢人も口をつぐむ。
 ヘラリ。笑う。

「腹が減っては戦はできぬってゆーし?」
「戦するんですか」
「似たようなもんだろ。まずは腹ごしらえ!」
「まあ、賛成ですよ。永塩さんのお店が近くなんですっけー?」
「そそ。連絡もしてっからたくさん食おうぜ!」
「嫌でもたくさん食べさせられるんじゃないですか?」
「うはは言えてる」

 言いながらケタケタと笑い合う。

 気安さが先立ち、色々と話すことも増えた。普段なら押し隠してしまうような小さな愚痴、下手すると自慢に取られてしまうような話など。それから心底どうでもいい話もまた。
 お互いに聞いているのか聞いていないのか、好き勝手に話すことも多いが、案外ストレス発散になるものだ。
 そんなわけで、こうして二人は時折飲みに行く。贅沢に無駄な時間を堪能するべく。

「永塩さん、何用意してくれてますかねー?」
「リクエストしようぜ。何食う?」
「イタリアンで」
「いやそこはフレンチだろ」
「よそ行けって怒られますねー」
「オレもうお茶漬けでもいいわーおなかすいたー」
「犬の餌なら持ってますよ」
「いらないな!?」

 バカみたいな話をバカみたいに笑いながら。
 二人は並んで歩き出した。


一日分の報告会だね
 「それで犬がですね!」「本当に犬好きなのな?」「犬だけいればいいと思います」「うはは過激派」

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