リプレイ風小説:DolL②

まったり続けております。
参加させていただいたセッションのリプレイ風小説。
まったりすぎて、セッションの方に全然追いつけてないんですけどね…!笑
お付き合いしてくださっているKPさん・PLさん共に感謝感謝の日々です。


今までの⇒
冬薔薇に捧ぐ:
(元シナリオ:あずま様
死の旋律   :
(元シナリオ:ますじ様
DolL      :、②(これ)
(元シナリオ:おぎーノ様


ではいつもの注意事項。

追記に放り込んでおきますが、リプレイということで、当然ながらシナリオのネタバレにもなります。
プレイヤーとしてこのシナリオでセッションするんだという方がいましたら、お気を付けください。

あくまでもなんちゃってです。
記録があるわけでもなく、うろ覚えなまま改変等々をふんだんに盛り込んでお送りいたします。

それでもよろしければ、どうぞ、お付き合いくださいませ。


<DolL②>

 一旦食堂まで戻った三人は、どこから行こうかと改めて部屋の中を見渡した。
 ドゥードゥーが左の部屋に耳を当て、首を振る。それから右の部屋に移動して――「風の音がする」と呟いた。

「え? 風?」
「外……なんでしょうか?」
「さあな……聞いただけじゃ何とも言えんが」
「……とりあえず何がいるか分からないし、左から行ってみます?」
「賛成っす」

 そんなこんなで、三人は人形の首に掛かっていた鍵を使って左の部屋に入った。中はどうやら書斎のようで、たくさんの本、それから申し訳程度にデスクが置かれている。
 ひとまずデスクへ歩み寄った三人は、写真立てに視線が引き寄せられた。それは手足のない少女らしき人物、そして、その父親らしき人物が写ったものだ。幸せそうな笑みがそこにはあった。何故だか胸が締め付けられそうになる。この二人に何があったのかなんて分からないけれど。
 気を取り直してがさごそと漁っていると――RPGの勇者にでもなった気分だ――引き出しの中から一冊のノートを発見した。三人揃って覗き込む。それは日記のようだったが、みんな「他人の日記を勝手に盗み見るなんて」などという抵抗心は大分薄れていた。背に腹は代えられないのである。

『3月9日
 娘が殺された。私が気がついたときには、すでにバラバラに解体された後だった。

 3月24日
 未だに犯人は見つからない。警察はいったいなにをやっているんだ?

 4月9日
 ここ最近、娘の幻覚を見るようになった。嫌だ、助けて、と、何度も何度も懇願している。
 ……犯人は、まだ見つかっていない。

 5月5日
 毎晩毎晩娘が出てくる。悪夢だ。忘れたいのに忘れられない。頼むから、誰か助けてくれ。

 5月7日
 白髪のじいさんが話しかけてきた。娘のことを忘れられないのであれば、作ってしまえばいいと。
 ……作るってなんだ?

 5月12日
 じいさんの言っている意味がやっと理解できた。こんなところにつれてこられて、理解できないほうがおかしい。

 6月18日
 だめだ、私にはもうできない。娘よ、少しでも倫理から外れた道をとろうとした私を許してくれ。これ以上は駄目だ。
 人じゃない。

 6月19日
 できてしまった。』

 それは、まるで現実味のない、ともすれば狂った人の妄言のような言葉の羅列だった。

「何なんすかね、これ……」
「作るというのは、あの人形ということでしょうか」
「そんな気はするケド……おっと」

 難しい面持ちで別の引き出しを開けた有馬は瞬いた。人形の右腕がゴロリと出てきたのだ。なんとも心臓に悪い。ヒヤリとする。

「とりあえず右腕ゲット、っと……ドゥードゥーさん、そっち何かありました?」

 一足先に本棚を眺めていたドゥードゥーに声を掛ける。すると彼は大仰に首を傾げていた。

「医学書や生物についての本が多いが……こりゃ何だ?」
「何です?」
「どれどれ?」

 ドゥードゥーの反応が気になってしまい、有馬と銀木も揃って彼の手元を覗き込む。それはどうやら一冊のファイルのようだった。

『ショゴスとは、旧支配者「古のもの」によって作られた粘液上生物である。
 アメーバのような形質を持ち、また、その細胞を利用すればさまざまな器官を創造することも容易である。
 この生物は、地底深くに封印されていたが、近年は人の形状を保って地上に来ているものがいるらしい』

「……」
「……」
「……」

 意味が分からない。いや、分かりたくないのかもしれない。まるで出来の悪い架空の生物について、厳かに記されているソレ。有馬の脳はそっと理解を拒否した。よく分からないし、分からなくていい気がする。そういうことにしておこう。

「他にめぼしい物はなさそうですかね」
「だな。次行こうぜ」
「ああ」

 誰もが「よく分からない」で済ませ、一行は右の部屋に移動するべく動き出した。


***


 右の部屋に行く前に手に入れた人形の右腕を作業台に置きに行く。その途中、ふと鍋に目をやったドゥードゥーがひょいと蓋を開けた。そこからはスープの香りが立ちこめる。

「ドゥードゥーさん?」
「……。右足だな」
「え、そんなところに?」

 まさかの右足が煮込まれていたらしい。何ということだろう。出汁でも取る気だったのだろうか。
 熱に気をつけながら取り出したドゥードゥーが、その右足も台に並べる。これで右腕、左腕、右足が揃った。あとは左足だけだろう。

「……行くか」
「うす」
「はい」

 覚悟を決め、三人は右のドアを開けた。ちなみに開けたのはまたもや有馬だ。ちくしょう。別にいいけれど。
 開けた先は庭のようだった。パッと目に入るのは緑の芝生、そしてしっかりしたプレハブ小屋である。
 周囲は球状のガラスで覆われていて、外はオレンジがかる雲で覆われている。初めの部屋で見た景色と同じだ。異世界じみていて気味が悪い。

「わあ……外です、駆け回りたくなりますね!」
「分かる」
「いやそんな場合じゃないっす」

 外に出た途端に目を輝かせ始めた二人に、有馬は顔をひきつらせた。アクティブすぎる二人なので開放感に満ち溢れているのかもしれないが、今はそれどころではないのだ。体力は温存しておいてほしいし、できるなら緊張感もそれなりに持っていてほしい。
 しかし、よほど外の空気が嬉しかったのだろう。有馬が芝生の方に歩み寄り目を向けている間、銀木とドゥードゥーはカバディもどきを始めていた。意味が分からない。精神分析が必要だろうか。

(にしても、なんか変な生え方してんなぁ、ここ)

 芝生の一角、不自然に盛り上がった場所を見つけ、有馬は傍に屈み込んだ。芝生を除けてみると――何やらドアのようなものが現れる。状態からして、地下へと続く道がありそうだった。

(地下とかラスボスくせぇー)

 うわあ、という気持ち満々で有馬はため息をついた。ひとまず一人で突入する勇気はないので、ドゥードゥーたちに知らせようと目を向ける。――相変わらずカバディモードだ。仲良しそうで何よりである。ちなみにカバディをしていて邪魔になったのか、ドゥードゥーが持ち歩いていた肉切り包丁は草むらに擲(なげう)たれている。そんなにカバディしたかったのだろうか。

「何してるんすか、二人共」
「先生もやります?」
「あっは、暇なときになー。……んで、そっちに地下がありそうなトコ見つけたんすケド……」
「……まずはあっちのプレハブを見てからにしないか?」
「ですね」

 確かに、行った先で何があるか分からない。それより探せる場所を潰していった方がいいだろう。
 一旦、恒例と言わんばかりにドゥードゥーが耳をそばだてた。大丈夫そうだというので有馬はそっと開けようとし――ドゥードゥーが突然後ろに跳ねたので、思わず思い切りドアを閉める。反射だった。何もかもが反射すぎて、理解が全く追いつかない。おかげで有馬もうっかり軽いパニックに陥った。

「え!? 何すか!? 何かあったんすかドゥードゥーさん!?」
「足音が聞こえた!」
「足音!? え、誰かいるんすか!?」
「分からん! でも聞こえた!」
「誰かって!?」
「知らん!」
「あの、私が開けましょうか?」

 男性陣がぎゃあぎゃあと騒ぎ立てているのを見て冷静さが増したのか、銀木があっさりと言ってのける。有馬は慌てて首を振った。

「いやいや!? 何かいるって分かってんのに何言ってんの銀木さん!」
「ですが、開けないことには何も分かりませんし」
「だからって! 危ないっての!」
「私なら大丈夫ですっ」
「……待て、分かった。オレが開ける」

 二人の言い争いでかえって落ち着いたのだろうか。ドゥードゥーが比較的冷静に手を上げた。

「オレの方がシュウより強いだろうしな」
「返す言葉もねぇっすわー……」

 あっさり言い放たれた言葉に苦笑しか出てこない。
 何せ、ドゥードゥーは190以上もある長身の、非常にガタイのいい男である。有馬が逆立ちをしたところで勝てる気がしない。

「私でも大丈夫ですのに」
「まあまあ」

 やや不満げな銀木に苦笑しつつ、彼女と共に一歩下がる。ゴクリと唾を飲んだドゥードゥーがドアに手を掛け、そっと開き――彼が反応するより早く、向こうから何かが飛び出してきた。ドゥードゥーがよろめく。

「ぐっ……」
「ドゥードゥーさん!?」

 見たところ、ドゥードゥーの脇腹辺り、服が裂けている。そこからいくらかの血も滲んでいるようだった。切られたのだと認識するには少し時間を要した。有馬は焦る気持ちで前を向く。
 ドゥードゥーの目の前にいるのは、メスを構えた小柄な少女だった。ひどく怯えきった彼女は、それでも興奮が上回っているのだろう、震える手でメスを掲げている。

「死にたくない……! 死ぬくらいなら殺してやるんだから……!」
「ち、ちょっと落ち着いて……!」
「イヤァ!」

 こちらの話に聞く耳も持たず、少女は一番近くにいたドゥードゥーにメスを振りかぶった。攻撃を食らったばかりで痛みに顔をしかめていたドゥードゥーが再び攻撃を受ける。

「待ってください!」
「オレたち、別に敵じゃ……!」

 冷静さを欠いている以外は普通の少女のように見えて、攻撃するのは気が引けた。しかし、なかなか自分たちの声は届かない。
 痛みを堪え、ギラリと目を光らせたドゥードゥーが少女に飛びかかろうと腕を伸ばす。
 屈強な男に迫られた少女はさらに恐怖を呷られたらしい。彼女は半狂乱になってメスを切りつける。しかしがむしゃらに振られたそれは、狙いがズレ、さすがにドゥードゥーも避けることができた。

「埒が明きませんね……」

 ぼそりと呟いた銀木が、素早く彼女に近づく。彼女はそのままパンッと少女の頬を叩いた。叩かれた少女が怯えた目を銀木に向ける。

「あ……」

 再び彼女がメスを握る手に力を込めたのを見て、慌てて有馬は間に入った。

「あの、待って。ね。ほんと大丈夫だから」
「いや……」
「怖かったよな。ごめんな。でもオレたちは敵じゃない。な、ほら、何か力になれるかもだし……何があったか話してみ?」
「……ほん、と? 本当に? 殺さない……?」
「しないしない。オレたちも訳分かんない内にここに連れてこられてさ、脱出する手段を探してたとこなんだ。君も一緒なら協力しよう。な?」
「……」

 有馬の声にようやく耳を傾けた少女は――やがて、メスを取り落とした。身体を震わせた彼女は、涙を浮かべ、有馬に抱きついてくる。

「殺されるかと思った……!」
「うんうん、怖かったよなぁー」

 少女は随分と細く、軽そうだった。そんな覚束ない身でこんな状況に置かれたのであれば、不安も人一倍だっただろう。有馬は労るように少女の頭をポンポンと撫でてやった。
 しかし、そうやって落ち着かせていると――二人からの眼差しが妙に痛々しかった。え、と有馬は瞬いてしまう。

「え、何すか、二人とも……」
「シュウ嫌い」
「先生嫌いです」
「何で!?」

 いたいけな少女を慰めてあげただけだというのに、この扱いとは。そう思うものの、二人の恨みがましい視線は途絶えない。

「オレが組み付きたかった」
「可愛いからって」
「ええええええ?」
「シュウ嫌い」
「嫌いです」
「ええええええ?」

 なんとも理不尽である。
 そうこうしている内に、少女も落ち着きを取り戻してきたらしい。震えは大分小さくなっていた。それでも有馬から離れる気はないのか、彼女は有馬の服の裾をぎゅっと握っている。

「落ち着いた? あー……と、まず名前言えるかな。あ、オレは有馬で」
「私は銀木です」
「ドナルド・ドゥードゥーだ」
「……和泉初那です」

 まだ顔色は悪いものの、少女――和泉初那は存外しっかりした口調で返してきた。

「何があったか……聞いてもいっかな?」
「……えと……私、気づいたらこんな変なところにいて……人形のパーツを探してたの」
「あ、やっぱり。同じ同じ」
「本当? ……だけど変な男に襲われて、殺されそうになって……人形のパーツも全部持ってかれて……私、怖くなってここに逃げ込んで……っ」
「大丈夫か? 怖かったよな。聞かせてくれてありがと、ごめんな」

 震え、俯いてしまった和泉の頭を優しく撫でる。再び二人の視線が痛く突き刺さってくるが仕方ない。

「それで和泉ちゃんはずっとここに?」
「はい……」
「この中、見てみました?」
「っ……いえ、怖くてずっと隠れてたから、調べたりとかは全然……」
「……あの、ドゥードゥーさんはともかく、何で私まで怯えられているんでしょう」
「……だってあなた、私のこと叩いた」
「……」
「お、オレは」
「私のこと襲おうとしてきた」
「……」
「先生嫌い」
「シュウ嫌い」
「だから何でっ!?」

 二人に怯えた様子を見せ、有馬の背に隠れるようにしている和泉の受け答えに、二人の眼差しが恨みがましいものになる。しかしとばっちりだ。有馬は何もしていない。――何もできていないとも言うけれど。

「ま、まー……とりあえず、調べられるトコは調べようぜ。な? 時間が惜しいしさ」
「そうですね。その前にドゥードゥーさんの手当てもしちゃいましょう」
「悪いな。助かる」

 そんなこんなで一旦状況を立て直した四人は、改めてプレハブの中に踏み入った。
 中には大きなスクリーン状の曇りガラス、何かの生成器、スイッチレバーのようなものがある。怪しさ満点だ。どれもこれもが不気味に見えて仕方ない。
 レバーには、いやに可愛らしい丸文字で「下げてね?」と書かれている。また、生成器の方にも同じく丸文字で「押してね」の文字。あからさますぎるソレらは嫌な予感しかしない。

「どうします?」
「い、いやぁ、これはちょっと……」
「こっちの生成器は培養液みたいですね」
「銀木さん、そんな躊躇いもなく……」

 まじまじと眺めている銀木は堂々としたものだ。感覚が麻痺しているのだろうか。頼もしいような、恐ろしいような。警戒しまくっている自分が情けないような。

「押したり下げたりしてみるか?」
「いや、できるならやめませんかね、これ」
「でもやってみないと分かりませんよ?」
「いやいやいやでも」
「何ですか?」
「……」

 この嫌な予感を上手く説明できる気がしなく、口ごもる。だが確かに嫌な予感しかしないのだ。

「……あの、あったじゃん、本」
「本?」
「できてしまったとか、ショゴスがどうのとか」
「あー……」
「多分ここ、そーゆうの作ってたってことっしょ? だから迂闊に触ったら、スゲーヤバい気がするっつーか……どうしても他に方法がないときに試してみればいいんじゃないかと思うワケで……できるなら後回しにしたいっつーか……」
「……まあ、先生がそこまで言うなら」
「といっても、じゃあ次はどうするんだ?」

 二人が納得したようなのでホッとする。どんなにビビリやチキンだと言われようとも、嫌なものは嫌なのだ。ちなみに和泉は状況が分からないようで、大人しく自分たちの傍にいる。あまり口出しする気はないらしい。

「あ、と、そうだ。地下に行けそうなトコ見つけたんですよ。そこに人形の左足があるかも」
「地下ですか。それはまた何とも怪しげな……」
「ドゥードゥーは嫌だ」
「え?」

 突然ドゥードゥーから言い放たれた言葉に、三人は揃って目を丸くする。いっそ気のせいかとも思ったが、そんなことはないらしい。
 巨体に似合わず顔を青ざめさせたドゥードゥーは、もう一度、やたらと厳かな口調で言ってのけた。

「地下は嫌いだ」


続く
スポンサーサイト
Home |  Category:TRPG |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback0
Tracback

Tracback URL :

Comment

    
Home   Top
 
プロフィール

あずさ

Author:あずさ
武器:シャーペン、ノート、パソコン、ポメラ
レベル:29
二つ名:囁(アビス)
あだ名:エゴイスティックスケコマシ
四字熟語:好色生活
(※二つ名メーカー、脳内メーカー等による結果)
アイコン:朧夜緋雨さまから

最新記事
カテゴリ
呟き、囁き、ぼやきに寝言
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード