リプレイ風小説:冬薔薇に捧ぐ①

せっかくやったセッションなので、何らかの形にはしたいなぁと思っていて。
それで動画もちまちま作ったりしてるんですが、なかなか、うーん、なかなか。
創作って難しいなぁと思う日々です。

今回は冬薔薇に捧ぐをリプレイ風?とりあえず小説風?に書いてみようと試みたんですが……む、難しい。
かなり序盤の方なのにすでに「あれー?」となっています。
そもそも記録を取っていないのでかなりうろ覚え・テキトー・改変何でもあり状態なんですけどねw

ちなみに、本当はこのセッションで他キャラさんとは2度目ましてなんですが、色々とやりづらいのでそこも初対面として改変。

一応追記に放り込んでおきますが、リプレイということで、当然ながらシナリオのネタバレにもなります。
プレイヤーとしてこのシナリオでセッションするんだという方がいましたら、お気を付けください。


有馬君、本当はもっとテンションが高くてお調子者のキャラの予定だったのに、私がビビリのせいで慎重派になりつつあります。
周りのキャラが濃すぎるからね。仕方ないね。



<冬薔薇に捧ぐ①>


 その日、有馬秀はいつも通りの日常を迎えるはずだった。いつも通りに起き、いつも通りに朝食を食べ、いつも通りに職場となる総合病院へ向かう。そんな何の変哲もない朝を迎えるために支度を終え、あとは外に出るだけだというところで――
 ピン、ポーン

「……ん?」

 突然インターフォンが鳴り響き、有馬は数度瞬いた。
 こんな朝早くから誰だろうか。しかも音の出所はオートロックのある一階からではなく、目の前の玄関からだ。オートロックを突破していきなり訪れる誰か――何度でも言うがこんな早朝にだ――に、あいにく心当たりはない。
 怪訝に思って覗き穴を見るが、そこに人の姿はなかった。イタズラだろうか。首を傾げつつドアを開ければ、マンションの中とはいえ、冬のヒヤリとした空気が肌を刺す。
 やはりドアの外には誰もおらず、有馬は頭をかき――ふと、下に落ちている紙切れに気づいた。もしかしたらドアに挟められていたのかもしれない。
 拾い上げてみれば、それは一枚のチケットのようで。

「天花薔薇園観光無料ツアーご招待券……?」

 見覚えのないその字面を読み上げ、詳しく見ようとひっくり返したところでふわりと薔薇の香りがした。
 優しいような、悲しいような、ソレ。
 とたん。
 視界が。暗く。白く。そして――。


「……、は?」

 気づけば、どういうことだろう、そこは見知らぬバスの中だった。

「え?」

 意味が分からない。自分はつい先ほどまでマンションにいたはずなのに。
 慌てて周囲を見渡すが、窓の外は林が見えるだけだ。平坦な道は特に途切れることなく続いている。見覚えのある景色ではない。少なくとも通勤経路ではない。
 ここはどこなのか。そもそもどうして。それに――。

「仕事……! ……えええええ!?」

 とにかく病院に連絡を取らねばと焦って携帯電話を取り出せば、なぜかメール画面が立ち上がっており、自分が休む旨が連絡されている。いつの間に。誰が。しかも連絡し直そうと試行錯誤するものの、何故か携帯電話は思うように反応してくれない。反抗期か。
 あまりの出来事の連続に、有馬はいつの間にか握っていたらしいチケットを無意識にくしゃりと握り潰してしまった。困る。とても困る。現在進行形で困っているなう!
 途方に暮れていると、すぐ近くに座っていたらしい男性が身じろいだ。ハッとして見れば、その男性が眠そうに目を開ける。それから彼もまた有馬と同様、驚いたように周囲に視線を走らせた。

(つーか何だあの鍬)

 焦っている人がいると、かえって少しだけ落ち着きが戻ってくる。
 ――改めて見ると、その男性は歳が近そうだった。そして非常に軽装だ。タオルを首に巻いている他は鍬くらいしか持っているものがない。しかしその唯一持っているものが鍬だなんて、馴染みがないし物騒だ。
 キョロキョロしていた男性が、一拍遅れて有馬に気づく。彼はどこか安堵の色を滲ませて口を開いてきた。

「あれ、あんた……えーと」
「あ、オレ有馬っていいます。有馬秀」
「オレは宝条院英介っていうんだけど……状況分かるか?」
「いやぁ、さっぱりっすわ」
「だよなぁ」

 二人揃ってハハッと――完全な現実逃避だ――笑う。しかし、気さくに話しかけてもらえたのは僥倖だった。歳も近いようなので親近感が湧く。こんな得体の知れない状況で話せる人がいるというのは心強い。

「オレ、病院行くとこで」
「病院?」
「あ、一応医者でして。つってもまだ研修医なんすケド」
「へえ。オレは畑仕事してたんだよ」
「あぁ、それで鍬?」
「おう。でもここ、林だよな」
「畑ではないみたいっすねぇ……」
「マジか……。他に誰か――おわ!?」
「うぉわ!?」

 もう一度周囲を見渡そうとし、二人は揃って短い悲鳴を上げた。
 何せ、背後に厳つい表情をしたジャージ姿の巨体が立っていたのだ。しかもその手にはダンベルが握られている。ソレが、すぐ背後で、今まで気配もなく立っていた。
 ホラーか!

「び、ビビった……! え、つーか、え!?」
「誰だ!?」
「ドナルド・ドゥードゥーだ」
「何人!?」
「フランスだ」
「お、おおおっ?」

 怒濤の展開に正直全員がテンパっている。当たり前といえば当たり前だ。
 ドナルド・ドゥードゥーと名乗ったその人もどうやら自分たちの反応に驚いているらしく、少々気圧されたように距離を取る。――どうやら悪い人ではなさそうだった。スキンヘッドと強そうなオーラは心臓に悪いが、何となく憎めない。

「えっと、ドゥードゥーさんは何でここに?」
「それが分からなくて……今朝は筋トレをしていたはずなんだが」
「それでその格好なんすね? え、何かスポーツやってたり?」
「喫茶店でオーナーをやっている」
「オーナーが筋トレ!?」

 ツッコミが追いつかない。喫茶店のオーナーが筋トレをしてはいけないわけではないが、それでもどうしてだろう、ツッコミが全く間に合わない。置き去りにされていく。

「ところでコレ、心当たりはないか?」
「へっ?」

 どぎまぎしている間に差し出されたのは、一枚のチケット。
 思わず、有馬と宝条院は顔を見合わせた。

「オレもそれ、持ってます」
「オレも」
「でも心当たりはないっすね」
「同じく」
「……みんな同じような状況なんだな」

 三人はそれぞれ、改めてチケットに目を向ける。チケットは何の変哲もない紙でできているようだが、住所も電話番号も記されていない。ただただ『天花薔薇園観光無料ツアーご招待券』とあるだけだ。招待券にあるまじき内容である。そういえば薔薇の香りがしたような……と思い出しかけたが、嗅ごうとしてももはや匂いは分からなかった。

 困った。
 端的に今の心境を述べればただただそれで、有馬は揺れに気をつけながら立ち上がった。この場にいる者は誰も状況が分からないようだし、こうなったらもっとも詳しいであろう相手に聞くしかない。自分たちがこれだけ騒いでも注意の一つもない運転席に目を向ける。

「すんませーん」

 軽く声を掛けるが――反応はない。この距離で聞こえていないはずがないだろうに。

「すんませーん! 運転手さん、ちょっと教えてほし……」

 一応近くまで行って声を掛けようとした有馬の足は、その近くで止まってしまった。背後にはドゥードゥー、そして宝条院もついてきている。

「おい? どうした?」
「……えっと」
「何かあったのか? ――!?」

 有馬が説明に窮している間に、二人も運転席を覗き込み――彼らもまた、言葉を失った。
 そこにいたのは、人ではなかった。まるで蔓でできた人形のようなものだった。それが巧みにハンドルを操っている。
 現実味のない光景に、誰もが口を開けない。
 そうこうしている内に、アナウンスが車内に流れ出す。

『次は、天花薔薇園前――』

 呆然としている自分たちにまるで構うことなく、バスがゆっくりと停車した。ぷしゅう、と独特の音を響かせドアが開く。どうしたものか。迷ったものの、とにかくこの異様な車内に残っているのも憚られる。このままではどこに連れて行かれるか分かったものではない。
 三人は「……行きますか」「行くか」「行こう」と、ぎこちなくバスを降りることにした。



 バスを降りると、周囲は何もない、だだっ広い平地だった。寂れたバス停は時刻表が真っ白で何も読めない。そもそも初めから書かれてすらいないのかもしれない。
 その道路の向かいには何やら建物が存在している。施設か何かのようだ。
 外は静かに雪が降っていて、吹き付ける風の冷たさに有馬は軽く身震いした。――が、正直、他の二人の方が大変だ。何せ一人は薄着にタオルだし、もう一人はジャージである。よほど寒いらしくダンベルで筋トレしまくっているがこのままでは凍えてしまうだろう。

(つーか、オレが一番重装備のはずなのにな? 何で二人は鍬とダンベル? 存在感ありすぎじゃね? 装備に差がありすぎじゃね?)

 ツッコんでも仕方ないことなのだが、どう考えてもシュールだ。笑っていいのか微妙なところである。頑張れオレの腹筋。

「ドゥードゥーさんたち、大丈夫っすか」
「寒い」
「死ぬ」
「デスヨネー。とりあえず何故かチケットあるし、あっちの建物、行ってみます?」
「そーだな」
「行く。凍る」
「ドゥードゥーさんめっちゃカタコトなんすケド!?」

 わぁわぁ言いつつ、三人は建物の方へ近寄った。入り口であろう門には「天花薔薇園へようこそ」と書かれている。どうやらビンゴらしい。
 門のところには黄色い薔薇のアーチ。いかにも薔薇園らしい。三人はキョロキョロと周りを見ながらその門をくぐり――

「へっ? ……うわ、と、あだ!?」
「え? どうした有馬?」
「いってー……転んだっす」
「ドジっこか?」
「ちげぇっすよ!? 何かに掴まれたような……!」
「何かって?」
「それは……」

 宝条院に助け起こされながら足下を見るが、怪しいものは何もない。
 だが、自身の足を見れば――細長い何かが巻き付いたような痕が残っていた。それはまるで、蔓のような。

「うわ、痛そう」
「あーいや、そこまでじゃないかも。大丈夫」
「ドジっこか?」
「だから違ぇっす」

 ドゥードゥーの謎のドジっこ推しは何なのか。色々と解せない。
 それにしても不可思議な現象が起きすぎだ。何だか嫌な予感に胸が落ち着かない。
 そうやってざわざわしていると――ふいに、人影が現れた。

「何をしているの? お兄さんたち」
「……えっ」

 そこに立っていたのは、一人の少年。歳は12、3くらいだろうか。無邪気そうな笑みを浮かべる少年は当たり前のように自分たちを見上げてくる。
 戸惑う自分たちに、彼はニコリと微笑んだ。

「ようこそ、天花薔薇園無料観光ツアーへ」
「あ、ドーモ」
「僕は翔太。歓迎するよ。ここは寒いでしょう、まずは温室にどうぞ」

 ニコニコと自分たちを迎える彼の笑顔は本当に嬉しそうだ。
 突然の事態に思考は追いつかないが――寒いのも確かなうえに、ここで立ち往生していても事態が好転するとは思えない。
 目まぐるしく思考を働かせる中で、反応が早かったのは有馬と宝条院だった。二人はとっさに笑みを返す。

「マジかー。助かるわ。ありがとな」
「じゃあ頼むぜ」

 そんな二人に、やはり少年は無邪気に返すのだ。

「うん、任せてよ」



続く?
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