【没】黄昏時のかくれんぼ‐4‐【ネタ】

もう前置きもいらないんじゃないかというくらいのあれですね!あれですあれ!
没ネタのくせになかなか終わらないね、おかしいね、どういうことだろう(しろめ

しかも今回、キレイに切れる場所がなくてですね……ナンテコッタイ。


※没ネタ
※そのため中途半端なところで続かない
※分かりにくい
※一応、倭鏡伝
※時間軸が何故か1年後(春樹中2、大樹中1)

↓今まで↓

【0】

【1】

【2】

【3】


*****


 あらかたの事情を葉に報告し、共鳴している鏡の心当たりを尋ねる。
 その結果は予想以上に早く出た。
 やはり共鳴は特殊な現象のため、反応としては顕著に分かるものらしい。

「大体範囲は絞り込めたな。ここからは少し離れるがお前らなら行けるだろ」

 そんなあっさりした言葉と共に渡された地図には丸く朱色の印がつけられていた。
 丁寧な円のため、恐らく葉が書いたものではないだろう。

「ありがと、葉兄」
「それくらい大した労力じゃねぇよ。こっちに何人も紛れ込んできたっていうなら倭鏡としても問題だしな……。お前らに行ってもらった方が俺も助かる」
「葉兄もオレらのすごさを認めたか?」

 にんまりと笑みを向ける大樹。
 刹那、葉の指が大樹の額を鋭く弾いた。

「っつぅ……!?」
「はははチビ樹は相変わらず可愛いなあ」
「言ってることとやってることが違うじゃんかぁ!」
「愛の鞭だ」
「どこがだよ!? てかオレは可愛くねぇ!」
「まあそれはどうでもいいんだけどな」
「うがあっ」

 よほど痛かったのだろう、額を押さえながら大樹が喚く。
 声変わり前特有の甲高さで喚かれるのは耳に響くのでやめてほしい。
 しかし憤然とした表情の大樹を見る葉は非常に楽しそうだった。
 元々険しい眼を細めて笑うさまは、慣れない者が見れば邪悪と判断するかもしれない。
 ――兄の愛情表現はどうも歪んでいると、春樹は常々思う。

「ま、日本と倭鏡の両方に関わる問題ならお前らが適任なのは確かだ。しかも行方不明になった奴の何人かは知り合いなんだろ? 行方不明者かどうか、直接顔を見りゃ判断出来るわけなんだから手っ取り早いよな」
「全員は無理かもしれないけどね」
「行方不明者が何人いるのか分からねぇのが面倒だな……」
「うん……バラバラに彷徨っていたらややこしくなるよ」
「ま、そのときはこっちでまた考える。てなわけで春樹、頼んだぞ」
「うん、分かった」
「ちょっ、オレも行くのに!」
「チビ樹は記憶力悪いからなあ?」
「んなぁ!? 葉兄なんか目つき悪いくせにー!」
「あぁ?」

 ――相変わらず二人が揃うとやかましい。

 春樹は投げやりに肩をすくめた。
 昔は困惑しながらも止めようと躍起になったものだが、いつからか放っておけばいいと分かるようになった。
 大樹はいつでも本気だろうが葉にとっては軽いレクリエーションのようなものなのだ。
 止めたところで効果はない。こちらの体力と気力が存分に削がれるだけだ。

 案の定、葉は軽く大樹をあしらいながら笑っている。
 ふとその表情が別のものに変わった。
 面倒くさそうな、それでいてどこか明るいもの。

「あー、それと。いくら何でもお前らだけに行かせるのも問題だからな。遅れるかもしれないが護衛もつけてやる」
「護衛?」
「所帯じみてて自覚が薄いだろうけどお前らも一応王家だからな。護衛もなしに遠出させたら俺が城の奴らに怒られる」

 王としては微妙に威厳のないことをことさら楽しげに述べ、葉は口角を吊り上げた。

「ま、楽しみにしてろ。とっておきのをつけてやるから」

 これが、前日――カエデと倭鏡や神隠しについて話をした日の出来事である。

 その後一度日本の自宅に帰り、翌日。
 春樹たちは朝早くから倭鏡にやって来た。準備を整えてからの出発である。

「春ちゃん、大ちゃん」

 城を出ようとしたところでふいに呼び止められ、二人は揃って振り向いた。
 そんな二人に向けられたのはにこやかな笑顔。

「母さん」

 やや意外に思いながらも改めて向き直る。
 大樹は素直に喜んだようでパッと顔を輝かせた。

「母さ、」
「行ってらっしゃい!」
「うわっ」「ぎゃ!?」

 突然のタックル。もとい抱擁。ぎゅうぎゅう、

「ちょ、あの」
「せっかく会えたのにもう行っちゃうなんて寂しいわっ」

 ぎゅうぎゅうぎゅう。

「ぐっ……」

 腕の力は緩むどころかますます強くなっていく。春樹はもがいた。

 ギブ!
 ギブギブ! これはまずい!

「か、母さん……くる、し」
「あら。男の子なのに」

 ものすごく関係ない! 男も女も窒息すれば死ぬ!

「ふふ、冗談よ」

 何が!? どこが!?

「ごめんなさい。久しぶりだったものだからつい嬉しくなっちゃって」

 恥じらいを隠すような微笑みと共に、ようやっと肺に酸素が送り込まれる。
 春樹は慌てて新鮮な空気を出し入れした。
 大樹の抱きつき癖は、絶対に母から色濃く受け継いだものだ。違いない。
 その大樹も母には敵わず、ぜぇはぁと必死に生を確保している。
 それでも比較的早く彼は顔を上げた。さすが野生児だ。回復が早い。

「母さん、城に来てたのか?」
「ええ、昨日来たの。そうしたら葉ちゃんから、春ちゃんと大ちゃんがちょっとしたお仕事をしに行くって聞いたからお見送りしようと思って」
「ちょっとしたお仕事、ね……」

 ニコニコと少女のような無邪気な笑みの母に苦笑する。
 実際、母――日向百合は、まるで少女のような女性だった。
 三児の母とは思えないほど気持ちも体も若々しい。
 夫の日向梢(しょう)と今でも新婚気分というのか、子供の春樹たちが何となく居心地の悪さを感じそうになるほど乙女全開な人なのである。
 しかし乙女ながらもやはり母親、子供たちを蔑ろにすることはない。
 いつもフワフワとした笑顔でおっとりと自分たちを見守っている。

「二人とも頑張ってね。お土産、楽しみにしてるわ」

 ――おっとりしすぎの節もある。
 仮にも異変の起こっている場所へ赴く子供たち――しかも見方によっては確かに「仕事」をしに行くとも言える――にお土産を期待するとは。

(まあ、異世界の王様と結婚しちゃった人だもんね……)

 どこかズレていた方が説得力があるかもしれない。

「母さんはこれから病院?」
「ええ。お父さんが待ってるから」
「そっか。父さんの体調はどう?」
「ふふ、大丈夫。元気すぎて大変なくらい。春ちゃんたちに会いたがってるわよ? 暇なときにピクニックに行かないか、ですって」
「病人の台詞じゃないよね、それ……」

 父らしいといえば父らしい台詞に肩の力が抜ける。

 前代の王である父は、現在、近くの病院に入院している。
 二年ほど前に一度倒れたことをきっかけに、葉に王の座を譲り、そのまま病院で過ごすことになっていた。
 今では病室が自室のような暮らしぶりで、百合の他に患者たちともコミュニケーションをとっているそうだ。

 ちなみに当時、葉は不謹慎ながらも「面倒くせえ」と断ろうとしたのだが、さすがの彼も両親の奇妙な迫力には屈せざるを得なかったらしい。
 そのことを思い出すとき、彼は決まって遠い目をする。
 「あのときの親父が病人でお袋が女だなんて信じたくねぇな」とこぼしていたが、果たして何があったのか。
 見当もつかない。つけたくもない。

 しかしこうもあっさり息子に継がせる梢も大物といえば大物だ。
 まだ当時の葉は十七か十八だった。
 確かに葉は幼い頃から城に好き勝手に出入りしていたため、父から仕事に関して多々触れさせられていた。
 何より周りには頼りになる家臣が多くいた。
 実質的に倭鏡を導く役目を負っていたのは彼らだ。
 とはいえ、やはり豪胆すぎる決断だったといえよう。
 倭鏡は現在の日本と違い、王に限っては世襲制なので自然の流れではあるのだが。

「今回のが終わったら遊びに行くぜ! な、春兄♪」
「うん、そうだね」
「本当に?」
「お邪魔じゃなければだけど」

 春樹にしては珍しく冗談めかすと、百合は「やあね」とこれまた嬉しげに笑った。
 いちゃつきぶりに自覚はあるらしい。
 はにかむ仕草は彼女のフワフワした空気も相まってやはり少女だ。
 これがわざとでないのだから恐ろしいような、微笑ましいような。
 何の揺らぎもなく愛し合っているのだろうと伝わる両親の様子には、春樹の方がむず痒くなることがしばしばある。
 ある意味幸せな悩みかもしれない。

「……本当に、楽しみに待ってるわ」

 穏やかに微笑んだ百合の瞳は「母親」のソレだった。
 春樹、大樹と柔らかく頭を撫でる。
 頭を撫でられるような歳ではないので恥ずかしさもあったが、あえて振り払おうという気にはなれなかった。
 葉にやられたら絶対に噛み付いたであろう大樹も黙ってそれを受け入れている。
 それは母の手があまりにも優しかったからかもしれない。

「私も、お父さんも。あなたたちとゆっくり話せるのを楽しみにしてる。だから気をつけて行ってきてね。美味しい料理を作って待ってるわ」
「……母さん……」
「ん、頑張る!」

 春樹と大樹は揃って笑顔を向けた。
 ――やはり母とは偉大というべきか。敵う気がしない。敵おうという気も起きない。

 しっかり百合と「行ってきます」の挨拶を済ませ、二人は出発することにした。
 葉いわく、やはり護衛は遅れるとのことらしい。
 なぜ護衛にこれほど時間がかかるのか不思議でならないが、春樹も大樹もあまり気にしなかった。
 そもそも二人は護衛をつけて出歩くということに慣れていない。
 れっきとした日本の学生でもある彼らは頻繁に倭鏡に来るわけにもいかなかったし、護衛が必要だと思うほど遠出をすることは多くないのだ。
 葉には「所帯じみている」と揶揄されたが、あながち嘘でも冗談でもない。
 タイムセールに燃える王家の人間は果たしてどれほどいるのだろうか。

 ともかく春樹は王家であるという自覚はあるものの実感に乏しい。
 大樹に限っては自覚すら怪しい。
 よって甘い考えだと分かっていながらも、護衛がいない方が落ち着く。これが正直な気持ちだった。

 それに――。

「セーガ」

 短く発された音と共に、静かに現れた影。

 それは一見犬のようだった。
 体長は春樹と同じほどの、しなやかな身を漆黒に染め上げた一匹の犬。
 見るからに違うのは、その背に備え付けられた大きな翼。
 これもまた吸い込まれそうなほどの漆黒だ。

 ソレは眼を細めた。
 恭しく春樹へ頭を下げたかと思うと、顔を上げた瞬間には口元に笑みが張り付いている。
 非常に人間くさい表情だった。

〝御主人。久しぶりだな〟
「うん、久しぶり。調子はどうかな」
〝いつも通りだ〟

 それは頼もしいとばかりに春樹は微笑んだ――のだが大樹に突き飛ばされそうになり、反射的にその表情を引っ込めた。
 全くもう。

「セーガ! 久しぶりー! 元気だったかっ?」
〝ああ。坊主も相変わらず元気だな〟
「坊主ってゆーな! でもマジ元気元気!」

 大樹の会話はどうも中途半端に繋がっていない。春樹は苦笑した。

「大樹、落ち着け」
「だってセーガだぜセーガ! 春兄、頼んでもあまり会わせてくれないし」
「人前で出せるわけないだろ。出す必要もそれほどないし」
「むうー」

 素っ頓狂なことを言う大樹をたしなめる。春樹は改まってセーガに向き直った。

 ――異能。
 倭鏡の住人に与えられているもの。千差万別の不可思議な能力。
 春樹の場合はその能力が眼前にいるもの――つまりはセーガの召喚だった。
 セーガは春樹に仕え、春樹を護る。
 春樹にとって何よりも頼もしい護衛であり相棒だ。

 ちなみにセーガの言葉はふつう人に聞こえない。聞こえるのは微かな唸り声だけだ。
 それでいて大樹は嬉々としてセーガと会話をしている。

「うううオレもセーガほしいなあ」
〝坊主、無茶を言うな〟
「だってさぁ」
「……大樹、はしゃぎすぎて力を使いすぎるなよ。おまえってばすぐ配分間違えて倒れるんだから」
「ダイジョーブだってば!」

 そう、大樹の能力は人以外の声が聞けることだった。
 聞くだけでなく大樹から話しかけることも可能だが、それは力の消費量が激しい。
 よって春樹は控えるよう注意しているが、悲しいことにこの弟はころりと注意を忘れてしまう生き物だった。
 それどころかうっかり道端で猫や犬に話しかけてしまうこともある。
 倭鏡でならともかく、日本でそれをやれば「怪しい子」でしかない。
 動物好きなだけで大樹には何の悪気もないのだから性質が悪かった。しかし今さら言っても仕方ない。

「セーガ。これから行かなきゃいけないところがあるんだけど……僕たちを乗せていってくれるかな」
〝御意〟
「ありがとう。助かるよ」

 ホッと胸を撫で下ろすと、セーガのひっそりと苦笑した気配があった。

〝礼には及ばない。……むしろ、主人なんだからもっと堂々と命じてもいいくらいだ〟
「命令って何となく苦手で」

 誤魔化すように笑い、セーガの背へ跨る。
 大樹も嬉々と春樹の後ろへ乗り込んだ。
 それを確認したセーガが軽やかに跳躍をつけ、そのまま空へと羽ばたく。
 揺れらしい揺れはない、非常に安定した動きだ。

 春樹は遠くなる地を見下ろした。
 倭鏡には自然が多い。
 それは倭鏡の人々が自然を愛しているからというのも大きいが、何より異能の影響が大きかった。
 ここには火や水、電気などを操る者が多くいる。
 彼らは進んでその力を活かすため、エネルギーをむやみに掘り起こす必要性がないのだ。
 そのため彼らには自然を愛でる余裕がある。
 瑞々しい緑に澄んだ川、高々とした空は彼らの誇りでもあった。

 これから向かうところはさらに緑の密度が濃くなる。
 人口も少ない小さな村だと聞いているが――。


*****


何だか途中、読み返していて自分で違和感が……何だろう。淡々としているというか、うーん。さすが没になっただけあるというべきか。うむむむ。
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