【HCS】日向春樹【⑧】

【HCS】=春樹ちゃんシリーズ

<設定>
「倭鏡伝の春樹がもしも女の子だったら」
・セガ春ラブコメディ
・高校生
・セーガ擬人化あり

<発端>
唯夜「セーガの擬人化がイケメンすぎてつらい。春樹君を女の子化したらセガ春書けるレベル」
あずさ「書いてください」

<執筆>
・執筆者:唯夜さま
・サイト名:Useal Night Sky
・URL:http://sky.geocities.jp/free_night_sky/UNS/top.html

<執筆者から一言>
唯夜「ごめんなさい


※本編とは直接関係ありませんが、女体化・擬人化等が苦手な方はご覧にならないようご注意ください。
 この注意を無視した文句は受け付けられませんのでご了承ください。



今までのログはこちら↓

<written by 唯夜>
♭1
慌しい日向家の朝。
♭2
「割と違和感」
♭3
唯夜さんオリキャラ、里桜ちゃん登場。
♭4
甘々セガ春ここに極まり。
#番外1
里桜と日向兄弟。
♭5
シリアスってきた(`・ω・´)
♭6
渚がカッコイイだなんて。
#番外2
里桜視点にて。
#番外4
番外3の続きを唯夜さんにて。
♭7
「春樹」を巡って、世界が。

<written by あずさ>
#番外3
あずさが乱入。大樹ウラヤマ。

<written by 銀>
♭高校生プリンセス
※上記とは別設定です。

<drawn by 緋雨>
◆春樹とセーガ
◆大樹と里桜と、?


*****


 石突きの部分が発光している封御を片手に、春樹と大樹は走っていた。

「速い……」

 目の前、追いかける渡威のスピードは今までで類を見ないものだった。攻撃する気もないようで、ただ春樹たちの前に姿を晒しては逃げるのみである。

「このままじゃ埒が明かないわね」

 この状況を打開できる手段を、春樹は持っている。だが、昨日の一件から春樹は己の守護獣を信用できなくなっていた。
 ――兄さんのあんな強引な誤魔化しかた見たことない。もしかしたら守護獣のセーガのあの態度と、人型の時の『違う』って言葉がそこに関係しているのかも。
 だからと言ってこの状況で協力してくれないことはないだろうが、それでも極力呼びたくない。そういう心境だった。

「春姉! セーガは!?」

 大樹に言われ、やはり出さなければと思う。

「……セーガ」

 少しためらいながらも、彼を呼んだ。

「……」

 彼は現れると、何も言わず姿を変えようとした。

「待って!」

 それに制止をかける。セーガはおとなしく待ってくれた。
 彼に現状を掻い摘んで説明。今は守護獣姿のセーガの力が必要だということを伝える。

「お願い、できる?」
「御意」

 セーガが春樹と大樹を乗せられるくらいの大きさに変化する。大樹と並んでその背に乗り込むと、セーガの足は静かに地を離れた。
 ぐん、と加速する感覚。夜風が頬を撫でる。眼前では渡威が徐々に近づいている。もう少しで追いつく。

「止まってっ!」

 渡威が目と鼻の先というところで、その隣に人が一人現れた。
 ――黒ネコが人になった……?
 そんな力を持つ人間に、春樹は一人だけ心当たりがあった。

「尻尾っ!」

 歌月渚。渡威を使い、春樹たちを襲う張本人。その彼と直接まみえるのは、ずいぶん久しぶりだ。

「名前覚える頭もねぇのか、日向の末っ子は」
「んなっ! お前の名前ぐらい覚えてるよ!」
「じゃあ言ってみろ」
「えーと、かげつななぎさ!」
「‘な’が多い、バカチビ」
「チビって言うな!」

 気にしているのはそこだけか。緊張感のない会話に内心嘆息しながら、渚の行動を注視する。彼が出てきた時点で警戒レベルは振り切れるほどに上がっている。
 手に持った封御をわずかに上げて構えた。隣ではセーガが人型に変化する。

「そう警戒すんな……つっても無理な話か」

 渚の隣でじっとしていた渡威が、セーガを真似るように人型をとり始める。

「全部じゃないがな、こういう芸当ができる渡威もいるんだよ。あの妙なやつみたいにな」

 傍らの渡威の変化を見守りながら、渚は呟いた。あの妙な、とは恐らくもっちーのことだろう。

「それにこいつは特別でな。能力まで完全コピーだ」

 渡威の体が徐々に女性のソレになっていく。

「一応言っておくが、これの元の人間は無事だ。コピーするのだけが目的だったからな」
「どうしてそれが必要だったの?」
「どうして? そりゃお前とまともに会話するためだろ」
「会話なら、今だってできてるじゃない」
「こいつのおかげさ」

 頭部以外の再現が完了している渡威の、肩の部分を叩きながら渚は言う。

「お前の力が干渉してくるせいで、俺は生身じゃお前と会話することもままならないほど頭痛に苛まれるんだよ」
「力? 私の力はセーガ」
「じゃ、ねぇんだよ。なぁ、お前。そろそろ主の元に戻ったらどうだ」

 春樹には全く意味がわからなかった。言葉を投げかけられたセーガは微動だにしない。

「頑なだな、まったく。じゃあ嫌でも戻ってもらおう」

 滸、と渚が誰かの名を呼ぶ。
 春樹にとって、先ほどから意味がわからないことの連続である。『敵』とでも言うべき人間が現れ、それは自分と会話をするためだと言う。そのために特殊な渡威を用意したと。そしてセーガにあたかも『春樹』以外の主がいるとでもいうような口ぶり。
 ――何が起こってるの。
 春樹、大樹、セーガ、渚、渡威。誰もが大地に根を張ったように動かない空間に、土を踏む足音が一つ。
 月光が煌々と大地を照らす。夜気は涼やかだが、風はやや冷たく感じられる。そんな倭鏡の夜。
 本来なら心揺れる風光明媚な場所であるそこで、春樹は言い知れぬ不安を味わっていた。

「こういう、ことか」

 足音の主に殺到する五人の視線、十の瞳。

「滸……いや、もう滸ではいられないか」

 新たにやってきた人物は、困ったように、怒ったように、感情を綯い交ぜにした表情で渚に正対する。

「はる……にぃ?」

 大樹がうわ言のようにつぶやいた。そしてそれは、春樹の口からも出かかったことである。
 ――私今、あの人のこと……『春樹』って。

「……」

 渚をただじっと見つめて黙ったままでいる男に、見つめられている渚が近寄る。

「だんまりはよろしくないな。暫く会わないうちに、俺はお前が思う俺より短気になったらしい」

 至近まで迫ると、渚の右手が男の胸ぐらを掴み上げた。そのまま射殺すような目線で睨みつける。

「……」

 しかし、なおも黙りつづける男。

「なあ、お前ここに来たってことは、説明する言葉を持ってきたってことだろ!? 覚悟してきたってことだろ!? なんで黙ってんだ! そんなんじゃ俺は全く理解できねぇぞ!」

 男を激しく揺さぶって、渚が怒鳴る。何が起こっているのかさっぱり理解できない春樹は、しかしそこから動くこともできず、ただその光景を見つめていた。
 ――あの人は……。
 あの男は……。春樹はあの男を知っている、と思った。記憶の隅に引っ掛かる。記憶と姿に差異はあるが、面影は確かに知人を示す。
 ――でも、誰……?
 それだけが分からなかった。

「……」
「お前、なんでここにきたんだよ……」

 それでも口を開かない男の胸ぐらを放し、渚が悔しげに舌打ちをする。

「あてが外れたみたいだな。お前がそうまで意気地無しだとは思わなかった」
「ちょ、待てっ! 尻尾!」

 踵を返し、その場を去りかけた渚を大樹が追う。二人の背を見て、男は呟いた。

「セーガ」

 春樹の守護獣の名を、ただ静かに呟いた。
 ――“御意”
 そしてその声に、守護獣が応える。しかしそれは春樹が聞き慣れたセーガの声とは少し違っていた。
 春樹の隣で、人型のセーガの体が薄く光る。それは月光を吸い取っているかのように淡く、そして幻想的な風景だった。

「セーガっ!」
「やっと話す気になったんだよ」
「放せよっ! 尻尾!」

 いつの間にか戻ってきた大樹がセーガに駆け寄り、それを渚が止めている。春樹はセーガの隣で、ただ呆然としていた。そして漠然と感じていた。
 ――奪われる。私の……いや、嫌! 嫌!
 人型のセーガの胸から、黒い塊が現れる。それは、守護獣のセーガ。
 しかし春樹の頭によぎるのは、目の前の光景ではなかった。
 よぎるのは、夢の記憶と、そして……。

「あれは、二年前の春。新学期が始まる前に、僕ら兄弟は倭鏡に来ていた」

 ――そう、私たちは、倭鏡に来ていた。

「平和な日だった。いつもと変わらないはずだった」

 ――私もそう思っていた。でも、実際は少し違っていた。

「僕ら二人は、王城に入った盗賊に捕らわれた」

 言いながら、彼は自分と、そして春樹を指差す。
 滸の語る言葉に、徐々にぼんやりとしていた記憶が戻っていく。鮮明になっていく。
 二年前の春。王城の宝物庫。煌めく白刃。連れ去られる少年。叫ぶ自分。

「盗賊は僕らが王族だとすぐにわかったらしい」

 ――私たちを人質にした。
 いや違う、正確には『春樹』を人質にした。

「力を直視できる人がいて、僕らは力を使えなかった。近衛隊も、僕らが人質にとられていては何もできなかった」

 滸の言葉通りの記憶が、春樹の中に蘇っていく。

「いや……やめて……」

 映像が鮮明になると、激しく痛む頭。セーガが抜け出た穴を埋めるように、胸の中にわき出す何か。

「僕らは、僕は、盗賊が逃げるための人質にさせられた。二人もいては邪魔だと、彼女は解放されたよ」

 ――守りたかった。あの時、私は『春樹』を守りたかった。

「でも彼女はそれを良しとしなかった。僕の姉だったからか、僕を守ろうとしてくれた」

 ――人質は私が代わると、そう叫んだ。

「盗賊は取り合わなかった。彼らは脱出を優先した」

 ――私が『春樹』だったら……あの子はこんな怖い思いしなくてもよかったのに。

「彼女は僕を守るために、力を使った」

 ――そう思ったから私は、力を使った。

「そして、僕は消えた」

 ――そして、私は春樹になった。

「ただいま。僕が日向春樹だよ」


*****


あずさ「おかえりぃいいいいいいいぃいいい」



※補足?説明。
実は発足には途中経過がありまして。唯夜さんが3、4つ目辺りを書き終えた頃からでしょうか。

あずさ「いっそパラレルのパラレルで春樹(♂)も出て双子のキョーダイとかありっすかねwww」
唯夜「いただいた」
あずさ「Σ!?」

というやり取りがあり、急遽、シリーズに軌道修正がなされたのでした。
だから途中でシリアスが増え、そして怒涛のこの展開。

――あれ? もしかして「ラブコメ」に修正入れた方がいいですか?(´∀`)

しかしこの時のあずさ、二次創作のさらなる二次創作……みたいなノリで、つまり本当に「パラレルのパラレル」として冗談半分に口にしたというのに、
まさか、こうも見事に組み入れてくるとは……唯夜さん、恐るべし……。
続き気になるなチクショー><
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Author:あずさ
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二つ名:囁(アビス)
あだ名:エゴイスティックスケコマシ
四字熟語:好色生活
(※二つ名メーカー、脳内メーカー等による結果)
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