08:歌

2014/08/08 Fri 21:23

のんびり消化を続けていきませう。
あ、明日はひさっちと遊園地行ってきます。わーい楽しみ!


<お題一覧>
Type : 1

01:晴れた日に(済)
02:手(済)
03:風の吹く場所(済)
04:白い花
05:綺麗なもの(済)
06:笑顔(済)
07:手を繋いで(済)
08:うた(漢字は自由)(済)
例 : 歌、唄、詩等
09:おひるごはん
10:海
11:同じ空の下
12:安らぐ場所
13:心音
14:手紙
15:風に吹かれて
16:夕焼け(済)
17:昼間の森(済)
18:親友(済)
19:昼寝(済)
20:おやすみ

<お題配布場所>
site name : 追憶の苑
url : http://farfalle.x0.to/

※黒バス
※腐向け、降高降
ツイショートで書いた降高降 の続きっぽい感じ


08:歌


 高尾は、歌が上手い。だからだろうか、よく鼻歌なんかも歌ってる。それもまた上手いし安定してるし、それに楽しそうに歌うから、聴いているこっちまで何だか楽しくなってくる。だからカラオケで歌うとなれば、そりゃあノリノリなわけで。そうやってひっそりと聞き惚れていたら、ピタリと止めた高尾がオレの顔を覗き込んできた。う、近い。

「降旗はさあ」
「うん」
「オレのどこが好きなわけ?」
「……うっ」

 なんてことを、タイミングもクソもあったもんじゃない状況で聞いてくるのか。この野郎。

 ――オレは高尾に告白している。そして一度フラれている。
 それでも諦められなかったオレを、ある程度は情を持ち合わせているこの男は、もう少しだけ前向きに検討を重ねてくれることにしたらしい。それはありがたい。恥も外聞も捨ててボロ泣きしてしまった甲斐はあったかなと思う。考えるには材料が必要だとか何だとかで、二人で遊ぶ機会も前よりもっと増えた。それは本当に嬉しい。今だって二人でカラオケだ。オレら以外に人がいるわけじゃないからぶっちゃけた話をするには丁度いいのかもしれない。でも、でもさ、だからってこういうのはどうかと思うわけですよ。

「は、はぁ!? 何だよ急に!」
「いや、敵情視察っつーか? 考えるにしてもその辺がいまいちピンとこねーんだよな」
「……それは」
「てのは建前で、単純に聞きてぇかなーなんて?」

 あは、と笑ってみせる高尾に、オレはヒクリと顔を引き攣らせる。くっそ。あざとい。何だこいつ。何でオレこんな奴を好きになっちゃったんだろう。ああそっか、それを高尾も知りたいんだっけ。そうだな。オレも知りたいくらいだわ。

「……って言われても、なんかいつの間にかって感じだったからなぁ……」
「具体的なキッカケがあるわけじゃねーんだ?」
「うーん……例えば、同じポジションだから目で追いかけることも多いし、そんでそのプレイとかはすげぇしカッコイイと思うし」
「オレよりすごい人たちなんていっぱいいるだろ。それこそ先輩たちとか、赤司とか」
「そうだけど。……あと、話してて楽しいし、仲良くしてくれるし」
「誠凜サンの方が仲いいしよく遊ぶんじゃねーの?」
「……ごもっともです」

 あっさり返されてしまうと、ただでさえ口下手なオレは反論できない。高尾は口から生まれたんじゃないかってくらい弁が立つし。そもそも勝てる土台じゃないんだ。情けなさに思わず肩が落ちる。
 そんなオレを見て、ふぅん、と高尾は軽く呟いて距離を取った。次の曲を歌おうとしてリモコンをいじっている。

「な、なんかごめん?」
「まあ、いいけどさ。……それでも友達じゃ駄目なのかよって気はする」

 ポツリと落とされた呟きに、なんだか頭を殴られたような衝撃を受けた。

「高尾」
「なに、……うぉ!?」
「高尾だからだよ」
「降旗?」
「高尾だからだ」

 肩をつかんで、視線を向けさせる。目を逸らしちゃ駄目だ。ここだけは、逸らしちゃ、逸らさせちゃ、駄目だ。
 なあ、オレも高尾の気持ちは分かるよ。オレだって何度も思った。友達でいいじゃん。友達がいいじゃん。そうすればオレもお前も傷つかない。
 それなのに、オレの馬鹿になっちゃった回路はそんな考えを切り捨てる。
 尊敬だけじゃない。楽しいだけじゃない。オレにも分からないことばかりだけど、どうしたって、お前が、高尾だから、だから。

「高尾だから好きなんだよ……」
「…………降旗クンって時々すげー熱烈だよな」
「あっ、ご、ごめん」
「いや、いいけど」

 ヘラリと笑った高尾に慌てて距離を取る。またやってしまった。カッとなるとつい行動に移しちゃうのは少し改めた方がいいかもしれない。
 チラと見れば、高尾は何でもないような顔でまたリモコンをいじっていた。ぴっぴっと慣れた手つきで操作している。……少しくらい反応してくれたって。そりゃあ突発的に動いてしまったオレがアホなだけかもしれないけど。でもなぁ……なんて眺めていたら、高尾が全然こっちを見てこないことに気づいた。
 あれ。あれれ? いつもはこうやってじっと見ていたら「どうした?」って聞いてきたり「あんま見るなよ」って茶化してきたりするのに。あの高尾がオレの視線に気づかないはずがないのに。
 もしかして。もしかしてだけど。
 照れてる?

 ……うわあ。
 ああ、なんか、どうしてだろう。またたまらなくなってしまう。悔しいな。どうしてオレばっかり。でも、惚れた方が負けって言うもんな。
 じたじたしたくなる衝動を抑え込んでいたら曲が始まる。アップテンポでCMなんかでもよく流れる曲だ。イントロが少しだけ長い。高尾がマイクを持って画面に顔を向ける。
 なんていうか、……うん。

「あのさ、高尾」
「何だよ」
「オレ、高尾の歌も好きだな」
「え」
「お前の声とか、歌い方とか、呼吸の仕方とか。そういうの、好きだよ」

 言えば、ぎょっとしたように高尾がこっちを向いて。歌詞が始まってしまったのに変な顔をしたまま硬直しているもんだから、オレは思わず笑ってしまった。顔が赤いのは気のせいかな。

「ね。だから聞かせてよ、歌」

 
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