【没】黄昏時のかくれんぼ‐2‐【ネタ】

最近パソコンを開く間もなく寝落ちていることが多いですw
明日にはサイトを少しいじれると思うので、いただきものを上げたいなぁ、なんて希望を抱きつつ。

そんなわけで黄昏ryの続きを投下!



※没ネタ
※そのため中途半端なところで続かない
※分かりにくい
※一応、倭鏡伝
※時間軸が何故か1年後(春樹中2、大樹中1)

↓今まで↓

【0】

【1】


*****


 翌日。
 昨日の謎は対処するには情報があまりにも少なく、こちらがどう推測しようと何も出来ない。
 そのため一旦忘れることにし、春樹はいつも通りの日常をこなすことにした。
 とはいっても、中学二年とは一般的に中だるみしやすいと言われる学年だ。
 一年生のときほど新鮮な気持ちもなく、三年生のように切羽詰まった受験もない。
 さらに残念ながら、春樹は青春の代表ともいえる部活動にも入っていない。

 そんなわけで春樹の主な日常とは掃除や洗濯、料理など一通りの家事に終始していた。
 両親も倭鏡に暮らしているため、現在は春樹と大樹、二人暮らしのようなものなのだ。
 大樹に家事をやらせると春樹の寿命が縮むため、専ら主夫を担当するのは春樹となっている。

 春樹は慣れた手つきでひとまずの家事を済ませ、朝は学校から出された宿題の大半を片付ける。
 昼頃になって春樹はようやく、図書館にでも行こうと家を出ることにした。
 ちなみに大樹は朝早くから友達と遊びに出掛けている。
 昨日までは部活動で動き回っていたというのに呆れるほどの体力だ。

 外に出ると今日も実に快晴だった。
 鬱陶しい熱気は嫌になるものの、これほどの天気なら大樹がウキウキと出掛けに行った気持ちも分からないではない。春樹は彼ほど元気に動く気にはなれないが。

「春るん!」
「……はい?」

 いちいち大樹と自分を比べながらぼんやりしていた春樹は、突然の大声に思わず足を止めた。
 相手は分かっている。なにせ道中で「春るん」などと恥ずかしい呼び名を叫ぶ人物は限られている。

「先輩」

 振り返って呼ぶと、呼び止めた木村、そして隣の林がホッとした表情で駆け寄ってきた。
 だが、普段は木村・林・森本と三人セットで行動しているはずの彼女らが二人しかいないことに違和感を覚える。

「先輩……どうしたんですか? あれ、今日は講習じゃ」
「あのね春るん! それどころじゃないの!」
「はい?」
「美香がいなくなったの」
「……え?」

 思いがけない言葉。
 春樹は目を丸くしたが、彼女たちの表情は真剣だった。

「昨日、あの森に三人で行ったの。ちょっとした気分転換のつもりだったんだけど、途中で美香がいなくなって」
「あの森……って、火事のあった?」
「そう。ちょっと見てすぐ帰ってくるつもりだったんだけど……」
「こんなことになるなんて思わなかったの! 探したのにいなくて! みかりんのケータイにも繋がらないし、途中で帰るような子じゃないし、でももしかしたらと思って一度家に連絡入れたんだけどやっぱり帰ってなくて!」

 一応学校には行ったが、やはり森本は学校にも来なかった。
 そのため抜け出し、もう一度探すことにしたという。

「あの、警察には……?」
「美香の親が色々やってるみたいだけど、やっぱり落ち着いてられなくて」

 林が苦笑し、木村も力強くうなずく。

「春るんも気をつけるんだよ!」
「あ……はい」
「あと見つけたら教えてね」
「分かりました」

 話もそこそこ、木村と林は慌しく駆けて行ったが――。

 春樹は呆然とその後姿を見送りながら立ち尽くした。
 日光が痛いほど照りつけてくるが、今はそれほど気にならない。それよりも。

『神隠しって、知ってる?』

 ――まさか。

 春樹は緩く首を振った。
 いくら何でも昨日の今日でそれはない、安易すぎる、短絡的だ、だってまさかそんな。

「ねえ」

 ふいに声がかけられ、春樹は反射的に振り返り――再び動きを止めることになった。
 同時に膨らむ疑問と、警鐘と、諦念。

「……あなたは」
「話、聞いてくれるかなぁ?」

 昨日の少女が昨日とほぼ同じところに立ち、にっこりと邪気のない笑顔で春樹のことを見つめていた。


 * * *


 厄介事をいかにも抱えていそうな少女の存在に春樹は頭痛を隠せなかった。どうしてこう。

「……こんにちは」
「こんにちは。愛想笑いとはいえ丁寧ね」
「いえ、それほどでも」

 褒められていないとは分かっていたが、春樹はあえてそれを流した。
 彼女が昨日、意味深なことを言い残して勝手に消えたことを忘れていない。
 その上、彼女の言葉を証明するかのように森本がいなくなったという。警戒するには十分すぎる相手だ。

「そうピリピリしないでほしいなぁ」
「心配性なんです、気にしないでください」
「そんなんじゃ毛根ごと死滅しちゃうよ?」
「余計なお世話です気にしないでください!」

 この先本当に毛根ごと死滅しようが、目の前の彼女には一切関係ない。
 もちろん春樹もそうなったら嫌ではあるが。

 ゴホン、とわざとらしく咳払い。
 春樹は改めて息を整えた。
 うっかりハリセンをかましそうになったが、まだよく分からない相手にそれはまずい。

「それより何の用ですか? ……森本先輩じゃ、ありませんよね」

 大人しさをアピールするかのような三つ網のおさげ髪、落ち着いた目元、春樹より若干低い背。
 見れば見るほど、やはり森本の面影が残っているような気がしてしまう。

 少女は嬉しそうに微笑んだ。
 放っておけば無表情になりそうな目元を柔らかに和ませる。
 それだけで森本の面影は唐突に薄まった。
 森本は誤解を恐れずに言えば、もっと得体の知れない笑みを浮かべることが多いのだ。

「うん、違う」
「……先輩のことは、知ってるんですか?」
「あらら、どうしてそう思うのかな」
「他人の空似と言い切るには似すぎですし、それに神隠しって……森本先輩がいなくなったことに関係があるんじゃないですか? 少なくとも何かは知っている、そう考える方が自然だと思うんですけど」
「お見事、名推理!」
「自分で言うのもあれですけど全然推理もへったくれもありませんよ」
「謙虚ねぇ」
「違います」

 どこかズレた返答をされ、春樹はあからさまに眉を寄せた。どうも誤魔化されている気がしてならない。

 春樹の様子に気づいたらしい少女は小さく笑んだ。
 クスクスと楽しげに、ギラギラと相手を見定めるかのように。

「……うん、とにかく話が出来て嬉しいな。あのね、実はお願いがあるの」
「お願い、ですか」
「そう。――ここは暑いし、場所を移しましょう。そうね、現場に行ってみましょうか。その先輩が消えたという森に」
「…………」

 逡巡。
 得体の知れない相手だが、果たして信じていいのだろうか。罠ではないだろうか?

 暑さを訴えるかのように蝉が鳴いている。
 じわじわと熱気が刺してくる。
 しかし少女は笑みを崩さない。じっとこちらを見つめてくる。

 春樹は根負けした。
 少女の話を聞かないことには進めそうにないし、――何より、確かに暑い。

「……分かりました」
「ありがとう!」

 パチンと手を打った少女が瞳を輝かせる。
 何がそんなに嬉しいのか分からず、春樹は片眉を上げるに留めた。

「お礼に何でも話してあげる。そうそう、倭鏡のこともね!」

 さらりと放たれた言葉に春樹はギョッとしつつも、あくまでもポーカーフェイスを保ったまま「そうしてください」とにべもなく述べた。
 少女の背後に厄介事がありありと見てとれる。
 溜息。

 もう、好きにしてください。

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