10:海

一年越しにお題消化。
あずさという奴は、こういう奴なんだ。
ふいに思い出しては掘り返していく、そういう奴なんだ。

ちなみに懲りずにズガターカ鳥の目ちゃん。
……こういう奴なんだ。

ズガターカ鳥の目って何よ、という方に今までの。
時系列不順です。

壊れた鳥かごの中で、
朽ちた翼を休めて
イメソンその1(テ.ル.ー.の.唄)
イメソンその2(モ.ノ.ク.ロ.ア.ク.ト)
17:昼間の森
04:白い花
鳥の目が救えない(替え歌)
ツイッターメモ
13:心音
もしもなルート(10年後設定)
続・ズガ鳥のもしもなルート
↑のNG集
【どうやら】無戦PGの萌えが天元突破【異世界】※メメタァ
【無戦PGクラスタ】異世界に来ました【集まれ】※メメタァその2

……結構多いな!!?


<お題一覧>
Type : 1

01:晴れた日に(済)
02:手(済)
03:風の吹く場所(済)
04:白い花(済)
05:綺麗なもの(済)
06:笑顔(済)
07:手を繋いで(済)
08:うた(漢字は自由)(済)
例 : 歌、唄、詩等
09:おひるごはん(済)
10:海(済)
11:同じ空の下
12:安らぐ場所(済)
13:心音(済)
14:手紙
15:風に吹かれて
16:夕焼け(済)
17:昼間の森(済)
18:親友(済)
19:昼寝(済)
20:おやすみ(済)

<お題配布場所>
site name : 追憶の苑
url : http://farfalle.x0.to/
*****


「海!」
「海だ」
「海ですね!」
「海だな」

 うみ、うみー、とテンションの差はあれど、目の前の二人はいつもよりもどこか高揚した様子ではしゃいでいる。――はしゃいでいるのだと思う。一人は常にニコニコしているしもう一人は常に表情筋が死んでいるので、普段と変わらないといえば変わらない気もするが、だがしかしきっと、どこか違う。
 目の前に広がるのはだだっ広い塩水だ。地球の、陸地以外の部分。宇宙から見下ろしたときに何よりも多く目に入る部分。眩しいほどの青さの象徴――なのかもしれないが、今ブロッキングが目にしているのは暗くくすんだ色だった。単に汚れているだけの問題ではない。何せ太陽が昇っているかも怪しい朝の時間帯だし、季節はとっくに肌寒い。恐らく活気のある場所ですらそうなのだから、海風が強いこの場所ともなれば推して知るべしだった。ブロッキングの毛並みをもってしても冷たさが突き刺さる。ここら一帯はまるで灰色だ。
 だというのに、目の前の二人は寒さなど忘れて熱に浮かされたように海だ、海だと囃し立てる。
 狂ってやがるな、とブロッキングは今更なことを思考の端で考えた。考えて投げ捨てた。本当に今更だ。

「ブロちゃん、海!」
「見りゃ分かる」
「海だな……」
「だから分かるっての」

 二人がいきなり海に行きたいと言い出した理由は分からない。それに対しトラベリングが許可を出したのも理解ができない。その子守を押しつけられたブロッキングとしてはひとたまりもない。それをこうも呑気にはしゃがれては、ブロッキングの苛立ちは増していくばかりだ。せめて破壊活動でもできればストレス発散になったかもしれないが、いかんせん、こんな季節のこんな時間のこんな場所の海である。破壊し甲斐のあるものなんてありはしない。ただただ茫洋な空間だ。
 ばしゃん、と音がした。次いで「高尾」と呼んだ声がする。
 ブロッキングが視線を戻すと、無邪気の箍が外れたのか、高尾が海に飛び込んだらしかった。
 ――はあ!?

「おい!」
「ブロちゃん! 冷たい!」
「当たり前だド阿呆!」

 水浸しになったにも関わらず、高尾はケタケタと笑っている。何が面白いのか。全くもって分からない。分かりたいとも思わない。

「お前らに何かあったらどやされんのはオレだぞ!」

 苛々と怒鳴りながら駆け寄ろうとしたら――今度は伊月が高尾のところに入っていった。バシャバシャと水を掻き分けて進んでいく。後ろ姿なので伊月の表情は見えないが、出迎える高尾は「伊月サン」とやはりニコニコとした笑みを浮かべるばかりだ。だから困るのはブロッキングだというのに。身体を張った嫌がらせだろうか。

「高尾、冷たい」
「あはは、伊月サンも冷たいです」
「うん」
「だから当たり前だろうが!?」

 もうやだこいつら! そう心の中で嘆き、ブロッキングもヤケになって彼らの元へ駆け寄った。力ずくで引っ張り上げる。「あ」「あー」なんてがっかりしたような声が聞こえるが、彼らの意思など構ってられない。両脇に乱暴に抱え――丁重になんて扱ってられるか――ブロッキングはずんずんと岸の方に戻っていった。観念したのか、二人が暴れる気配はない。むしろ不安定な視界を楽しんでいるのかもしれない。呑気なものだ。苛々するほどに。

「いい加減にしろよ、ほんとに……!」
「あのねえ、あのね、海って、全部繋がってるんだって」

 突然高尾がそう言うものだから、ブロッキングは一瞬ばかり呆けてしまった。彼はいつも唐突だ。脈絡というものを切り捨てにかかっている。

「……あ?」
「だから、海。全部ぜんぶ、繋がってるんだって」
「……だから何だよ」
「ほんとかなぁって」
「はあ? 確かめるために飛び込んだってのか? そのまま流れてくつもりだったのかよ」

 相変わらずぶっ飛んだ思考に顔をしかめると、伊月が「高尾」と小さく呼んだ。ぱちくりと瞬いた高尾が、ふにゃりと笑う。

「うん。ごめんなさい」
「……別に」

 一体彼らの間にどんな意思疎通が図られたのか。ブロッキングには分からない。不気味だなと思うことしかできない。

「海は、おっきぃねぇ」
「大きいなぁ……」
「ぜんぶ、なくなればいいのに。ね、ブロちゃん」
「…………そうだな」

 支離滅裂な言葉の羅列に、そこに潜む狂気に。
 ブロッキングは抗うことを諦め、ため息と共にうなずいてやった。


*****

ブロッキングさんも好きなんですよ。もふもふ。
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あずさ

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二つ名:囁(アビス)
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四字熟語:好色生活
(※二つ名メーカー、脳内メーカー等による結果)
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