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05. とりわけ大切な理由

2018/01/31 Wed 21:22

ツイッターでお世話になっている方との小話を書きたいなと思いまして。
お題にレッツトライアル。

書けそうなものから順不同に。随時書いていきます。


お題サイト:Kiss To Cry


午睡七題
 綺麗なものほど、目には見えないよ

01. 穏やかな空気を持つひと
02. 前髪を梳くしぐさ
03. 嬉しそうな顔が見たいから
04. 駄目じゃないよ
05. とりわけ大切な理由
06. 重ねてきた手
07. 一日分の報告会だね


*****


 綾野ヴェラと綾野沙羅――綾野夫妻の家に、有馬秀と眞山詩麻は招かれた。
 初めはヴェラとの他愛ない会話だったが、「良かったら妹さんもどうだ」と言われれば――秀がその誘いを断るはずもなく。

「お邪魔しまーす!」
「お邪魔します」

「よく来たな」
「初めまして。ヴェラさんがいつもお世話になっています」

 二人揃って中に入ると、ヴェラと沙羅が揃って出迎えてくれた。
 ふぉぉ、と秀は妙な声を上げる。なんというか。なんというか。ヴェラもハーフということで目立ち整った顔立ちをしているが、沙羅もまた、非常に雰囲気のある人だった。二人並んでいると、本当に夫婦のように見える。いや、実際に夫婦なのだけど。そうじゃなくて。空気がまるっとお似合いなのだ。きっと。

「いつも兄がお世話になっています」
「いえいえ。こちらこそヴェラさんがお世話になっています」
「良かったら、こちら……お口に合えばいいのですが」
「まぁ。わざわざご丁寧に……ありがとうございます。さぁさぁ、上がってください」

 詩麻から手土産のクッキーを受け取った沙羅が微笑み、二人を招いてくれる。
 詩麻に続いて上がり込んだ秀は、ヴェラの元に近寄った。ススス。
 腕を組んで見守っていたヴェラが気づき、――うなずく。

「いいこだな」
「でしょう! さすがヴェラさんわかってますね!」
「シュウクン、妹連れてくるって言ってなかったか」
「え、だから妹ちゃんですよ。しまちゃんって言うんすケドね、ほんともーいい子で! お兄ちゃんとしてはかわいくて仕方ないって感じっすわ」
「あまり似てないから恋人かと思ったわ」
「いやいやいや」
「まあ、かわいいな」

 妹が褒められるのは、素直に嬉しい。でしょう、と秀もまたニコニコと返した。こればかりは自分も謙遜などしていられない。

「ヴェラさんの奥さんもステキっすよねー。沙羅さんでしたっけ。空気がめちゃんこあったけぇっつーか。かわいらしい人だし」
「だろ?」

 即座に返された言葉は、非常に得意げで。
 ドヤ顔と言ってもいいくらいで。

「……」
「……」

 がし。二人は密かに握手した。何かが通じ合った。多分。
 そんな二人を不思議そうに、しかし柔らかく、沙羅が見てくる。クスクスと笑いながら。

「ヴェラさん。確かこないだ、美味しい紅茶をもらいましたよね。せっかくなのでそれを淹れようかと……」
「ああ、いや。あなたは座っていてくれ。俺がやる」
「それくらいなら私が……」
「じゃあオレも手伝うんで! 沙羅さんはしまちゃんとおしゃべりしててください!」
「まぁ」
「ふふ、兄さんがそこまで言うなら。……沙羅さん、お相手してもらってもいいですか?」
「そんなかわいいお誘いをされてしまったら断れませんね」

 女性組が笑顔でリビングに向かう。そのリビングはお日様がぽかぽかしていて、本当に穏やかな空気だ。何だろう。癒される。見ているだけで。
 食器などを取り出しているヴェラに、秀は「いやあ」と特に意味のない声を発した。
 それでも彼がこちらを見たものだから、手伝うために並び、笑う。

「ヴェラさん、愛しちゃってますね!」
「それがどうした?」
「! ……いえいえ。ステキだなって思っただけっすよ!」

 本当にそう思うのだ。
 互いの間に流れる空気が、非常に温かで。お互いを想い合っていることが自然で、当たり前で。
 こんなにも居心地がいい。

「さて」
「ありがとうございます」

 紅茶を運んだヴェラと、それを受け取る沙羅。
 そんな些細なときの眼差しだって、こんなにも、お互いに。

 ――……。

(しまちゃん。スゲー居心地いいケド、あんま長居すっと、オレら、お邪魔すぎるわな)
(同感です)

「こそこそ話してどうした?」
「いいえ何もっ」
「ご兄妹で仲がよろしいんですね」
「沙羅さんたちには敵いませんよ?」


とりわけ大切な理由
 そんなものがいるかい?(おみそれしました)
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