【腐?注意】面倒くさい子供とずるい大人

ええと、ええと。
追記に雰囲気SSぶち込んでおきますが。
若干、見方によっては腐向け……かなぁ……?
直接的なアレは全くないのであれでこれでそれですけれど。
篠崎さんこと「しのちゃん」のお宅の支倉さんを借りてます。
春樹と支倉さんのお話。



******


 僕を好きだと嘯くあの人は、僕に、その言葉を返させない。


「やあ春樹くん! 今日もかわいいね!」
「うるさいですよはげくらさん」
「一発目から強烈!」

 辛辣な言葉を投げかければ、何が嬉しいんだろう、相手――名前は支倉俊さんという――は顔を綻ばせて体をくねらせる。どこもかしこもつかみ所のない人で、僕はため息をつかずにはいられなかった。……どうしてこう、調子が狂うのか。それが少し悔しいだなんて、そんなのは今さらすぎる感情だ。

「ところでどうしたんですか? もう夕方ですけど」
「あぁ、そうそう。春樹くんに朗報!」
「?」
「じゃじゃーん」

 ぺかぺかとした笑顔で突き出されたのは、つるりとした細長い紙切れ。

「……チケット?」
「そうだよー。ほら、あのホニャララさんとやらの展覧会。春樹くん興味あるって言ってたよね?」
「えっ」
「え?」

 ホニャララって何だ、とツッコみたい衝動はあったけれど。それ以上に相手の言うことに驚いて、僕は何度か瞬いた。支倉さんとチケットを交互に見つめる。

「……言いました?」
「えぇー! 言った言った! 支倉さんと見に行きたぁいって言ってくれたじゃない!」
「それは嘘ですよね」
「ぶー」
「いや、ぶーじゃなくて」

 ため息をつけば、さっき以上にニコニコとした笑顔。その笑顔の裏で何を考えているのか、僕には全く分からない。
 ……展覧会の知らせを見て、行きたいと言ったのは事実だった。パッと目に入って、思わず独りごちてしまったのを覚えている。けど、それは。支倉さんに行ったわけではなかったし、そもそも本当に何気ない呟きの中で、ぽつりとこぼれてしまっただけの言葉で。それを聞いているだなんて、ましてや覚えているだなんて思いもしなかった。

「今度の日曜日、春樹くんは空いてる?」
「……空いてますけど」
「じゃあデートだね!」

 ――ド直球に言われ、僕の表情は今まで以上に能面になる。

「えっ、ちょ、春樹くん無表情怖い! ほらスマイル、スマーイル。俺のプリチーなスマイルを真似してごらん?」
「……何で、そういうこと、言うんですか」
「ん?」
「デートとか……」

 恥ずかしいにも程がある。穴があったら入りたい。掘ろうか。今から掘ろうか。
 だけどこちらの気持ちなど知りもしないのであろう支倉さんは、さらりと、けろりと、するりと言ってのけるのだ。

「そりゃ、春樹くんが好きだからね」
「――」

 その言葉がどんな意味を持つのか、僕は正直、ずっと分からずにいる。支倉さんの発する言葉はいつだって真っ直ぐで、だけど、その中身は彼と同じでつかみにくい。捕まえようとしたって、するりと巧みにすり抜けていってしまう。

「それで、どうかな?」
「え?」
「日曜日!」
「……そう、ですね」
「いやっふー!」
「!?」

 うなずいた途端、諸手を上げて飛びかか――いや、抱きついてくる。そのはしゃぎようは、まるで大きな子供そのもの。
 だけど、そうやって素直に喜ばれるのは悪い気がしない。だから。だか、ら。

「やったね! 俺ってば日曜日は春樹くんを独り占めじゃーん! がんばったね俺ー! 」
「支倉さん」
「うん? なになに? お兄さん、ジュースくらいなら奢っちゃうよ! なんたって大好きな春樹くんのためだからね!」
「……支倉さん。その、僕も……支倉さんのこと、す、――わ!?」

 それは、突然。ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫で――むしろ髪をかき乱された。それは思ったよりも強い力で、顔を上げていられない。

「ちょ、あの」
「うん、よしよし」
「そ、そうやって子供扱いしないでください!」

 そんな抵抗の言葉しか持てない自分は確かに子供かもしれない。だけど、だって。なんで。なんてタイミングで!
 そんなことをグルグルと考えながら無理矢理その手から逃れ――僕はハタと動きを止めた。
 夕焼けに溶ける赤い髪は、燃えるように切なくて。
 こちらを見下ろす瞳は、ただただ慈しみに似た優しさで溢れていて。
 そうして黙ったまま抱きしめる腕が、手が、大きくて。
 ――ああ。

「っ……だから、そういうの……ずるいです……」

 情けない言葉は白衣のポケットにでも吸い込まれてしまったのか。支倉さんは聞こえた様子もなく、どこか楽しげに頭を撫でてくる。その掌が夕焼けの日のように温かいから――僕は次の言葉を紡げない。
 ずるい。本当に、ずるい。

「……支倉さんなんて嫌いです」
「えー。俺、傷ついちゃうなー」
「知りません。嫌いったら嫌いです」
「春樹くんのイケズ!」
「……日曜日はジュース、奢ってくださいね」
「うんうん、お兄さん、奮発しちゃうよ!」


 僕を好きだと嘯くあの人は、僕に、その言葉を返させない。
 それがどうしてなのか。きっと子供の僕には、いつまでも分からない。
 それなのに溺れそうになるほど優しくて、それがとてもとても悔しくて。
 結局僕もまた素直になんてならないまま、日曜日も、その先もずっとずっと、中身があるのかも定かでない言葉を紡ぎ合うんだろう。
 ――本当に、嫌いになれてしまえばいいのに、なんて。
 そんなことを口にするのはなんだか悔しいから、やっぱり言わないけれど。


(面倒くさい子供とずるい大人)


********


春樹は相手によって相当キャラがブレるというか、対応が変わってくるキャラですが。
支倉さんの前だと何でか知らないけどツンデレに近い気がしますw他のキャラにはあんまりツンデレることはない気がするんですけどね……なんでだw

雰囲気漫画ならぬ雰囲気SS!
正直書いた自分でもよく分かってません。ホモォ……なのかそうじゃないのかすら、割と曖昧。
何とな~~くのイメージでは

支倉→春樹
に見せかけた
支倉→?←春樹

なわけですね。いや「わけですね」って言われてもイミフですね。「?」って何だよ。いやほんと何だよ。
そして本当はもっと違う雰囲気のものを目指していたんですが、怖気づいたあずさはマイルドに地味にまとめることにしたのでした。

今回書いたSSでは、支倉さんの「好き」と春樹の「好き」が同じなのかどうかすら、多分、本人たちも分からない。
まあお互い嫌いじゃないのは確かでしょうけれど。
どこまで近づいていいのか、そういうのも全部ぜんぶ、分からなくて、知りたいけれど分かりたくなくて、
気持ちと言葉がバラバラでちぐはぐなような、そうでないような、
そんな曖昧で朧すぎるやり取りをさせたかっただけです。
後書きすらイミフなのはあずさクオリティ。
とりあえず雰囲気SSだもんよ。仕方ないよ。うんうん。

何はともあれ支倉さんはモテモテですからねー(´∀`)仕方ないね、何もかも

そんなわけでどんなわけで、支倉さんを好き勝手にお借りしてしまいました。
すいませんでした、ありがとうございました!
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