パピちゃんおたおめ!

遅れましたが、フォロワさんでいつもお世話になっているパピちゃんのお誕生日に赤降にチャレンジいたしました。
パピちゃんおめっと!さん!です!
これからもPG一年組の素敵動画を恵んでくだされー!ウオオオオオオ-!高尾さんを-!ウォオオォォ-!

しかしまあ、あずささんの書く腐向けはたかが知れてますので、そこんとこはあの……よろしくお願いします……。
腐向けというか、そもそも恋愛話というものがだね、どうもね、なかなかね、難しいのだよね。ね。

言い訳もそこそこに、追記から~。
*****


 降旗光樹、16歳。
 思いがけない形で春を迎えることになりました。


 ……と言っても、世間一般的な普通の「春」とは言い難いんだけど。



「赤司!」
「降旗」

 息を切らせてヘンテコな像の前――誰も正体を知らないけど目立つからよく待ち合わせに使われてる――まで走れば、悠然と構えていた赤司が顔を上げてオレの名前を呼んだ。キリッとしていた顔が、その瞬間パッと柔らかくなって、オレは不覚にもドキリとしてしまう。ああくそ、イケメンめ。

「うわ、まだ時間前だよな?」
「と言っても30分前だよ」
「十分早いよ!」
「降旗だってその早い時間に来たじゃないか」
「そ、そうだけどっ……」

 ニコリと微笑まれてしまえば、オレは反論できずにどもってしまう。
 だってそれは、いつも赤司がオレより前にスタンばっているからで。今日こそは赤司より早く来てやるって、半ば意地になって来たからで。
 ……そんなオレよりやっぱり早くいるって、一体いつ来てるんだ。

「なんか、ごめんな……せっかく遠くから来てくれているのに、いつも待たせて」

 遅刻したわけでもないのに、何だろう、すごく申し訳ない。
 そんな気持ちでしゅんとうつむいたら、クスリと小さく笑う声が聞こえた。ちらと見上げれば、案の定赤司はクスクス笑っている。

「いいんだよ」
「でも」
「降旗のことを考えながら待つとドキドキしてね。その時間が好きでいつも早く来てしまうだけなんだ」
「……」

 お、王子様かよ。
 穏やかに微笑んで、優しい声でそんなことを言われて、果たして平気でいられる奴がいるだろうか。いたら連れてきてほしい。しかもキザな台詞がこうも馴染んで出てくるなんて。どこの二次元だろう。オレをときめかせてどうしたいんだ赤司。いつもいつも爆発させられそうになるオレの心臓が今日も絶好調で悲鳴を上げている。
 ……でも、それが嫌じゃない、とか。オレも随分と毒されてしまったもんだ。

「それに、おかげで早く会えた」
「う、うう、それは、まあ」
「嬉しいよ」

 ぐああ、ってむず痒さに呻きそうになる。本当に嬉しそうに、穏やかに目元を和ませて見つめられたら、もうどうしていいか分からない。
 言っとくけど、ここは往来なわけで。休日だから人通りも結構ある建物の前なわけで。そんな場所で声を潜めるでもなく、そんなドストレートなことを言われて、オレは何度「ここ日本ですけど!?」と叫びたくなったことだろう。ていうか、何度か実際に叫んだわけだけど。そうしたら「何で敬語なんだ?」って見当違いなことを聞き返されたよね……もう諦めるしかないかなって気にさせられたよね……。といっても、だからといってオレが慣れるわけでもないんだけど。赤司は赤司でオレが上手く反応できないのが分かってて楽しんでいるんだからタチが悪い。ああくそ、それでもやっぱりカッコいい。神様ってやつは卑怯だ。

「も、もう分かったから! それより映画! もうすぐだろっ?」
「ああ。行こうか」

 オレがテンパってるのをやっぱり楽しげに見ていた赤司は、あっさりとうなずいて歩き出し――って。

「あか、赤司っ、手!」
「嫌か?」
「は……!?」
「嫌ならやめるよ」
「嫌、って、でも」
「オレは繋いでいたいけど、降旗の嫌がることはしたくないから」
「う……」
「降旗のことを優先したいんだ」
「……そういう言い方は、ずるい、と思う」

 思わず、握られた手にぐっと力を込めてしまう。
 ……手を繋ぐこと自体が嫌なわけあるか。せっかく久しぶりに直接会えたんだぞ。電話は結構してたけど、それでも東京と京都じゃ遠くて、声だけじゃなんだか物足りないってどれだけ思ってしまったことか。だからこうやって直接触れ合えて嬉しくないわけがないのに。それを赤司だって知ってるくせに。
 言葉に詰まって何も言えないでいると、少し前を歩いていた赤司はゆっくりと隣に並んだ。繋がれたままの手が緩く揺らされる。

「降旗も知ってるだろ? オレは元々ずるい人間だよ」
「……オレが嫌って言えないの分かってて、楽しんでるだろ」
「ああ」
「くそー……」
「なんてね。冗談だよ。本気で嫌がられたらどうしようか、実は不安だった」
「……嘘だろ?」
「まさか。……降旗はいつも、色んな人に囲まれてるしね。いつ奪われてしまうか、不安にもなるさ」

 ……だから、なんて表情(カオ)で、なんてことを言ってのけるのか。
 ああもう、ってヤケになって力一杯握られた手を引いてやる。赤司はそんなにバランスを崩したわけじゃないけど、少し驚いたみたいにこっちを見てきた。

「バカだな。オレにそんな余裕あるわけないじゃん」
「降旗?」
「オレなんて凡人、お前だけで手一杯だよ」
「……それは――」

 苦笑した赤司が何か言い掛けて――ちょうどそこで、後ろから人がぶつかってきた。よろめいた反動で手が解ける。
 慌てて後ろを振り返ったら、やたらと恰幅のいい男が仏頂面でこっちを見ていた。ツンと漂うアルコールの臭いが不快感を煽る。しかも、強面そうで、うわあ、ちょ、近い、近い近い!

「どこ見てんだぁ? アァ?」
「ご、ごめんなさい!」
「……すみませんでした」
「謝ればいいと思ってんのかァ?」
「うヘえぇ……!?」

 焦るあまり変な声が出た。
 というか、ぶつかってきたのは相手なわけで。確かに二人並んで幅は取ってしまっていたかもしれないけど、道もそんなに狭いわけじゃないし、十分横を通っていくことはできたわけで――だけど、この酔った相手に言っても無駄だってことは、誰が見ても明らかだった。凄んでやたら顔を近づけてくるのが怖い。そのたびに吐く息から嫌な臭いが纏わりついてくる。

「坊主、どこの学校だ?」
「へ……!?」
「マトモに教育もされてないなんてろくでもねえ。言えよ。先生とやらに連絡して俺が直々に――」

 酔っぱらいは自分でも何を言ってるのか分かってないのかもしれない。とにかく無茶苦茶なことを言ってオレの腕をつかんできた。力任せなそれはやっぱり痛い。顔をしかめて腕を引くけど、簡単には離れてくれない。
 ああ、嫌だ、やだな、せっかく久々に赤司と会えたってのに、こんなことで時間を潰してしまうなんて――。

「その汚い手を離してもらおうか」

 情けなさにいっそ泣きたい気持ちになっていたら、突然、すぐ近くでやたら凛とした声が響きわたった。オレだけじゃなくて酔っぱらいも驚いたように顔を上げてオレの隣――赤司を見ている。

「何だと?」
「その腐った手で光樹に触れるなと言っているんだ」

 ……あれ。あ、れ。
 オレは違和感にビックリして――いや、ぶっちゃけると実は「もしかして」くらいには思ってたんだけど――酔っぱらいのことなんて頭から吹き飛んでしまった。
 ギラギラとした剣呑な空気。オレを光樹と呼ぶ声。極めつけは、異なる双眼の色。

 ――出ちゃったよ。

 うん。まあ。我慢できなかったんだな。気持ちは分からなくもないけど。

「こら坊主、大人をバカにするとはどういう了見だ?」
「敬える器になってから出直してきてくれるかい? さもないと――」

 ニコリと微笑んだ赤司の眼光は、それだけで相手を焼き殺せそうなほどの圧をはらんでいて、正直オレですら腰が抜けそうなほどだった。それを慣れてもいない酔っぱらいが耐えられるわけもなくて。
 赤司が一歩踏み出す。それだけ。それだけで、赤司が最後まで台詞を言うまでもなく、酔っぱらいはオレの腕を振り払うようにして一目散に逃げていったのだった。一目散というか、厳密にはかなりの千鳥足だったけど。まあ、どうでもいいよね。

「……まったく」

 呆然とその後ろ姿を見送っていたら、赤司がため息と共にオレを見てきた。呆れきったその表情に申し訳なくなる。

「君はいつも危なっかしいな」
「……ご、ごめん」
「全く、見ているこちらの身にもなってくれ」
「……心配、してくれたんだ?」
「……」
「赤司?」
「だから、そういう無防備な顔をするなと何度も……!」

 ギリギリと歯ぎしりをしかねない勢いで顔をしかめる赤司の顔は、それでもやっぱり整っていてずるいなと思う。

 ――赤司征十郎は、二重人格だ。
 普段は、さっきまでオレと話していた、一人称が「オレ」の赤司が中心に生活している。元々の人格がそっちで、一時的に隠れていたけど、ウィンターカップ以降は「戻った」んだって話してた。だけど、今出てきてオレにブツブツと説教をしている、一人称が「僕」の赤司も消えたわけじゃなかった。たまにこうしてオレの前に出てきてはよく説教してくる。まあ、大体赤司の言うことはどちらの人格でも正しいから申し訳ないんだけど。

「光樹!」
「……えっ、あ、はい!」
「またすぐボーッとして。ちゃんと僕の話を聞いていたのか?」
「き、聞いてるってば。ごめんな、赤司。いつも心配かけて」
「……僕は別に、謝られたいわけじゃない」
「え?」
「ただ、君のことが心配だから……気をつけてほしい、それだけなんだ」

 う、うう。
 少しだけ拗ねたような物言いと、伏せられた瞳と。ああ睫毛長いなぁそういう仕草も絵になるんだからずるいなぁ、なんて少し現実逃避気味に思う。あざとい、あざといぞ赤司。くそぅ。だからいちいちときめかせないでくれ。心臓がもたないんだってば。

「気をつけるな、ありがとう。……ところで、その、勝手に出てきちゃって良かったのか?」
「いいんだ、あいつばかりズルいと思っていたところだ」
「よく譲ってくれたな?」
「揉めたけどね。夜は邪魔するなという約束で仕方なしに譲ってくれたよ。あいつも追い払うには僕の方が手っ取り早いと踏んだんだろう」
「あ、あはは……確かにあっという間だったよな。ありがと、赤司」
「うん」

 お礼を言ったら、思いがけず嬉しそうに微笑まれてドキリとする。不意打ちだ。

 ……オレは、なんやかんや、すったもんだの末、赤司と恋人になっていわゆる春が訪れた。オレが最初に描いていた春とは随分と変わってしまったけれど、好きな人と一緒にいられるのは幸せだからまあいいかと思う。赤司もオレも男だけど、今のところ赤司が色々と強すぎて常識的な心配なんかは吹き飛んでるし。麻痺してるとも言うんだろうけど。

 ただ、まあ。
 なんというか……改めて振り返ってみると、どうしてこうなったと思わないでもないというか……。

 恋人が同性で、二重人格で、それだけでも世間一般の「普通」とやらとは違うというのに――さらに厄介なことに、オレはそのどちらの人格からも好意を寄せられていた。あの赤司が、というだけでも驚きなのに。しかも穏便な話し合いの末――胃が痛くなるからあんまり思い出したくはない――オレは二人と公認のお付き合いを始めることになったのだ。何もかもビックリすぎて、正直もう、オレの脳細胞は何百回も死滅したんじゃないかと思う。それで必死に再生した結果、全部受け入れるしかないやと開き直れたわけだから、もしかしたらここまで全部赤司の策だったんだろうか。分からないけど。分からなくてもいいや、って今は思うようになったけど。

「映画までの時間はあいつからもぎ取った。だから光樹、一緒に行こう」
「……うん」

 差し出された手に、一瞬の躊躇いがなかったと言えば嘘になるけど。結局オレは、この手を拒むことなんてできやしない。
 だって、どっちも、赤司で。オレの恋人で。好きな人で。
 ややこしいけど、周囲からは理解されないだろうけど、この先どうなるかなんて全く分からないけど――でも、確かにオレは幸せだから。
 今は、それでいいと、思うんだ。


「なあ、光樹。僕は今の形を容認したけど、それでもあいつに全てを譲る気はないよ。そこのところは覚悟しといてくれ」
「……うん?」
「ハジメテは、一度しかないからな」
「……」

 やっぱ駄目かもしれない。





*****


実はかなり前に、オリジナルでもかなり同じ傾向の話を書いてしまっているのですが。二重人格ネタだとどうしても一度はやっておきたいネタだったゆえに。つい。すみません。
二人?三人?に幸あれ!
最後に改めて、パピちゃん、おめでとうございました!
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