イメソンその2

相変わらずもさもさとよく分からないものを生産しています、もさもさ。
ズガターカ鳥の目ちゃんのイメソンをまた教えてもらったんで聴きながら書こうとしたんですが……まとまらない、まとまらない。
それでも無理矢理形にはしたので放り投げておきます。消化不良でしょんぼり。

ズガターカ鳥の目ってなんぞや、という方は こちら↓ を参照に。
『壊れた鳥かごの中で、』
『朽ちた翼を休めて』
イメソンによるその1

まあ要するに三次創作みたいなものですね(´∀`)

今回教えていただいたのは『モ.ノ.ク.ロ.ア.ク.ト』という曲です。

中身は追記からー。


*****


 テーブルに広がるのは、甘いケーキと、少し苦めのコーヒーゼリー。いつからだろう、リクエストをすれば大体何でも揃うようになった。その中でも何となくコーヒーゼリーは好きで、伊月はしばしばそれをリクエストとして繰り返す。「よく飽きねーな」とブロッキングは呆れたように言ってくることもあるが、伊月には飽きるという感覚ももうよく分からない。どこか時間の感覚が麻痺しているようだった。一口すくって口に放れば、口の中でほろほろと崩れていく。甘みと苦み、どちらも微かに脳に訴えてくる。

「伊月サン」
「――……ん?」

 ひょいと顔を覗き込まれ、伊月は一拍遅れて反応を返す。こちらを見つめる瞳はニコニコとどこまでも無邪気なものだ。その無邪気な瞳を爛々とさせて、目の前の高尾はコテンと首を傾げてみせる。

「伊月サン、痛い?」
「……え?」
「カオ。痛そう」
「……そうかな」

 ペタリと頬に触ってみたが、よく分からない。痛みはない。怪我をしたわけでもなかった。
 そのやり取りを見咎めたのはプッシングだ。

「いや……そもそもこいつ、全然表情変わんねぇだろ」
「あー。能面っていうんだろ、こういうの」
「? プーちゃんもブロちゃんも、見えない?」
「あぁ?」
「見えてるからの感想だっつの」
「そうなの?」
「そうだよ!」
「伊月サン、そうなんだって」
「へぇ」
「あああこいつらのテンポほんと苛々するな!」
「騒がしいですよ」

 ため息と共にやって来たのはトラベリングだった。「だってよ」と不満そうなブロッキングを軽くいなし、席につく。

「おや……今日はコーヒーゼリーですか」
「伊月サンが好きなの」
「知ってますよ。……美味しいですか、伊月俊?」

 問いかけられ、もそもそと食べていた伊月はゆっくりと顔を上げた。意味を咀嚼する。

「…………美味しく、ない」
「はぁ? 今まで美味いから食ってたんじゃないのかよ」
「不味いもん食べてたってマゾか」
「……もっと美味しかったのに。美味しいのに。みんなで食べたときは、もっと……あれ、」

 スプーンを置く。顔を上げる。

「……?」
「お前いちいち止まるのやめろよ、不気味だっつの」
「ってそっちはそっちでもうちょい落ち着け! 零してる!」
「? ぐちゃぐちゃだねぇ!」
「誰のせいだコラ!」
「プーちゃん?」
「何でだよ! 人のせいにすんな!」
「うるさいですよ、もう少し静かに食べなさい」
「十中八九こいつらのせいだからな!?」


***


 部屋に戻ってもモヤモヤとしたものは残ったままだった。引っかかる何か。しかしその正体がつかめない。

「高尾」

 呼べば、満腹になったからだろうか、ウトウトしていた高尾が目を瞬かせる。

「なぁに、伊月サン」
「……高尾は、幸せか?」

 予想外だったのだろう。パチリ、と高尾は大きく瞬いた。

「幸せって?」
「……さあ……」
「ふぅん? どうしたんですか、伊月サン」
「なんとなく」
「やっぱり痛い?」

 ペチペチと軽く頬を叩かれる。痛いというよりくすぐったかったが、それを言うのも何だか億劫だった。好きなようにさせてやる。
 しかしすぐに飽きたのだろう、触るのをやめ、隣に座り出した。彼は手持ち無沙汰だったのか丸いクッションを抱えて「うーん」と唸る。それからまたヘラリと笑った。

「あのね伊月サン。幸せとかよくわかんないですけど、伊月サンがいて、トラちゃんたちがいて、あと、えっと、おいしい」
「うん」
「でもね。伊月サン、痛そうだから、それはイヤ」
「……痛くないけど」
「そっかぁ」

 うんうんと高尾はうなずいた。要領がつかめないのはいつものことなので伊月も気にならない。

「あのねえ」
「……?」
「伊月サン、時々泣いてる」
「……泣いてる?」
「寝てるときねぇ、たまに泣いてるの。だから痛いの。オレはそれ、やだなぁ」
「……」

 相変わらずニコニコと笑いながらそんなことを言う高尾に、伊月はしばらく黙ったままその意味を考えた。考えて――分からなくて、思考を止めた。「そっか」と意味の無い言葉だけが零れ落ちていく。その間にもポロポロと色褪せた記憶が崩れていく。分からない。何も分からない。

「そ、っか」
「そです」
「それは……俺が悪い、かな」
「そうなの?」
「さあ……」
「――そうですね」

 ふいに割り込んできたのは、やはりというべきか、トラベリングだった。「あー」と高尾が声を上げる。嬉しそうにも聞こえるが、実際のところあまり意味のこもった声ではないのだろう。

「そうですね。あなたは確かに悪い。伊月俊」
「……トラベリング?」
「あなたに痛がる資格があるとお思いですか? ……あなたはそれを分かっていますね」
「……よく、分からないな」
「それは結構。そういうところも、あなたは卑怯で……私は、それを受け入れてあげますよ」
「……」
「そうやって苦しみなさい。――それがあなたの幸せだと思っているんでしょう?」
「……」

 伊月が答えずにいると、トラベリングは声を出さずに笑いそっと頭に触れてきた。伊月はそれをはね除けずに受け入れる。何だかよく分からなかった。分からないままでいたかった。ただ、――ただ差し出された手があるというそのことにどこかで安心していた。

「それではお休みなさい」

 そう言ってトラベリングが去っていった後も思考がグルグルと渦巻くが、それが表に出ることはなかった。伊月の表情はやはり動かなくて――だから何も、表に出ることもなく、ただただ渦巻くそれはやがて壊死していく。腐り落ちていく。伊月はそのことに気づかない。
 近くに寄ってきた高尾が伊月の腕を取る。

「伊月サン」
「……高尾?」
「いっしょ。一緒ですから。オレもね、伊月サンと、いっしょだから」
「……い、っしょ」
「うん。だから、えーと……うーん」

 軽く小首を傾げた彼は、無邪気に笑う。

「それって、幸せ?」
「……どうだろ? 分からないな」
「そっかー」

 何でもないことのように高尾が言うものだから、伊月も黙ってうなずいた。もう高尾は今の会話に興味を失ったのか、またウトウトとし始める。寝ようか、と言えばコックリうなずかれた。それをキッカケに伊月も気持ちのもやもやを覆い隠してなかったことにする。
 伊月を取り巻く状況は、ただただ分からないことばかりで――先ほど食べたコーヒーゼリーが、いやに苦く感じられて、やはり美味しくないなと伊月はひっそり思うのだった。


***


(近くて、遠い、届かない、その答え)
(苦みは、痛み)





意味が分からなくても「まあそれがうちのズガタカ鳥の目ちゃんだから(震え声)」と言っておけば何とかなると思い始めました。あ、ごめんなさい。あの、伊月さんすっげー書きにくくて大分後悔しているとかそんな今更なことは決して、ええ、あの、その、ごめんなさい。助けて。
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