02:手

ふわっふー。引き続きの引き続きでお題消化していきますぜ。


<お題一覧>
Type : 1

01:晴れた日に
02:手(済)
03:風の吹く場所
04:白い花
05:綺麗なもの(済)
06:笑顔
07:手を繋いで
08:うた(漢字は自由)
例 : 歌、唄、詩等
09:おひるごはん
10:海
11:同じ空の下
12:安らぐ場所
13:心音
14:手紙
15:風に吹かれて
16:夕焼け(済)
17:昼間の森
18:親友
19:昼寝
20:おやすみ

<お題配布場所>
site name : 追憶の苑
url : http://farfalle.x0.to/

※わっか日和
※樹と葵。葵→樹といえば、まあ、そんな感じ。


02:手


「あーおー兄っ」
「んぁー? どした樹-?」
「へへー。手、見せてほしーのだよ」
「手?」

 突然やって来た幼馴染みは、いつものニコニコと元気な笑みでいつものように唐突なことを言ってのける。一体何だと思わないでもないが、もはや慣れてしまった葵としては特に気にすることでもない。そもそもこの幼馴染みの生き様は非常に単純明快で、悪巧みできるような性格でもないのだから警戒するだけ無駄というものだった。むしろ本当に楽しそうだなぁとつられて笑いたくなってしまう。

「ほれ。右手でいいんか?」
「んー、拝見しますデス」
「おう」

 あっさりと差し出された手を見て、嬉しそうに樹は触れる。彼女はそのままワクワクを抑えきれない口調で口を開いた。

「あのねあのね、手相を教えてもらったのだよ」
「へー! すげーじゃん!」
「うへへ、でしょでしょ。性格とか、お金のこととか、あとは付き合った人の数とかもわかるらしいのだよっ」
「うえっ」

 無邪気に言われた言葉に少しばかりぎょっとする。反射的に手を引きそうになって、樹に不満そうに唸られた。わりぃわりぃ、と謝ってから息をつく。

「マジでか」
「マジでだ」
「えぇ……すげーな手相……えぇぇ……」

 だよね、と樹はどこか誇らしげに胸を張ってくるが、彼女にほのかな恋心を抱いている葵としては複雑だ。鈍感すぎる樹だから今まで自分の気持ちなど全くバレていないが、もしも、そこまで手相で分かるのだとしたら。自分の気持ちがバレてしまうのだとしたら。ぐにぐに手を触ってくる樹に「くすぐってーってばよ」と笑いつつ、内心では手汗が噴き出しそうな勢いで動揺する。

(いやいや、いやいやいや、落ち着けってば俺! 大丈夫! 多分! きっと! ファイトだ俺!)

「……で、で? んっと、樹、何か分かったんか?」
「んー……」
「樹?」
「……あお兄は、いっぱい食べるね!」
「それ手相関係ねーよな!?」

 大丈夫だった。全然大丈夫だった。
 どっと肩の力が抜ける。どうせそんなことだろうとは思っていたけれど。いや本当に。焦ってなんか。全然焦ってなんかないってばよ。

「うはは、ごめんあお兄! 難しかった!」
「いやいいけど。まあ、修行が必要ってことだな!」
「任せろなのデス」
「おう、応援してんぜっ」

 切り替えの速さはお互いさまだ。何だかおかしくなって笑い合う。

「そーだ、樹の手も見せてくんね?」
「ん? あお兄も手相見るの?」
「んー、そんな感じ」
「ほえー」

 疑うことを知らない彼女はあっさりと手を差し出してくる。この辺もまあお互い様だろう。
 ――自分と比べて、随分と小さな手。
 男勝りなところもあるけれど、無茶ばかりしている彼女だけれど、ああ、やっぱり女の子なんだなと認識する。

「あお兄?」

 覗き込んできた樹に、葵は二カッと笑ってみせた。

「……樹は、頑張り屋さんだな!」
「へっ?」
「あと、すっごく元気だ! これからもその調子でいけばきっといいことあるぜ」
「ほんと?」
「おう、俺は嘘つかねーだろ?」
「うん、あお兄だもんね」
「そう、俺だからな!」

 そうやって無防備に手を預けてくれるから、笑ってくれるから。
 この小さな手を、葵もまたしっかりと握り返してやるのだ。

スポンサーサイト
Home |  Category:メモやら小話やら |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback0
Tracback

Tracback URL :

Comment

    
Home   Top
 
プロフィール

あずさ

Author:あずさ
武器:シャーペン、ノート、パソコン、ポメラ
レベル:29
二つ名:囁(アビス)
あだ名:エゴイスティックスケコマシ
四字熟語:好色生活
(※二つ名メーカー、脳内メーカー等による結果)
アイコン:朧夜緋雨さまから

最新記事
カテゴリ
呟き、囁き、ぼやきに寝言
最新コメント
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QRコード