【没】黄昏時のかくれんぼ‐1‐【ネタ】

※没ネタ
※そのため中途半端なところで続かない
※分かりにくい
※一応、倭鏡伝
※時間軸が何故か1年後(春樹中2、大樹中1)

↓今まで↓

【0】



 平穏を求めるというのは、悪いことだろうか。


「かつてこの地は一つであった」

 澄み切った声音は、人通りの少ない通路で不思議なほど響いた。
 両手に買い物袋をぶら下げていた日向春樹は、その声につられて足を止める。
 振り返ると少女が一人、こちらを見て静かに佇んでいた。

「森本先輩?」

 その少女が自分の知る先輩の姿と重なり声を掛けてみるが――ふと、春樹は眉を寄せた。
 違う。顔の作りや今時珍しい三つ編みのおさげ髪こそ似ているものの、目の前にいる彼女の方が当人より大人びている。何より、ミステリーが好きだという森本は普段不気味なほど眼鏡を光らせるのだが、その眼鏡が見当たらないのも違和感に拍車をかけた。

「かつてこの地は一つであった。けれど今は二つ」

 再び口を開いた彼女に、春樹はますます疑心を募らせていく。

 今は夏休みの半ば、日暮れでも暑さを隠せない。
 夕焼けに笑顔を染める彼女を見ながら、この暑さにやられてしまったのだろうかと密かに思う。
 それならまだいい。しかし、ただでさえ数週間前に物騒なことがあった時勢だ。警戒をしてもしすぎるということはない。

 ここは住宅街であるが、ここからそう遠くない森が数週間前に原因不明の火事となり騒ぎになった。
 放火の可能性もあるからと、子供たちは学校の先生から注意を促されている。
 春樹の弟もそこで遊ぶことがあるので、春樹が保護者の気分丸出しで「嫌だな」と顔をしかめたのはつい先日。

 だから変な人と係わり合いになるのは良くない。
 そうは思う。思うのだが。

 春樹の足は動かなかった。
 怯えていたからではない。
 この道に自分と彼女しかいないのだから、相手が話しかけているのは間違いなく春樹に向かってだということと――彼女の告げる言葉の中身が、春樹の動きを封じ込めていた。

「あの」

 厄介だと頭の中で警鐘を鳴らしながらも相手と向き合う。
 すると彼女は微笑んだ。ひどく嬉しそうに。

「見つけた」

 それは先ほどまでの平坦な調子とはかけ離れ、感情が滲み出た言葉のようだった。

「……誰ですか? お会いしたこと、ありました?」
「良かったぁ、二つの地を繋ぐ人が本当に見つかるなんて」
「……もしもし?」
「ねえ。――神隠しって、知ってる?」
「…………は?」

 成り立たない会話に苛立ちを覚えるより、ますます不審に思う気持ちが込み上げる。
 とはいえ、いくら相手が年上だとしても春樹は男だ。
 同じ中学二年生の中では腕っ節に自信があるわけではないものの、恐らく彼女相手に力で負けることはない。
 不審者や変質者の場合は何とでもなる。

「春兄ー!」

 警戒を高めたところに緊張感の欠片もない声が飛び、春樹は拍子抜けして振り向いた。
 どん、と鳩尾辺りに衝撃が来る。地味に痛い。

「大樹」
「春兄、今帰りか? 買い物?」

 答える前に見下ろせば、返ってくるのは無邪気な笑顔。

「オレはやっと部活終わってさ! 試合形式ってやっぱ楽しいよなーっ。ちゃんと点も入れたんだぜ! 先輩にも褒められたっ。そんで明日から部活も休みだって。早起きしなくてもいいってことだよな? ゆっくり寝れるー! 春兄にも起きろって怒られない!」

 一方的に浴びせられる言葉の数々には、もはや意味があるのかどうかさえよく分からない。

 春樹は頭一つ分小さい大樹の顔をまじまじと見やった。
 彼は春樹より一学年下の弟だ。色素が薄いためやや茶色くなっている髪や、快活な瞳にコロコロ変わる表情、考えるより先に動く落ち着きのない身体、小柄なうえに幼い言動、そして何度注意しても直らないこの飛びつき癖。
 髪はどこからどう見ても黒く、背は標準、クラスでは委員長を務め一般的な「模範生」――要するに真面目であまり面白みのないということだろうが――として知られる春樹とは何かと対照的である。
 周りからも似ていないと言われるが、大樹が母親似で春樹が父親似だというだけで、れっきとした血の繋がりが存在する。

「今日の飯は? 何々?」
「大樹、落ち着けって。びっくりさせるだろ」
「へっ? ……びっくりって……誰が?」
「え」

 大きな目をさらに大きく丸くする大樹を見て、春樹は反射的に振り返った。

 ――いない。

 先ほどの少女の姿はどこにもない。
 変哲のない通路に突っ立っているのは春樹たちだけであった。
 気の早い街灯が点々と灯され始める。沈みつつある夕日が眩しい。
 揺らめく、地を這う影は二つ分。

「人、いなかった?」
「さあ? オレは春兄がいたから走ってきただけだし」

 大樹は嘘をつかない。正確にはついてもすぐにバレる。大抵どもりながら目を泳がせるからバレない方が不思議なのだ。
 しかし、今の大樹はどこからどう見ても自然だった。春樹は曖昧にうなずく。

 一体彼女は何だったのか。意味深な言葉の数々は何だったのか。なぜ、急に消えたのか?

『神隠しって、知ってる?』

 ――厄介だ。
 全くもって厄介だ。

 しかし放っておくわけにもいかない。理由ある予感を春樹はひしひしと感じていた。

「……大樹、行くよ」
「えー?」

 訳が分からないといった表情の弟の襟首をつかみ、ずるずると引っ張っていく。
 小柄な彼は軽いため、特に障害もなく引きずられていく。

「なあ春兄。行くってどこにだよ? 帰るんじゃねぇの?」

 ぴたりと、春樹は動きを止めた。振り返らずに呟く。

「倭鏡に、だよ」





 家の居間に堂々と佇む、大きな鏡。
 それは易々と春樹と大樹の全身を映し出していた。
 鏡に映る春樹の表情はやや複雑で、これから先の何かを憂えるかのように瞳を曇らせている。
 一方の大樹は意気揚々としていた。堂々と笑顔まで浮かべている。

 全く正反対の表情を映し出す鏡に溜息を一つ。
 春樹は隣に立つ弟に声をかけた。

「行くよ」
「おう!」

 やはり声の調子まで正反対である。
 それに苦笑しつつ、春樹は鏡に向かって手を伸ばす。
 ――刹那、ぐにゃりと空間が歪んだ感覚と共に、春樹の身は鏡の向こう側へと沈んでいた。





 目を開けるより先に、埃っぽいにおいが鼻についた。
 夏だというのに空気はひやりとしているが、肌に刺さるような冷たさではない。

 そっと瞼を持ち上げ、ぐるりと辺りを見渡す。
 薄暗い部屋に、これでもかというほどの大量の本。背後には大きく立派な鏡。

 春樹は唯一光が差し込む窓の外へ目を向けた。
 広々と続いていく緑の上を子供たちが駆け回っている。
 楽しそうに、平和そうに。その様子を何となく微笑ましく思って肩の力を抜こうとしたところ、

「危なっ!?」
「うわ!?」

 鏡から出てきた大樹が思い切り背中にぶつかってきた。
 まるでラグビー部のタックルで、春樹は思わず押し倒される。
 重い。痛い。そもそもバスケ部の大樹がタックルをかますのはおかしいではないか。

「大樹!」
「ごめんってば! いつまでも春兄が突っ立ってるとは思わなくて!」
「だからって突進してくるな!」
「来たのが久々だったから加減が分かんなくて! 早く倭鏡で遊びたかったし!」

 怒られた子供の言い訳は情けないものだった。春樹はわざとらしい溜息をついて起き上がる。節々が痛いが文句を言う気力も失せ、もう一度改めて周りを眺めた。

 倭鏡。
 地形も言語も日本とほぼ同じ、市場なども盛ん、ただ日本よりも断然緑の多いこの世界。
 地球とは違う、鏡を通して存在するもう一つの世界。俗に言う〝異世界〟。
 それがここ、〝倭鏡〟と呼ばれる地であった。

「あのね。僕たちは遊びに来たわけじゃ……」
「ほう。せっかく出迎えに来てやったというのにつれないな」
「ありがたいけど余計なことしなくても……って、え?」
「葉兄!」

 大樹の声が普段より上ずっている。春樹も勢いよく振り返った。
 いつの間にか背後に立っていた長身の男が、自分達を見下ろすようにして口角を上げている。
 お世辞にも人の良いとは言えない眼を意地悪く細めながら。

 男は二十歳前後に見える風貌をしていた。
 眼光に潜む鋭さは歳不相応なほど強く、一方で今のように笑っているとヤンチャな子供を彷彿させる。

「葉兄……いつの間に? ていうか何でここにいるわけ?」
「言ったろ。遊びに来たお前らを迎えに来てやったと」
「……恩着せがましいのはいつものことだからいいとして」
「失礼な。俺は謙虚だ」
「全人類に謝ってよ」

 少なくとも胸を張って言っていい台詞でない。

「っていうか遮らないでよ。それより葉兄はいつからエスパーになったのさ。〝力〟を使ったわけじゃないんでしょ? 僕たちがここに来ることなんて知らせてないんだから分かるはずが……」

 そこまで言いかけ、ふと言葉を止める。
 目の前でニヤニヤと笑っている男の服装は至ってシンプルなものだった。
 黒を基調とした、何の飾り気もない、動きやすさに特化した服だ。

「……サボったんだね」

 ジト眼になるのを止められない。
 逆に男の目元には嬉しそうな色が滲み出た。
 それはそれで不敵さが増し、薄暗い場も手伝って不気味にさえ思える。

「サボる? そりゃひどい。勉学に勤しんでいたと言ってほしいくらいだ」
「睡眠学習?」
「春樹。王様に向かってその態度はないんじゃねぇ?」

 言葉に反して、くつくつと楽しげな笑み。
 春樹は盛大に呆れを込めて男を見やった。
 目つきと口が悪いことで有名な、ついでに言えばサボり魔としても有名な――実の兄であり倭鏡を治める王でもある、日向葉を。

「そもそも睡眠学習なんてチビ樹と同レベルじゃねぇか。チビ樹と一緒にされるなんて俺の心は痛く傷ついたぞどうしてくれる」
「チビ樹って言うなぁ!」
「おお、いたのかチビ樹。悪いな、小さくて見えなかった。俺の背があと半分くらい小さかったらお前のことも見えたんだが現実は常に無情のようだ」
「な、も、何だよそれ!? 意味分かんねぇし!」
「チビ樹のチビ樹によるチビ樹たる所以ってこった」
「んなぁ!?」

 矢継ぎ早に浴びせられる言葉に大樹は混乱し、ろくに反論も出来ずに唸っている。
 それを見た葉はひとしきり笑い、窓から頑丈そうなロープを引っ張り出した。どうやらそこから出入りしていたらしい。

(やっぱりサボって外に出てたわけね……)

 兄の、そして王の奇行には溜息さえ勿体無い。

「で?」

 笑いを引っ込め、葉は手近な椅子に腰を下ろす。
 分かりやすいほど偉そうに足を組み、春樹たちを交互に見やった。睨めるような視線。

「遊びに来たわけじゃないなら何か理由があるんだろ。俺に用か? それとも親父たちか」
「……一応、葉兄に」

 呟かれた言葉は思いの外小さく、春樹はわずかに苦笑する。
 何だかんだ言いながらも、真剣になったときの兄の眼光には敵わない。
 この若さで王を務めている者故の威圧感というのだろうか。
 この時点ではまだ口調も荒く、決して王らしい気品などは感じられないというのに。

「俺に、だな」

 呟き返した葉は再び空気を和らげた。
 王にではなく兄である葉に、というニュアンスを感じ取ったらしい。春樹はホッとして口を開く。

「質問なんだ」
「質問?」
「日本に、僕たち以外に倭鏡のことを知ってる人って、いる?」
「……何だと?」

 葉の眉が跳ね上がる。
 対し、傍で聞いていた大樹はきょとんとした面持ちで瞬いた。
 春樹は慎重に言葉を選び取る。

「今日、知らない女の人が僕に言ったんだ。『かつてこの地は一つであった。けれど今は二つ』……って。それに僕のことを『見つけた』って、『二つの地を繋ぐ人』って。これって、倭鏡のことを知ってるんじゃないかなと思うんだけど」

 もう一度思い出す。
 春樹の知る先輩に似た――しかし、確かに異なる少女。
 一方的に言葉を投げかけ、気づかぬ内に姿を消してしまった。

 倭鏡は日本とは異なる次元に存在しているのだと言える。
 普通の者が知っている世界ではない。
 だが、少女の言葉を単なる出まかせと片付けてしまうには無理があった。
 出まかせだというのなら、それをなぜ春樹に言ったのか。

 それに出まかせだと言えないもう一つの理由がある。

「まあ、なんだ。外に倭鏡のことを知っている奴がいる可能性は限りなく低い。俺らが漏らさない限りは、の話だが。そもそも言って簡単に信じてもらえるような話じゃねぇ。ただし〝絶対〟とは言えないのも分かってんだろ? 何よりお袋の例がある」
「母さん? 母さんに何かあるのか?」
「母さんは日本人でしょ」

 ――そう、春樹たちの生みの親である母・日向百合。
 彼女は倭鏡の人間でない。日本の生まれだった。

 葉が低く唸る。
 自分らの母親は特殊な例だ。一般的には当てはまらないし、当てはまっていたなら倭鏡は今より混沌とするはめになる。だが、その特殊な例が母だけという証拠もない。

「なあー、よく分かんないんだけど。倭鏡の人間が日本に来たのかもしれないじゃん?」

 クエスチョンマークを浮かべまくっている大樹が口を挟んでくる。春樹は肩をすくめた。

「倭鏡には法があるの、知らない? 世界を渡るのは王家の者以外には禁止されてるんだよ」
「何で?」
「……チビ樹、お前、王家の人間じゃねぇだろ」
「何でだよっ」

 呆れた言葉にムキになって怒鳴ってくる。それは見るからに子供の反応だったが、春樹も葉と同じ心境だった。
 この弟は王家としての自覚が足りなすぎる。

「色々あるから省略するけど。倭鏡と日本……いや世界単位だから倭鏡と地球って言った方がいいのかな? この二つには相反するエネルギーがあるとされているんだ。だからね、本当のところは『行けない』んだよ。何らかの歪みが出来たり、本人に害が及ぶ可能性が高いから」
「ええ? でも母さんはこっちに来てるじゃん」
「そこがまだ曖昧なんだけど……地球から倭鏡に来る分には大丈夫らしいね。自由にってわけじゃないし、ちょっと手間がかかるけど。現に母さんがこっちに来ても何も起きてないし。ただ、『じゃあいいか』じゃ済まないわけ。前代の王の妻ということで大々的に母さんの存在は知られているし、それと同時に日本の存在も知られている。そうなると大樹と同じように、倭鏡から日本には行けないのかって思う人が出てくるだろ? 自分たちも行ってみたいって思う人もきっといる。だけど、さっきも言ったように危険があるから行けないんだ。だから法で禁止することにしたわけ」

 大樹が曖昧な表情でうなずく。しかしそれも一瞬。またすぐに大きく首を傾げた。

「あれ? でもオレらは?」
「だから王家の者以外は禁止ってことになってるんだろーが」
「あでっ」

 うんざりしたのか、葉は息を吐きながら大樹の頭にチョップを食らわせた。鈍い音がする。そこでまた言い合いが始まった。春樹はそれを投げやりにやり過ごす。

 ともかく、春樹たちは倭鏡と地球、それぞれの血が流れているということになる。
 それが影響しているのだろうか。相反するエネルギーの影響は相殺され、何の問題もなく二つの世界を出入りすることが出来ていた。

「ただまあ、チビ樹の考えが全くの的外れかは難しいところだぞ?」

 グリグリと大樹の頭を押しつぶさんとばかりに撫で回している葉が顔を向けてくる。
 春樹は眉を寄せた。大樹の悲鳴はさておき、無言で先を促す。

「何で行っちゃ駄目なのか知らない奴も中にはいるだろうし、たとえそれを知っていても悪影響があるなんて信じない奴もいるかもしれない。ま、今のところ倭鏡と日本を大っぴらに繋げているのはこの鏡だけだから可能性は低いと思うが」

 確かに、もしこの鏡を通して日本に来たというのなら、城の警備を思い切り疑う必要がある。
 仮にも倭鏡を治める王の住まう城だ。そこまで甘い警備ではないと思うのだが。

「というわけで考えられるのは四つだ。倭鏡の人間が法を破ってそっちに行ったか、日本で何らかの方法により倭鏡のことを知ったか……もしくは、倭鏡以外にも異世界とやらが存在するか。何の根拠もないただの戯言だったか。何にせよ害がないなら放っておいてもいいんじゃねぇか?」
「簡単に言ってくれちゃって……」
「俺には関係ねぇしな。面倒くせぇし」

 さらりと言ってのける。
 春樹はギリギリのところで脱力するのを避けた。
 彼はこういう男なのだ。口癖は「面倒くせぇ」で、自分が興味を持ったことばかりに凝った面を見せる。問題は起こされるより起こす方が好き。
 全くもって、よくこれで王が務まるものだと不思議に思うほど勝手な性格である。
 これで兄でなければ、春樹は出来る限り関わるのを避けていたに違いない。

「倭鏡の奴だったら葉兄の責任も大きいじゃんか、うひゃ、ひゃははははは!?」
「何か言ったかチビ樹?」
「やめっ、くすぐ、なっ、あは、はははは!」

 余計なことを言ったばかりに毎度いじめられる大樹だが、今日も懲りずに彼らしさを発揮している。
 春樹はお馴染みの光景を横目で眺め、深々と何度目かの嘆息を漏らした。いつもの光景だ。嫌になるほど。

「それにあれだ、この前近くで火事騒ぎがあったんだろ?」
「あ……うん」
「要するに変な輩が多いわけだ。案外お前に話しかけてきたのも単なる変質者かもな」
「葉兄の方がよっぽど変、あだだだ!?」
「チビ樹なんてうっかり踏み潰されるかもしれないから気をつけとくんだぞー?」
「痛いイタイ縮むっ、縮むー!」

 弟の悲鳴を素通りさせながら、春樹はしばし考え込む。

 火事。謎の少女。神隠し。
 ――だからどうしてこう、厄介な予感のするものばかりなのか。

(平穏が好きなんだけどなぁ)

 好奇心がないわけではない。
 色々なものに興味は持つし、未知が明かされるという点ではむしろ勉強さえ好きにもなれる。
 それでも刺激と心の安寧、二択ならば後者をより切実に求めてしまう。
 中学生にしてはいやに老成した考えだが、春樹はいつしかそんなことを思うようになっていた。
 倭鏡にいれば不思議な生き物に遭遇することもあるし、兄や弟に振り回されている毎日のおかげで刺激は昔から足りていたのだ。

 しかし唯我独尊な兄と紛うことなきトラブルメイカーである弟に絶えず挟まれている春樹は、ただただ――巻き込まれ体質である自分の身を客観的に振り返り、嘆かざるを得ないのだった。


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