15:風に吹かれて

もう年末ですね。何だか全然実感がありません。
今年一年は、実のところ、リアルでは激動の日々でありました。
それでもボチボチ小説は書けていて、我ながらよく続いているものだなぁと思います。
オリジナルから黒バスにジャンルは変わっていましたが……
一度深みにハマるとやっぱり長いなぁ、ズブズブだなぁと自分に苦笑です。
世間ではまたどんどん流行が移り変わっているので、寂しさはあるんですけどね。

さて。最後にまた30分クオリティですが、お題を消化して今年を締めたいと思います。


<お題一覧>
Type : 1

01:晴れた日に(済)
02:手(済)
03:風の吹く場所(済)
04:白い花(済)
05:綺麗なもの(済)
06:笑顔(済)
07:手を繋いで(済)
08:うた(漢字は自由)(済)
例 : 歌、唄、詩等
09:おひるごはん(済)
10:海(済)
11:同じ空の下
12:安らぐ場所(済)
13:心音(済)
14:手紙
15:風に吹かれて(済)
16:夕焼け(済)
17:昼間の森(済)
18:親友(済)
19:昼寝(済)
20:おやすみ(済)

<お題配布場所>
site name : 追憶の苑
url : http://farfalle.x0.to/



※倭鏡伝
※年末
※時系列としてはちょっと不明なので大雑把に捉えてください←

15:風に吹かれて


「春兄、こっちこっち!」
「……寒いんだけど……」
「いいから早くー!」
「わかったってば」

 厚手のコートを羽織り、グルグルにマフラーを巻きつけて、春樹は一つため息をついた。
 年末の、日も暮れた遅い時間。正直こんな時間に出かけるなんて言語道断だ。寒いし暗いし、下手すれば補導されてしまう。それでも「セーガが保護者みたいなもんじゃん!」という大樹の暴論の元、春樹は渋々外に連れ出された。ほんの少しだけ、という彼の言葉を信じてしまったのだから自分も甘い。

「へへー、セーガもありがとな!」
“本当に少しだけだぞ”
「わかってるって!」
「ごめんね、セーガ」
“大したことじゃない”

 短いやり取りを交わしながら二人でセーガに跨る。それを確認したセーガはふわりと宙に浮き上がった。不快な揺れなど一切感じさせずセーガは大樹の指示に従って進んでいく。
 ――地球で、こうやってセーガで空を飛ぶだなんて。本来であれば緊急事態でもない限りいけないことだ。いくら暗くて目立ちにくいからとはいえ、絶対ではないのだから危険は避けるべきである。
 だというのに許可をしてしまったのは、春樹自身、年末だからと柄にもなく浮かれていたのかもしれない。


「ここ……?」

 着いたのは人気(ひとけ)のない公園だった。電灯も切れかかっているのか一帯が暗く、ひっそりとしている。

「おー、ここ! このちょっと上に行ったとこ!」
「大樹、押すなって!」
「春兄が遅いからだろーっ」
「お前が無駄に元気なんだよ」
“人がいないとはいえ、騒ぐとバレるんじゃないか?”
「「……」」

 セーガにもっともな指摘をされ、二人揃って口をつぐむ。それから顔を見合わせ、思わず吹き出した。しー、しーだな、と小声になりながら足を進めていく。雪が積もっているので歩きにくいが、踏み慣らされていない分、滑る心配はなさそうだ。

「……うわ」

 視界が拓けた先で、春樹は思わず呟きを漏らした。

「こんなとこに、こんなに星が見える場所があったんだ……」

 数少ない電灯が切れ、民家よりも高い位置にあるこの場所は、随分と空が近く見える。視界いっぱいに広がる星空はどこか懐かしくもあり新鮮でもあった。倭鏡でなら見られる場所も多いが、地球の、しかも家からそこまで離れているわけではない場所で見られたのは驚きだ。食い入るように見つめてしまう。

「あー、やっぱり! すげー!」
「……って、知ってたんじゃないのか? ユキちゃんと来たことあるとか」
「んや、初めてだぜ」
「?」

 キラキラと顔を輝かせながら星空を見上げる弟に、春樹はパチクリと瞬いた。天体観測が趣味の幼馴染から得た情報だと思ったのだが、どうやら違うらしい。ならば一体誰から――。

「風がさー、教えてくれて」
「……風?」

 空を見上げたまま、ぽつりと大樹が呟いた。
 予想外の言葉に、思わず眉が寄る。大樹の言葉は大体いつも分かりにくいとはいえ、今日もまた不明瞭さに磨きがかかっている。

「なんかオレ、結構“力”がぶわーってなってたじゃん」
「あ、ああ……まあ、何となく言いたいことはわかるけど……」
「それでな、何となく風が言ってるっぽいのがわかって」
「なんて?」
「こっちにいいことあるよー、みたいな?」

 ざっくりだ。全てがざっくりだ。カラカラと笑っている大樹もまた自分でよくわかっていないのかもしれない。この弟はどこまでも感覚的に生きている。

(まあ……それも大樹なりの“力”の向き合い方なのかもしれないけど)

 “力”に振り回されがちな大樹のことだ。それでも悲観的になるのではなく、こうして素直に前向きに耳を傾けることができるのは、良いことかもしれない。そう思うと馬鹿にすることもできず、春樹は幾分肩の力を抜いた。小さく笑う。

「いいこと、あったな」
「おう! 良かった!」

 にぱっと笑った大樹が、見上げてくる。

「春兄春兄、えーと、あれ! 今年もお世話になりました!」
「こちらこそ」
「来年もよろしくな!」
「少しは好き嫌いを減らせよ?」
「うっ……そ、それとこれとは別なんだぜ」
「そんなんだから伸びないんだよ」
「関係ないだろー!」
「食事を用意する僕の身にもなれって」
「食べるオレの身にもなるべきじゃんかー!」

 ぎゃあぎゃあと言い合い――またセーガにたしなめられ、二人は再び口を閉じた。年末と言いながらも今日も今日とていつもの延長で、それが何だか面白くなってくる。きっと明日も、またこうして馬鹿みたいな言い合いを繰り返すのだ。それがいい。それでいい。
 冷たい風が吹き抜けたが、それはどこか優しい風だった。


*****


もっとワイワイとした明るい感じも書きたいんですが、最近はつい、しんみり系に走りがちです。歳でしょうか……。
あと倭鏡伝をちょっと読み返してみたらやはり時間が経っているせいで全身を掻き毟りたい衝動に駆られました。
んあぁー! これは! 黒歴史のにおい! んんぁぁぁぁ……私にシリアスは向かないなー!ちくしょう!まあそれでも書きますけどね!来年も黒歴史を生産してやんよ……!

ではでは皆様、良いお年を!
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