01. おでこ、こつん。

2016/03/21 Mon 19:35

三連休ラストぉぉぉぉ
ちょっとドタバタ?ハプニングもあり、実家に一時的に戻ってきたあずさです。
諸々とやることを済ませつつ、合間にポメラたんとランデブーしてました。

で、お題。
飽きずに懲りずに、お題。

質より量! ガンガン行こうぜ!
をモットーに、ただただ書き殴ったものになります。

テーマ? 知らんな! 書きながら考えるわ!
そんなテンションなので割とまとまりがないです。
いつものこと? 言ってくれるな!

今回のお題はこちら。

さみしがり屋に贈る五題

01. おでこ、こつん。
02. 足の大きさが違う
03. つめたい手とあったかな心
04. 言い訳はこれにしようかな
05. その総てが、幸せだった

お題配布サイト:Kiss To Cry



前にもちらほら言っていた、現在身内卓のクトゥルフで使っている自キャラの有馬家を中心にね、何となくでも深められたらとね、思ってですね。
よく考えずに書き殴りました。まあ、だから、あれです。今後矛盾が出てきてもスルーしてください。あるあるです。あるあるー。


*****

 暗い部屋。熱い身体。重たい手足。熱に浮かされた思考はどこまでもとりとめなく、あることが浮いては沈み、消え、再び形を変え繰り返す。
 遊びたかったな。宿題大丈夫かな。読みたい本もあったのにな。そんなフワフワとした考えもやがて形を失っていく。

(喉、乾きました……)

 ふう、とついた息は、やはり熱い。飲み物を取りに行きたいが、この場から動くのも億劫だった。

「詩麻」

 ふいに、部屋に細く光が差し込んだ。有馬詩麻はぼんやりした頭で顔を向ける。――眩しい。
 開いたドアの向こうから、二つ上の兄、有馬秀が顔を出していた。兄さん、と出た声は掠れてしまう。上手く呼べないことが、こんなにももどかしい。

「入っちゃダメって、……母さんが」
「だいじょーぶ、バレないって」
「でも」
「いーのいーの」

 ケラケラとまるでイタズラを楽しむように笑った秀が、そろりと中に忍び込んでくる。彼はそういうイタズラに関しては器用な方だ。実際、両親からお咎めの声が掛かる気配はまるでなかった。
 トトト、とベッドまで歩み寄ってきた彼が顔を覗き込んでくる。

「大丈夫か?」
「はい」
「ほんとに?」
「はい。……でも」

 詩麻は小さく笑った。
 ――本当に、大丈夫だ。熱は高く頭はぼんやりしているが、具合の方は意外と悪くない。吐き気や頭痛がないのが幸いだった。だから大丈夫だと言えば、本当に大丈夫なのだ。
 それでも、たった今、この瞬間、気づいてしまったことがあって。

「少し、……さびしかったです」

 ポツリと呟くと、秀はぱちぱちと瞬いた。それからややして、破顔する。

「だと思ったぜー」
「バレてたんですか」
「だから来たんだよ」
「すごいです」
「兄ちゃんだからな」

 ふふん、と得意げに笑った秀が顔を寄せてくる。こつんとおでことおでこがぶつかった。熱を測るときの母の真似だろう。自分の体温が高いからだろうか、相手の体温の低さが心地良い。うつらうつらと詩麻の瞼も落ちてくる。

「んー……よく分かんないケド……まだあっついなぁ」
「はい……」
「飲み物欲しくねぇ?」
「……すごいです。またバレちゃいました」

 まるで魔法みたいだ。熱できちんと頭が働いていなかったせいかもしれないが、まだ小学生の自分でも子供じみていると思うことを、このときの詩麻は心底そう思ってしまった。この兄は、いつも自分のことをよく知っている。
 その驚きから何度も瞬くと、秀はまた笑った。

「オレは詩麻の兄ちゃんだからなっ」


***
**



「兄さん。お待たせしました」
「おー。しまちゃん、元気?」
「昨日も電話、したじゃないですか」
「まあなー。でもほら、顔見るのは少し久しぶりだし? とりあえず一回中入んなよ」

 ケラケラ笑う兄に、詩麻は「そうですね」と小さく笑った。
 現在、医者を目指して研修をこなしている彼は、どうしたって忙しい。その分、普段のやりとりは電話が多かった。それでもたまの休みはこうして共に会い、出かけたりする。作家として働き始めた詩麻は比較的都合がつきやすいので尚更だ。
 そんなわけで今日も詩麻は秀の部屋を訪れた。一旦の待ち合わせに部屋まで来たが、予定ではこれから外にお出かけだ。

「今日は行きたいお店があったんだよな? どこだっけ?」
「はい、この近くに……」

 言いながら手帳を取り出そうとした詩麻は、ぴたりと動きを止めた。「しまちゃん?」と秀が不思議そうに顔を覗き込んでくる。そんな彼の顔をじーっと見つめ、詩麻は一歩、近づいた。反射的に秀が一歩引こうとするより早く彼の腕をつかみ、引き寄せ、
 こつん。

「あの、しまちゃ」
「兄さん」
「ウィッス」
「熱、ありますね?」
「……えぇと」
「ありますね?」
「いや、測ってないケド……え、マジで?」
「あります」
「あー……」

 頭をかいた秀が、ヘラリと笑う。困ったように眉尻を下げ、あはーと、どこか気まずそうに。

「ごめん。気づかなかったわ」
「疲れが溜まっていたのかもしれませんね……。とりあえず横になりましょう。欲しいものはありませんか? 良ければ買ってきますけど」
「え、いやいや。染しちゃまずいし、申し訳ないケドしまちゃんはこのまま帰っていいぜ? せっかくの時間、潰したくねーしさぁ」

 勝手知ったる兄の部屋なのをいいことに寝間着などをテキパキ取り出し始めると、秀が慌てたように割って入ってきた。そんな兄を詩麻はクルリと振り返る。無言でベッドの方に座るよう促すと、彼は困惑しつつも素直に従った。座った彼の前に立てば、いつもなら十センチある身長差は当然ながら逆転する。
 それにしても素直だ。表情からも察するに、きっと自覚してしまった分、さらに熱が上がってきているのだろう。これは時間が経てば高熱になるかもしれない。自分にも覚えがある。
 だというのに――だからこそだろうか――秀はペラペラと喋り続ける。

「いやー、ほんとごめんな。楽しみにしてたのに。でもほんと大丈夫だから、つーかしまちゃんに染す方がオレとしては問題っつーか。あ、埋め合わせに何かすっから考えといてくれな。だから今日はさぁ」
「でも、兄さん」
「うん?」
「寂しいでしょう?」
「え」
「……」
「……えっと」
「沈黙は肯定とみなします」
「わ、わあ……」

 言葉を失った兄にきっぱり言い放てば、彼は表情をひきつらせた。何と答えるべきなのかと、視線が落ち着かなく泳いでいる。
 ふふ、と詩麻は笑った。

「すみません。意地悪をしました」
「しまちゃんんん……」
「言い方を変えますね」
「ん?」
「私が寂しいので、一緒にいさせてください」

 秀が目を丸くし、はくりと口を開きかけたが、言葉が一瞬出てこないようだった。果たして自分に反論ができなかったのか、熱のせいで言葉がマトモにまとまらなかったのか。ともかく少しの間、彼は中途半端に口を開いたまま固まり――硬直が解けるなり、思い切り頭を抱え込んだ。

「何それズルイ、つーか意地悪度が上がってねぇ!?」
「本当ですよ?」
「でもしまちゃん」
「埋め合わせに私の好きなようにさせてくれるんでしょう?」
「~~!」

 いよいよ何も言えなくなったらしい彼は、抵抗する気力も尽きたのだろう。がっくりと肩を落とし深々とため息をついた。そんな彼の額に再び自分の額を合わせる。じわじわと伝わる熱に、そっと瞼を落とした。――あのとき自分が与えてもらった安心感を、どうやったら返せるだろう。今まで貰ってきたたくさんのものへの感謝を、どうすれば伝えられるだろう。
 されるがままだった秀が、困ったように笑う。

「しまちゃんには敵わねーな」

 ゆっくりと離れた詩麻は、クスリと微笑んだ。

「兄さんの、妹ですから」


*****


兄さんは、私が凄いと言うけれど。
私は兄さんから与えてもらったものを、少しずつ返していけるように頑張っているだけなんです。



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