でれりまを目指そうとしていたはずだった

もそもそとメモメモ。

当初は「でれりま」を考えようと思ったんですよね。
でれりまって何やねんと思ったそこのあなた。正常です。
まあ、私の自キャラである「有馬」君が「素直にデレたら」で、「でれ+ありま」で「でれりま」です。はい。すみません。

ただ有馬君、最初はそんなはずじゃなかったんですけど、何と言いますか、春樹と大樹の丁度面倒くさそうなところがドッキングされたキャラになりつつあるような。考えすぎかな。むーん。

とりあえず勢いだけで書き上げてみたところ、全然当初の目的とは変わってしまって、もはやゴールを見失いました。むーん。難しい。
でれりまはまた今度考えてみることにします。そもそもデレって何だ。難しい。哲学ですね。


そんなわけでグダってしまったのですが、一応書いたので投下。
優ちゃんはひさっちのキャラです。いつも勝手に借りちゃってますありがとう。
こんな奴ですが今後とも仲良くしてくれると嬉しいです。むーん。



****** 


 一日目。
 銀木優はいつも通りに仕事をこなしていた。看護師は、意外――でも何でもないかもしれないが――にも体力勝負だ。精神科という、やや特殊な科に配属されたとはいえ、その基本は大きくは変わらない。やることは雑多に溢れており、覚えることも底が知れない。
 そんな状態でまずは与えられた仕事をコツコツとこなし、必要な器具を部屋に運び込もうと歩いていたところ――ふいに二人の男性とすれ違った。

(……あ)

 その内の一人は優にも馴染みがあった。現在研修医の有馬秀だ。彼とは度々会話もあるし、何より賑やかな性格の彼は会うたびによく声を掛けてくる。
 が。

「……で、――だから、これが……」
「だったら――」
「でも――」
「それなら――」

「……」

 何やら随分と忙しいらしい。足早に進んでいってしまい、こちらに気づいた気配もない。手に持った書類と睨めっこしながら隣の男性と話すその表情には、普段は見られない厳しさが混じっている。いつものヘラヘラした笑みはどこへ行ったのか。

(……先生もあんな表情するんですね)

 どこか失礼かもしれないことを思いながら、優は一つため息をついた。自分も急がないと。



 二日目。
 優がお昼を食べ終えて――今日もたくさん食べた――食堂を出ると、中庭の方から甲高い声が聞こえた。とはいってもそれは悲鳴の類ではなく、歓声だ。ワーワー、キャーキャーと賑やかな声が響きわたっている。何の気なしに覗き込めばそこには有馬と子供たちがいて、納得する一方、またかと思う。彼はどうやら子供が好きなようで、よく子供たちに話しかけに行っているのだ。飴を配っていることも多いらしい。下手をすると担当医よりも顔を覚えられているなどという噂もあるが、この光景を見ているとそれも本当なのかもしれないと思う。

「またあいつか」
「あっはは、群がられてるじゃん」
「ぶは、子供にプロポーズされてる!」
「犯罪だぞ有馬ー!」

 優と同じように覗き込みに来た者たちが、様々な感想を述べては笑い、呆れ、時にヤジを飛ばす。それに気づいた有馬がブンブンと手を振り返したり、「うっせー!」と返してはケラケラ笑ったり、ともかく忙しない。いつも通りといえば、いつも通りの光景だ。

(……ところで先生、お昼ご飯はどうしたんでしょうか)



 三日目。
 再びお昼休み、食事を終えて棟に戻る途中、何やら同僚と話している有馬の姿を見つけた。

(あ、眼鏡です)

 そういえば、と思い出す。研修医である彼はレポートなどの課題も多い。そのため、視力は悪くないようだが、長時間パソコンに向き合うときはブルーライトカットの眼鏡を使用していると言っていた。とはいえ、本当に必要最低限のときしか使用していないようで、あまりその姿を見ることはない。
 それが今もつけているということは、つい先ほどまでパソコンと向かい合っていたのだろう。

「ぎゃははは! マジかよ!」
「マジマジ、大マジっすよ」
「しゅう、お前バカだな?」
「うっせーわ! 半分はお前のせいだろ!」
「一理ある」
「ぶはっ、一理どころじゃねーわコノヤロウ! ちくしょう!」
「でも、そんな自分勝手なオレのことも?」
「ス・キ」
「キメェ」
「うはははほんとにな! つーかやらせんな! ノっちまうだろ!」
「そんなノリのいいお前が……」
「ス・キ?」
「キメェ」
「ノれよ! おバカ! あんぽんたん! お前の母ちゃんスーパーで見かけたケド笑顔がステキ!」
「何ナチュラルにお袋と絡んでんだよお前。『しゅう君だっけ? 気持ちのいい子ねー』っていきなり言われたオレの気持ち考えろよ。怖ぇよ」
「漬け物もらっちゃったもんね」
「怖ぇよ。お袋陥落させてどうすんだよお前。で? 茶番はさておき、例のブツは?」
「へいへい。お主も悪よのぅ」
「お、サンキュー。……うっわ、えげつない量だなこれ」
「マジでオレを褒め称えてくれてもいいのよ」
「いやー……まあでも、実際助かるわ……この量まとめたのって、あの日からだろ? え? 寝てんの?」
「寝なきゃ保たないから寝てますですよ」
「まあ、そうだけど。マジさんきゅ。今度奢るわ」
「期待しないで待っててやんよ」
「漬け物でいい?」
「お母さん頼みかよっ。いいケド!」
「いいのかよ」
「漬け物美味しかったですって言っといてくれなー」
「これ以上オレのお袋の好感度上げんのやめろよ」
「ふははは……ってヤベェ時間だ! 行くわ!」
「おーう。わざわざすまんな。サンキュー」
「おー!」

 何やら訳の分からない茶番も終わったようで、バタバタと慌ただしく去っていく。その姿をぼんやり見ていると、同僚がこちらに気づいたようで近寄ってきた。ニコリ、と彼は笑う。

「銀木さん? そんなとこに突っ立ってどうした?」
「いえ……先ほど有馬先生とお話していたようですけど、それは?」
「ああ、これ? 勉強会の資料。色々やんなきゃいけないこと多くてさ」
「はあ……大変なんですね」

 本当になー、やんなっちゃうぜ、と同僚が愚痴をこぼすので、優は苦笑して「お疲れ様です」と返してやった。



 四日目。
 ……。
 …………。

「……先生」
「うぉあ!?」

 小走りでどこかに向かおうとしていた有馬を偶然見つけ、声を掛けると、彼は大袈裟に驚いた。肩を跳ねさせ目を白黒させている。――そこまで驚かなくても。

「スゲービビった! 銀木さんいたんだ!?」
「最初からいました」
「マジで? うっは、見えなかったわ。サーセン」
「それは私が小さいということでしょうか」
「うんごめんねその拳は下ろそう?」

 ぐっと拳を握って凄めば、切り返しの素早い彼は早口でまくし立て、ヘラリと笑う。むぅ、と優は小さく唸った。せっかくならば突ついてやりたかった。

「もう仕事は終わりですよね? そんなに急いでどこへ?」
「あーいや、ちょっと同期の手伝いに?」
「手伝い?」
「レポートとかその辺なんだケド、終わらないんだと。スゲー泣きつかれてさぁ~。まあ今回のは膨大なやつだかんね。早めに終わらせとけーってオレも言ってたのにこのザマっすよ」

 あっはっは、と笑い飛ばす彼に肩を落とす。決して笑い事ではないと思うのだが。

「ていうか先生、最近、ずっとバタバタしてません?」
「んぁ?」
「見かけるとき、大体何かしらしてるんですけど。当直もやたら多いような……。昼休みは子供といますし」
「あー。今、周りがゴタついてっからなぁ。頼まれて当直替わったりしてんだケド、何だろうな? 普段はそんなことないんだケド妙に急変多かったりして。巡り合わせっつーか? タイミング悪くね? まだオレじゃ対応できないことも多いしマジ心臓に悪いわ」

 うはは、とやはり笑う彼に――彼がよく笑うのはいつものことだが――優は眉を寄せた。ここ数日、どうも気になっていたことがある。もしかして、とは思うのだが――。

「……先生、食べてます?」
「ん?」
「ご飯。食べてます?」
「え、まあ、食べてるケド」
「夕食は何食べました?」
「リンゴ貰ったからそれ食った」
「アホですか!?」
「!?」

 思わず気色ばむと、有馬はぎょっとしたように身を引いた。しかし、許さない。逃がさない。いくら何でもこれは。

「リンゴ? は? それを夕食だと? は?」
「し、銀木さん?」
「……昼食は何を食べたんですか」
「……えぇっと」
「……」
「あ、朝は銀木さんも大好き☆カ●リーメイト食べたし」
「馬鹿ですか?」
「冷たい!」

 ぴしゃりと切り捨てれば、テンポ良く反応が返ってくる。泣き言のような台詞だが実際はケラケラと笑っている。器用なものだ。だが、それで流されてやれるほど自分は優しくはないのだ。こと食事に関しては尚のこと、である。
 キッ、とまるで睨むように彼を見上げる。

「カ●リーメイトは、いわば非常食です」
「お、おう?」
「バランス栄養食とは言ってもあくまでも補給するためのものです」
「えーと」
「それだけでバランスの取れた食事になりません。それくらい知ってるでしょう」
「まあ、でもほら、何も食べないよりはマシっつーか」
「そんな生活を何日続ける気ですか」
「いや、別にそんな」
「先生のそれは食事に対する冒涜です。謝ってください」
「そこまで!? つーか誰に!?」

 ツッコミがいよいよ悲鳴じみたものになってきているが――そんなことは知ったことではない。
 はあ、と優は大きくため息をついた。

「医者の不養生とはよく言ったものですが……大体、何でもかんでも引き受けすぎでは?」
「何でもじゃねーケド……」
「とりあえず何か食べて、あとはきちんと寝るのをオススメします。じゃないと保ちませんよ」
「うぃっす」
「……前も言いましたが、先生はもう少し周りに頼っては? 別に私に……とは言いませんけど。他にもいくらでもいるでしょう」
「あはー」
「……」

 相変わらずヘラリと笑う有馬に、優はジトリと視線を向け――ため息と共に目を伏せた。彼の笑みは、いつも何を考えているのか分からなくさせる。それは――どうしたって、遠い。
 ――自分の手には、届かない。

「……」
「……」
「……まあ、いいです」
「うん?」
「いえ。では私はこれで――」
「っと電話だ、ごめん。……もしもし? あー、うん、オレ。そう。はぁ? また増えたっておま、はぁぁ!? えぇー……や、まあいーケド……うん? うん。おう。マジでっ? ぶは、何それマジ勘弁なんすケド。えー、うん。まあ。おー」
「……」

 電話の内容は分からない。分からないが、何やらまた面倒事を引き受けようとしているのは雰囲気で分かる。
 結局、言ったって無駄なのだ。どこか残念な気持ちと、やっぱりという気持ちを抱え、優は背を向けた。
 自分の今日の仕事は終わりだ。せっかく早めに終わったのだし、もう帰ろう。
 と――。

「あー……あ、いや、うん。待って、悪い。やっぱなしで。は? あっは、それオレのせいじゃねーし。ふはは、ドンマイドンマイ、まーお前ならできるって! うん? そんときゃそんときよ、うはははサーセン! おー。おう。いやいや。ん、りょーかい。じゃなー」

 ぴっ、と通話の切れる音。
 何だか変わった雰囲気に、おや、と優は振り返った。通話を終えたらしい有馬と目が合う。

「……」
「……」

 奇妙な沈黙を経て、コテリ、と優は首を傾げた。

「……断ったんですか」
「うん? うん、まあ」
「はあ、それじゃあ、私はこれで」
「あ、待って待って」
「?」

 気が変わったのか、自分の言葉が少しなりとも届いたのか。後者ならいくらか嬉しくもあるが、だからどうというわけでもない。休めるならばそれが良いだろう。これ以上自分がここにいて彼の休憩を邪魔しても意味がない――そう思って再び背を向けた優だが、呼び止められてしまった。見れば、有馬は何となく言葉に迷うような素振りを見せている。ノリのいい彼には珍しい表情だ。

「あー……と」
「はい」
「えぇっと」
「はい」
「お言葉に甘えて。……頼らせてもらおうかなぁ、なんて、思ったり」
「……はい?」
「つーワケで。銀木さん、食堂行かね?」
「はい?」

 先ほどから「はい」の二文字しか言えていない。しかし意味が分からないのだから仕方ないだろう。
 パチパチと瞬いていると、有馬は気まずそうにヘラリと笑った。

「いやー……オレ、誰かとワイワイ食べんのは好きなんだケド、逆に一人だと面倒くさくなって雑になるんだよな。でもまずは食べろって言うし、まあ実際そうした方がいいと思うし、だからとりあえず、一緒に食わね? 銀木さんの食いっぷり見んのオレ好きだし。どー?」
「……」
「あ、忙しいってんなら無理にとは言わないケド」
「……先生って」
「うん?」
「寂しがり屋ですよね」
「違うんです」
「どこがですか」
「そうじゃないんです」
「何がですか」
「何もかもが」
「フッ」
「鼻で笑った!」

 ひどい! と泣き真似をする彼に、ため息を一つ。

「まあ、いいでしょう。仕方ないので、頼られてやります」
「ぶはっ……ふ、ありがたき幸せ……っ」

 ドヤァと得意げに言えば、笑いを堪えきれないままに有馬もノッてくる。そうやって二人は他愛ない話をしながら、連れ立って食堂へ向かうのだった。




「ぶふっ……ふ、ほんとスゲェ、オレよりめっちゃ食ってる……っ」
「これくらい当たり前でしょう。むしろ先生が少ないんですよ。女子ですか?」
「フツーの男が食う程度の量は食ってるわ」
「今までろくに食べていなかった分を考えたら倍は食べるべきです」
「無理ゲー! むしろ食ってなかった分胃袋縮んでっからな!」
「伸ばしましょうか?」
「物理的干渉!? リバースしちゃうからやめようぜ!?」
「それは勿体ないから我慢してください」
「伸ばさないって選択肢は!?」
「はて」
「怖いんすケド! はー……銀木さんやっぱスゲーウケるわ……腹痛い」
「それはどうもです」
「あと」
「はい」
「飯美味い」
「……それは良かったです」
「ん、さんきゅ」
「……いつもそうやって笑えばいいですのに」
「ん? 何?」
「いいえ。言ってなんてやりません」
「えー?」


******


何となく、セッション『また明日』より後の話、でしょうか。
この二人の距離感は色々と謎なので、私が勝手に縮めるのも遠ざけるのも違うかなぁと思ってこんな曖昧な感じにw
ただまあ、有馬君にはちょっとずつ壁を壊していってほしいなというのもまた親心というやつでしょうか。頑張れ青年。
むーん!
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二つ名:囁(アビス)
あだ名:エゴイスティックスケコマシ
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(※二つ名メーカー、脳内メーカー等による結果)
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