03 髪の伸びる人形

2016/08/07 Sun 17:44

いつもの探索者がホラーに遭遇したら、第三弾。

ここらで一旦休憩。
また余裕があれば再開するかもです。
需要? 知らんな。


幻想系, 選択式
怪談のお題
お題配布サイト:霜花落処

*****

 ドゥードゥーの喫茶店で眞山詩眞とお茶をしていた銀木優は、飛び込んできた友人――宝条院英介に目を丸くした。

「おっ。優としまちゃんか」
「宝条院さん。こんにちは」
「どうしたんです?」
「いやー、ここに来れば誰かいるかと思って……」

 言いながら優たちの席に腰を下ろした英介は、抱えていた箱をテーブルに置いた。
 こちらに気づいた従業員、セバスチャン・ド・ゴールドがお冷やを持ってきてくれる。
 彼は箱に目を向けると首を傾げた。

「それは……随分と年季が入っていますね」
「そうなんだよ」

 言いながら箱を開けると――中から出てきたのは、古めかしい日本人形。
 今にも動き出しそうな不気味さで、優は思わず一歩離れた。
 しかし、詩麻とセバスチャンは逆に前に出る。

「あら。これは……」
「なかなか……」
「髪が伸びるんだってよ」
「英介……どうしたんですか、こんなもの」
「実家の方に打ち捨てられてたみたいでよ。何とかしてくれって送られてきた」

 結構な無茶振りである。

「宙に写メ送ったらすげー怒られたわ」
「そりゃそうでしょうよ」
「でもどうすりゃいいかオレも当てがなくて、ここに来れば誰か知ってっかなーと。いざとなったら宮田に送るわ」
「わあ……」

 嫌がらせでしかない気がするが。
 平然と箱をばしばし叩いている英介は本当に怖くないのだろうか。
 優は若干の肌寒さを感じ腕をさすった。
 どこをどう見ても、この日本人形には負のオーラしか感じられない。
 人形だから感情なんてないはずなのに。

 そう思った刹那――パリンとコップが割れた。

「!?」
「大丈夫か?」
「ええ、まあ、私は……しまちゃんは? 大丈夫です?」
「はい」
「片付けなければいけませんね」

 セバスチャンが颯爽と動いて割れた破片を片付ける。
 その間、優は思わず人形に目を向けた。
 あんな前触れもなくコップが割れるだなんて、そんな――。

「……あっ……髪の毛が……!」
「お? どうした?」
「伸びてますよ!」
「え? ……そっか? こんなもんじゃなかったか?」
「ニブチンですか英介! 桜にそんなこと言ったら殺されますよ!」
「さすがに桜が髪変わったら分かるって!」
「ふふ、恋人と仲が良いんですね」
「いやぁ……」
「英介! 照れてる場合じゃなくて……!」

 そう言っている間にも、もう一つのコップにもヒビが――。

「失礼しますね」

 ひょい、とセバスチャンが人形を持ち上げる。
 突然で人形も驚いたのだろうか、コップのヒビも進行が止まった。
 優は無意識にホッと胸をなで下ろす。

(それにしても……)

 この人形、何だかヤバそうだ。
 優自身は霊感があるわけではない――少なくとも自分ではそう思っている――が、この人形は実体がある分、色々とヤバそうな感じをひしひしと受けてしまう。

「セバスチャンさん、それ、一度離した方が……!」
「とりあえず、随分と汚れていますからね。綺麗にしてさしあげましょう」

 言いながら、申し訳程度に優しく紙ナプキンを沿わせ、汚れを拭き取る。
 途端に人形の輝きがいくらか増した気がした。
 ――え?

「ハンカチ、お使いになりますか?」
「いえいえ、そんなお客様の手を煩わせるわけには……」
「大丈夫です。まだ、ありますから」
「なんなら服も新しいのにしよーぜ」
「おや、それは素敵ですね」
「……」

 何となく。
 何となくだが、優の目には、人形が怯えているような、照れて悶えているような、そんな複雑そうな表情が見える気がした。
 見るからに禍々しい日本人形で、髪の毛一本一本にも恨みがこもっていそうな程だったが――。

(全然大丈夫かもしれません……)

 というか、大丈夫な気しかしないメンバーだった。

 結果的に戻ってきたドゥードゥーに「何だそれ!」とビビられたが――何せツインテールにゴスロリ服を着せられていた――日本人形は満更そうでもない表情でそこに佇んでいるのだった。


*****


これも偏見が入っていますが、

英介くん:見えない。ポーク:チキン=3:1くらい?
セバスチャン:気配だけ。ポーク。

このメンバーだと恐らくホラーの方が逃げ出していくかもしれません。
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