完全身内用小話

ちょっとフォロワさんと盛り上がった二次創作。イフの話。
バッドエンドしか見えない。

(お互いに話してた内容の軽いまとめみたいなものなので前後のアレコレはすっ飛ばしてますです)
(完全身内用小話ですポーイ)


******

 直前、名前を呼ばれた。
 それ以外のことはあまり覚えていない。
 ただ、ひどく苦しそうに名前を呼ばれた――それだけは、妙に耳に残っていた。

 意識の浮上は非常に朦朧としたもので、有馬秀はぼんやりと目を開けた。見慣れない天井だ。平凡な自分の部屋でも、やたら白の多い職場のものでもない。
 どこだっけ。靄がかかったような思考を隅で働かせ、反射的に起きあがろうとし――チャリ、と奇っ怪な音が耳に入った。
 さらに、起き上がるために身体を支えようとした両手は自由に動かせない。

「……え?」

 疑問に思うより早く見下ろせば、手錠のようなもので封じられた両手と、鎖らしきものに繋がれている足。
 先ほどの軽い音はこれらから発せられたらしい。
 現実味のない光景に軽く手足を動かせば、やはり、連動して音が鳴る。
 生活感が一切感じられない部屋だった。物は最低限のものしかない。そのせいで自分が今いるベッドが妙に目立つ。

「起きましたか」

 訳も分からず困惑していると、感情の起伏が見当たらない、ぼうっとした声が聞こえてきた。
 その声になぜかギクリとし、視線を巡らせる。
 いつからそこに立っていたのか――ずっと、だったのかもしれない――秀の目の前には一人の青年の姿。

「龍星……」

 親友とまで言い合った太宰龍星の表情は暗い。暗いが、そこに蔓延る感情が読み切れない。あまりにも深く様々なものが押し込められ、潰されてしまったかのようだった。

 ――間違った。
 彼のその表情を見た途端、秀はその事実を悟った。
 自分は、間違えた。
 選択を間違えた。
 ――間違えさせてしまった。

「りゅうせ」
「逃がしませんよ」
「……」
「逃がしません」

 強い口調。
 状況から追いつめられているのは自分のはずなのに、何故か、彼の方がひどく追い込まれているようで。
 じわじわと後悔が苦みとなって込み上げる。
 ――そこまで追いつめたのは自分だ。
 親友とまで、言ってくれたのに。信じてくれたのに。
 それを裏切り、投げ出し、そして彼にここまでさせてしまったのは、紛れもなく自分だった。

「……龍星」
「何ですか」
「こっち来て」

 意外そうに目が見開かれる。こんな状況なのに、そのことに少しホッとした。

「何でですか」
「……逃げないから。暴れないから。おいで」
「……」

 しばらくの沈黙。
 辛抱強く待っていると、やがて、おずおずと彼が近づいてくる。自分に抵抗されると思っているのか、ひどく警戒した様子で。
 目の前まで来た彼は、自分とほとんど変わらない背丈のはずなのに――自分が見下ろされているはずなのに――やけに小さく見えた。
 軽く彼の手を引けば、つられるように腰が落ちる。
 ふわふわとした猫っ毛が秀の目の前にある。

「ごめんな」

 できるだけ優しく頭を撫でてやると、ビクリと彼の肩が跳ねた。しかしいつものように跳ねのける仕草は見られない。
 ――本当は、ぎゅっとしてやりたい。
 だけど封じられた両手では撫でてやるのが精一杯だ。
 それが悲しいほどにもどかしい。

「何でですか」
「……何ででも」
「……相変わらず変なことを言う人ですね」
「はは」

 そうかもしれない。
 こんな状況で普通に対話をしようという時点で自分はどこかおかしいのかもしれない。
 それでも、秀は龍星の頭を撫で続けた。小さな子供をあやすかのように。

「龍星」
「……」
「ばかだなあ」

 きっと大馬鹿なのは自分なのに、それでも秀は、拙く音を吐き出した。
 ばかだなあ。本当に。
 ――ばか、だなあ。

「……ご、めんなさい」

 大人しく撫でられていた彼から、震えた声が零れ出る。

「ごめんなさい」
「うん」
「ごめんなさい……っ」

 それしか知らない幼い子供のように同じ言葉を繰り返す彼の髪を、静かに梳く。
 いっそ泣いてしまえばいいのに。
 そうすれば少しでも、楽になるかもしれないのに。
 全て喉につかえて窒息する前に、心が溺れる前に、泣いてしまえばいいのに。
 それすらできない不器用な目の前の子供に、秀は目を伏せた。
 繋がれた鎖が、いやに冷たく、重苦しかった。


******

闇の腐女子魂が黙ってられなかった。
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おちゅかれサマー

太郎は見た!( ・`ω・´)

お元気そうで安心しました


闇の腐女子魂があるのなら
光の腐女子魂もあるのかもしれない

お疲れ様です!

キャアアアアアお恥ずかしいwww
腐っててごめんなさいましぃー!><

なかなかなろうには顔を出せていませんが、お元気しておりました。
腐ったりしつつ、創作もはっきりとしたアウトプットではないのですが、何らかの形でずっと触れております。
しかしなかなか上手くはいかずそういう意味でも腐ってましたww(ぬはは

光の腐女子魂もありますよ!
ただ、今はちょっと、睡眠中なだけで……
闇堕ちヒャッハーと闇の腐女子が暴れ回っているだけで……
だから安心(?)してくださいね!

コメント、ありがとうございました!

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あずさ

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二つ名:囁(アビス)
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