【倭鏡伝】春に咲く花のように

フォロワーさんからお中元に桃を頂きまして!
これが非常にずっしりとした、甘くて美味しい桃でした(*´ω`*)
桃ってあんなにデリケートなんですね……
包丁握りながらあわあわしてしまいました。
や、やわらけぇ……怖ぇ……
でもうめぇ……

食べきれない分は家族におすそ分けと、
あと、(非常にもったいない気もしますが…!)ジャムとコンポートに(*´∀`*)
まだジャムとコンポートは食べていません。
ジャムは明らかに砂糖が足りなかった気ががが……美味しくできてるといいなあ。

あずささんの桃好きは、葉兄の桃好きの由来だったりします←←
ちょっと桃を食べた感動が大きかったので、葉兄と桃の話を書きたいなぁ(笑


と言いつつも今回は全然関係ない小話。

銀さんからちょっとしたリクエストをもらったので、追記に春樹と野田さんの話。
14話読んでないと意味が分からないですし、多少ネタバレになっちゃいますのでご注意をば。

興味のある方は追記から!


*********


「よぉ」
「……」

 日向春樹は一秒ほど相手の男を見やり、すぐさま視界から消去した。何もなかったことにして通り過ぎる。

「おい、なんだ、最近の子供ってのは挨拶もしないのか」
「……」

 相手の名は野田仁。くたびれた格好と無機質な表情がいかにも胡散臭い男だ。しばらくは不慮の事故――とでも言っておこう――による重傷のため入院していたが、悪運が強いらしい彼はさほど後遺症に悩まされることもなく退院してきたらしい。
 以前から春樹に付きまとい、「おかしい」という表現も生ぬるいような人格なのだが、入院したことで頭も正常になったかといえば決してそんなはずもなく。
 退院してからも彼は相変わらず――とはいえ頻度はさすがに減ったか――春樹のところへ神出鬼没に現れるのだった。

「なあ、今日は休日だ、そしてその荷物。買い物に行ってきたんだろ」
「ついてこないでくれませんか」
「当たりだな、うん」
「会話しようという気あります?」
「お互い様だろ、それは、なあ」
「……」

 否定もできずに黙り込む。それにしたってこの男のしゃべり方はどうにももどかしく、癪にさわるというものだ。

「おい、そうだ、荷物持ってやろうか」
「結構です」
「非力そうなくせに」
「喧嘩売ってます?」
「俺は見たままを言ったまでだぞ、仕方ないだろ」

 余計にタチが悪い。
 春樹はスーパーの荷物を抱え直し、あからさまにため息をついた。スーパーからの帰り道。この男をさっさと撃退してやりたい気持ちはやまやまだが、あまり目立つと近所でどんな噂が流れるか分からない。歯がゆいところだった。もしかするとこの男はそこまで読んで声をかけてきたのだろうか。だとしたらやはり悪質だ。

「とりあえず今日は相手をしている時間はありませんので」
「つれないなぁ、おい。笑ったら帰ってやるって」
「無茶言わないでください、不快指数がうなぎのぼりですよ」
「そんなわけあるか、まだようやく春ってくらいだろ」
「皮肉ですよこのやろう」

 やれやれとため息をつかれ、春樹の苛立ちはさらに増す。やれやれだなんてこちらの台詞だった。彼はいい歳をした大人のくせにまるで聞き分けがなく、駄々をこねるような真似をしてこちらを困らせる。いい加減にしてほしいというのが春樹の嘘偽りない本音だった。

「ちょっとくらい、いいだろ、それにほら、俺のおかげで泣けたようなもんだし」
「別に頼んでませんけど」
「笑顔が見たいわけだが、でもまあ、やっぱり泣き顔もいいよなぁ」
「それだけ聞くとただの変態ですよ」

 辛辣に言い捨て――しかし総合的に見てもただの変態であることを思い出す。救いようがない。

「あ」
「?」
「綺麗だなあ」

 のんびりとした声音で彼が見下ろしているのは、一軒家の庭先に植えられた花のようだった。ピンクや紫が入り交じった小さな花が長い草からひょっこり顔を出している。こうして色々なところで色とりどりな花が咲いているのを見ると、春だなぁと実感する。

「なあ?」
「……はい?」
「綺麗だよな?」
「ええ、まあ……」
「綺麗なものを見たら笑いたくなるよな?」
「あなたと一緒でなければ」

 そもそもこの男自身、「綺麗だ」と言いながらも表情がほとんど変わっていない。
 ばっさり切り捨てると、仁はつまらなそうに欠伸をした。歩くペースや口調は変わらずのっぺりとしたままだ。

「……ふぅん、まあ、いいけど」
「僕は良くないですよ」
「あの花、欲しいなあ」
「また無理矢理何かする気ですか。勘弁してください」
「やめたら笑うか?」
「残念ながら」
「ふうん」

 相も変わらず会話にならないやり取りを春の陽気に乗せ、春樹はさらに足を早める。花をじっと見ていた仁もふいに興味が失せたように視線を外してまた春樹の後ろを歩き、「ついてこないでくださいってば」と飽きそうなほどお馴染みの言葉を貰うのだった。


春に咲く花のように


(笑顔が見れたら、なんてまあ、贅沢なんだろうな。知らないけど)


*********


何故か最後だけ野田さん寄りの視点にズラしましたが、本当は分かりにくくなるからあまりやりたくないんですよね、こういう手法……
くそ、これも全部野田さんのせいだ(言いがかり

花はルピナス辺りをイメージ。
花言葉は「貪欲」「空想」「欲深い心」「母性愛」「いつも幸せ」「あなたは私の心にやすらぎを与える」だとか。
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