一足先にハロウィン!

ナカちゃんからダブドリのハロウィン小説を書いて!と言われたので。
ほとんどハロウィン関係なくなりましたけど!


※黒バス二次創作『無敵戦隊ポイントガード』の三次創作
※笠松、春日、高尾、ダブルドリブル
※何でもありなんだってばよ


追記からどーん

***

 10月31日。
 その日、無敵戦隊の基地にはダブルドリブルが揃ってやって来ていた。敵側のはずなのに堂々と来ていいのか――そう笠松がツッコんだことは幾度もあれど、それで彼らが気を変えたことはないのでもはや気にしないことにしている。気を揉んだところでこちらが疲れるだけだ。時には放置も必要なのである。
 ちら、と笠松は居間の向こうに視線を向けた。高尾と春日がダブルドリブルをその部屋に連れていったので、恐らく今は四人で遊んでいるのだろう。彼らは特にダブルドリブルを可愛がっているし、ダブルドリブルもよく懐いている。ギターのチューニングが終わったら幸男も来なよ~、と声は掛けられているが、果たしてどうしたものか。正直なところ、常識を捨てきれない笠松としてはどこまでダブルドリブルと関わっていいものか疑問なところだ。

(まあ、あんなちっせぇ子供だしなぁ……)

 確かに敵対するよりは可愛がってやりたくなるだろう。とはいえ、あれでもズガターカでは結構な地位にいるらしい。油断をするつもりもあまりなかった。
 さて、と一通りギターに触れて満足した笠松は息をつく。
 と。

「ほぁあぁぁああああぁぁあ!?」
「!? 和成!?」

 いきなりの絶叫にぎょっとする。何かあったのか。しかし悲鳴以外に物音らしい物音はしない。それが余計に異様だった。
 慌てて立ち上がり彼らのいる部屋に飛び込む。扉を開けたすぐそこに高尾はいた。

「おい、どうした!?」
「ゆ、ゆきお、サン」

 振り返った彼の顔はどこか青ざめている。やはり何かあったのだ。サッと緊張が走り顔が強張った。おい、と幾分声を低くして高尾の肩をつかむ。呆然としたまま口をパクパクとさせていた彼はそれで我に返ったのだろう、ようやく言葉を絞り出してきた。

「り、隆平サンがっ……」
「隆平に何があった?」
「あの、ダブルドリブルに、その」
「落ち着いて話せ。つーか隆平はどこに……」
「ここにいるよ~」
「…………は?」

 声が聞こえ辺りを見回す。しかし見当たらない。少し先にはなぜかドヤ顔のダブルドリブルの姿。しかしやはり春日の姿は見当たらない。声だけするだなんてホラーか。

「おい、今の声どこから」
「ここだってば~」
「幸男サン、下……下っす……」
「下?」
「そう、ここ~」
「……、…………隆平いいいいいい!?」

 ぎこちなく下を指差す高尾と謎の声につられて徐々に視線を下げていった笠松は――高尾の足元にちょこんと立っている春日の姿を見つけたのだった。





「ええと、最初はふつーに遊んでたんですけどね? 今日ハロウィンじゃんって話になって、ハロウィンって何ってダブドリたちに聞かれたから、まあ簡単に話したんすよ。お菓子をくれなきゃイタズラするぞ~、みたいな」
「ああ……」
「でもオレら、上手く説明できなかったんすかねえ。イタズラしていい日だって誤解したらしくて」
「ああ……」
「隆平サンによって着替えさせられたダブドリがいきなり顔輝かせて……あ、可愛かったんですけど……ヘンテコな銃みたいなの取り出して、構えて、隆平サンに『覚悟ー!』とか言って……いや可愛かったんですけど……光線浴びせて、そうしたら隆平サンがこんな子供姿に。いや可愛いんですけどね!? ビビりすぎて思わず叫びましたよね!」
「落ち着け」
「イタズラできたのー」
「ドッキリ成功なのー」

 ダン、と机に拳をぶつけてうなだれる高尾はどうやら混乱しているらしい。それとも通常運転だろうか。その横ではやはりダブルドリブルがドヤ顔で胸を張っている。着替えさせられたという彼らは吸血鬼と狼男を模しているのだろう。マントや狼の耳などがいかにも「らしく」、可愛らしい。
 春日はというと、マッドサイエンティストたちに連絡をし身丈に合う服を用意してもらっていた。といってもほとんど普段のダブルドリブルたちと同じ格好である。サイズといい、これではまるで――。

「おそろいなのー」
「なのー」
「いやあ、こんなちっちゃい子とお揃いって照れくさいよねぃ。若すぎるっていうか~」
「『若い』っつーかそこまでいくと『幼い』だろ……」
「てか隆平サンたちまだ若いですからね? まだ高校生っすよオレら?」
「あはは~」

 驚くほどのんびりとした笑い声に力が抜けそうになる。
 ガリガリと盛大に頭をかき、笠松はため息をついた。他の無敵戦隊のメンバーが来るまでまだ時間があるだろう。できることならこれ以上カオスになる前に解決したい。何せ彼らは一癖も二癖もありすぎる。そんなメンバーにこの春日を見せたらどうなるか。

「なあ、ダブルドリブル」
「なの?」
「のー?」
「どうすりゃ戻る?」

 じっと見つめると、大きな二対の目がきょとんと瞬いた。彼らは互いに顔を見合わせる。それからコテン、とそれぞれが違う方向に首を傾げた。

「かさまつ知りたいのー?」
「のー?」
「ああ、教えてくれると助かる」
「でもせっかくおそろいなのー」
「りゅーへーといっしょなのー」
「うーん、そこを何とか! オレからもお願い。なっ?」
「かずなりもなのー?」
「なのー?」
「オレからもお願いしたいかなぁ~」
「りゅーへーもなの?」
「なのー?」

 それぞれのお願いに、ダブルドリブルは揃って瞬く。そこに悪意らしいものは見えない。恐らく純粋なイタズラだったのだろう。とてつもなくはた迷惑だが。
 うーん、と腕を組んで考えていた様子の彼らは、しばらくすると同時に顔を上げた。妙にキラキラと顔を輝かせて。

「ごほーし!」
「すれば教えるのー!」

 ――何だって?





「おうまさんー!」

「ひこうきー!」

「かたぐるまー!」

「ぶんぶんー!」

「もういっかいなの!」

「なのー!」

 ……。
 …………。
 ……………………。

「おい、和成、生きてるか……」
「な、なん、とか……」

 二人はぜぇぜぇと荒い息を整えながら床とこんにちはしていた。――なめていた。子供の体力をなめていた。
 笠松も高尾も現役バリバリの男子高校生で、しかも厳しい練習を積む運動部だ。そこらの相手よりよほど体力は身についている。だというのにどうだろう。散々彼らに付き合わされ振り回され、自慢の体力もこのザマだ。床についた膝が何だか悲しい。笠松よりも体力が劣る高尾に至ってはもはや床に突っ伏し屍一歩手前になっている。可愛くねだられて最初の方で張り切りすぎたらしい。

「つーか、隆平、途中でお前も混じったろ!」
「あはは、うっかり~」
「うっかりじゃねえ」
「ごめんねぃ、なんか精神的にも少し引っ張られてるみたいなんよ」

 のんびり言ってのける春日の様子はあどけない。上目で見上げ、へにゃりと軽く笑われれば、笠松としてもこれ以上は強く言えなかった。くそう。あざとい。

「でもそうだね、休憩しよっか」
「もうなのー?」
「なのー……あ、そうだ! とりかわとろうぜ、なのー!」
「は?」
「とりかわとろうぜ、なのー!」
「は?」

 意気揚々と手を差し出してこちらを見てくるダブルドリブル。心なし目が輝いているような。狼の耳がピコピコしているがどうした。何故動く。電池か。電池だろう。そうに違いない。

「とりかわ取ろうぜ……? 何だいきなり、鳥の皮剥ぐのか……?」
「あの幸男サン、オロオロしながらオレを前に出そうとするのやめてくれませんか、オレ人間です、あの、ホーク・アイとか言ってますけど人間です。何ですかこの流れ皮剥がれるんですか、ちょっと高尾ちゃん笑えなくて超絶真顔なうなんすけど」
「あ、いや、他意はない」
「疑わしい! あと多分、トリック・オア・トリートっす。長くて言えなかったんじゃ?」
「あー……でもこいつら、この前寿限無寿限無言ってたぞ。あと円周率を淡々と」
「すげえ!?」

 ――などと高尾とヒソヒソ話していたら、ダブルドリブルがぷぅと頬を膨らませた。分かりやすく拗ねている。

「ナイショはずるいの」
「お菓子はないのー?」
「あ~、そういえばオレ、かぼちゃプリンを作ってたんよ」
「かぼちゃ!」
「プリン!」

 ポツリと言った春日に、ダブルドリブルの表情がパッと輝いた。ソワソワとし始める。彼らは春日の料理やお菓子が大好きなのだ。無敵戦隊のメンバーも同様にそれらが好きなのだが。
 ヘラリと笑った春日は、それから「うーん」と眉をひそめてみせた。

「でも、この姿のままだと不安になっちゃってちゃんと仕上げられないんだよねぃ」
「なの!?」
「それどころか、このまま戻れなかったらもう料理もお菓子も作れないかもしれないなぁ」
「なのー!?」

 ガァン、とダブルドリブルをとてつもない衝撃が襲ったらしい。彼らは驚いた顔のまましばらく硬直していた。マントと狼の耳が驚きのあまりピンとはねている。だから何故それらが生き物のように動くのか。気のせいだろうか。気のせいだろう。
 衝撃からじわじわと立ち直ったダブルドリブルが春日の手をそれぞれ握る。彼らと春日の視線の高さが同じなのが、笠松たちからすればどうにも慣れない。

「だ、だいじょうぶなの……!」
「一日経てばもどるの……!」
「だからりゅーへーはおいしいご飯を作れるの……!」
「なの……!」
「そっかぁ、それなら安心だねぃ」

 ――あっさりと聞き出しにこーと笑みを浮かべた春日に、ほぅと安堵の息をつくダブルドリブルたち。それはまるで癒しの空間だ。子供の笑顔というのは世界の宝なのである。

(なあ、和成)
(何すか)
(俺たちがこれだけ頑張った意味って)
(あっは……隆平サンまじ策士)

 何やら色々と解せない。しかし終わり良ければ全て良しなのだろう。そう言い聞かせ、笠松たちもぐったりしていた状態から何とか気持ちを切り替えた。何よりこの後は春日特製のプリンが待っている。顔には出さないが楽しみだ。
 途中はどうなることかと思ったが、無事に戻るのなら余裕も生まれ、笠松はそっと息をついた。これもハロウィンなどというお祭り騒ぎの一端だと思えば、一年に一度くらいは許してやってもいいかもしれない。もう二度とごめんだが、まあ、一度くらいであれば。これきりであれば。

「……おい、ダブルドリブル」
「なの?」
「のー?」
「トリック・オア・トリート」

 ぱち、とダブルドリブルは瞬いた。お互いに顔を見合わせる。それを笠松は上から覗き込んでやった。ニィ、と口角を上げてやる。

「お菓子、ないのか?」
「な、なのっ?」
「ないのー……」
「じゃあイタズラだな」

 そう言って軽いデコピンをすると、「ぴ!」「み!」と二人は奇妙な声で鳴いた。力の加減はしていたので痛くはないはずだ。恐らく驚いただけだろう。額をおさえた彼らは猛然と声を上げてくる。

「ず、ずるいのー!」
「来年は負けないのー!」
「はは、そうだな。来年はみんなで用意しといてやるよ」
「……あっれー? 幸男サン、乗り気っすね」
「ぬかせ」
「あでっ」

 ニヤニヤと覗き込んできた高尾にも一発、デコピンを食らわせクスクスと笑う。――一年に一度くらいなら、まあ、良いだろう。




(おまけ)

「話が済んだならプリン持ってこようか。冷蔵庫の中に冷やしたのがあるから~」
「あ、隆平サン。手伝うっす」
「まあ、今のお前に皿やら何やら持たせるのも怖いしな」
「助かる~」
「いっしょにやるのー!」
「てつだうのー!」

 台所へ向かった春日に続き、高尾や笠松も後に続く。その後をさらにダブルドリブルたちが元気に追ってきた。あんま走るなよ、そう注意しかけたそのとき、

「あっ」
「!」

 ダブルドリブルがつまずき、バランスを崩した。とっさに高尾と笠松は前に出る。手を伸ばす。ピカ、と眩しい光が目に入った。

「っ、眩しい……!?」
「何だ……!?」
「――あちゃあ」

 春日が奇妙な声を漏らしたが、ともかくダブルドリブルは転ばなかったらしい。体勢を立て直したダブルドリブルはぽかんとその場に立っていた。その手には不思議な形をした銃。それが、笠松や高尾に向かっていて。先ほどの光は、その銃口から出てきたもののようで。状況から察するに、どうやらダブルドリブルが転びそうになった拍子にうっかり発動させ、それが笠松と高尾に当たってしまったもののようで。
 ふいに、視線が急激に低くなった。

「「あ――――っ!!?」」



その後無敵戦隊メンバーが集まって、めちゃくちゃトリック・オア・トリートした
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