【HCS】胸と嫉妬の海嵐【番外③】

【HCS】=春樹ちゃんシリーズ

<設定>
「倭鏡伝の春樹がもしも女の子だったら」
・セガ春ラブコメディ
・高校生
・セーガ擬人化あり

<発端>
唯夜「セーガの擬人化がイケメンすぎてつらい。春樹君を女の子化したらセガ春書けるレベル」
あずさ「書いてください」
 ↓
唯夜「書いたんで何かください」
あずさ「じゃあ胸に埋もれる話でも」

<執筆>
・執筆者:あずさ
・サイト名:ゆらり
・URL:http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/2282/

<執筆者から一言>
あずさ「出張ってごめんなさい


※本編とは直接関係ありませんが、女体化・擬人化等が苦手な方はご覧にならないようご注意ください。
 この注意を無視した文句は受け付けられませんのでご了承ください。



今までのログはこちら↓

♭1
慌しい朝。
♭2
「割と違和感」
♭3
唯夜さんオリキャラ、里桜ちゃん登場。
♭4
甘々セガ春ここに極まり。
#番外1
里桜と日向兄弟。
♭5
シリアスってきた(`・ω・´)
♭6
渚がカッコイイだなんて。
#番外2
里桜視点にて。


■イラストログ
◆春樹とセーガ
◆大樹と里桜と、?


*****


「大くーん」

 学校の帰り道。
 友人と今日の体育で盛り上がった話や明日発売するゲームの話、同じく発売されるコミックの新刊の話など――周りから見れば比較的どうでもいい雑多な会話を繰り広げていると、背後から元気な声が飛んできた。
 その声に心当たりのあった日向大樹は確かめるべく体ごと振り返り、

「今帰り?」
「ふぐ!?」

 ――とたんに柔らかい何かを顔面に押し付けられた。
 柔らかいというのはそれだけで厄介なわけで、ソレはわずかな隙間もその柔軟性で埋め尽くそうと躍起になってくる。
 つまるところ息ができない。息ができないと苦しい。
 苦しいと死ぬ!

「む……っ、う、ううう!?」
「相変わらず身長伸びてないね」

 聞き捨てならないセリフが耳を刺激してくるがきつく抱きすくめられては抗議することもままならない。
 とにかく放せと明確な意思を示すがために相手の背中をどんどん叩く。
 しかし無茶な姿勢のせいで大した力は出せないし、それを分かっていて相手はクスクスと余裕の笑みすら浮かべているようだった。
 表情が見えるわけではないが普段の行動や性格から考えれば大樹にもそれくらいは想像できる。

「もう限界? だらしないなー?」

 楽しげに囁かれ、回されていた腕がわずかに緩められる。
 それとほぼ同時に大樹は勢いよく顔を上げ酸素を取り込もうと本能的に行動していた。
 苦しさに演技でも冗談でも大げさでもなく肩が激しく上下する。死ぬかと思った。殺されるかと思った。

「里桜っ」
「なぁに?」

 キッと睨み上げようとした瞬間、ぐいと相手――中塚里桜が顔を近づけてきた。
 必然的にまた里桜の腕に力が入ることになり、大樹は思い切り抱きしめられる形となる。
 しかしまた窒息させられそうになってはたまらない。慌てて腕を伸ばして少しばかりの距離をとった。

 ――それに。

 春樹と同い年の里桜は大樹の身長より数センチばかり高い。
 栗色の柔らかな髪はショートカットで、これほどの距離だとその毛先が顔に触れることになり何だか妙にくすぐったい。
 そして自分を見下ろす大きくぱっちりとした、しかしどこか気の強そうな力強い瞳にじっと見つめられると――何だかとてもソワソワして、どうしていいか分からなくなる。

 大樹は決して里桜が嫌いではない。
 大好きな姉の大切な友人であるし、ただ話す分には気さくで楽しく、一緒に過ごしやすい。
 だが、こういうふとした時に自分は彼女が苦手なのではないかと思うことがあった。
 それがどうしてなのかは、よく分からないけれど。

「と、とりあえずいー加減はなせよっ」
「え、もうちょっと」
「何なんだよぉお」
「んー、だって。大くんの下校時間に鉢合わせるなんてほとんどないし、これは運命かなって思ったわけ」

 そう言ってにっこり笑う彼女の笑顔は予想外に無邪気なもので、大樹はどこか拍子抜けすると同時にまた落ち着かない気持ちになった。

「う、まあ……でも、それならやっぱり放せってば! これじゃろくに話すこともできないじゃんか」
「大丈夫大丈夫、今もちゃんと話せてるじゃない」

 ――「ちゃんと」だろうか。果たして本当にマトモな会話になっているだろうか。大樹にはいまひとつ自信がない。

「それにそろそろ行かなきゃなのよね。ちょっと急がなきゃいけない用事があって……大くん、残念だけどまた今度ね」

 最後にもう一度力強くぎゅうっと抱きしめられ、例の柔らかいものをほぼ強引に押し付けられる。
 しかしそれもほんの一瞬で、彼女はすっきりしたかのように「ばいばーいっ」と元気に走り去っていった。
 まるで嵐のように訪れるのも去るのも唐突だ。
 元気やら体力やらをほぼ一方的に吸い取られた大樹は無意識に軽く手を振ってやりながらもぐったりと肩を落とす。

 と。

「……な、何だよ」

 今まで空気と化していた友人たちの冷たい視線が大樹をぐさぐさと遠慮なく突き刺していた。痛い。

「そりゃこっちのセリフだドアホ」
「んな!?」
「何お前一人でおいしい思いしてんだよっ?」
「おいしい……?」

 一体いつ「おいしい」思いをしたというのか。大樹は何も食べていない。苦しい思いならしたばかりだが。

「はあああ! お前ぇええ!」

 怪訝な顔をしていると盛大にその場にいた友人全員が絶望に打ちひしがれた叫びを上げた。
 大樹はぎょっとして後退る。

「だ、だから何だよ! 怖ぇよお前ら!?」

 正気に戻れよ、という大樹の願いにも似た思いは誰にも通じない。
 むしろいっそう彼らの熱はヒートアップしていくばかりだ。

「もったいねー! ろくに分かってねぇお前にあんなキレーなお姉さんの豊満な胸はもったいねー!」
「何でお前なんかにー! くっそーお前なんかチビのくせにー!」
「チビってゆーんじゃねえし!」
「あああちくしょう! こいつのどこがいいんだ! おい大樹、そこに直れ。お前を抱きしめさせろ」
「え、意味わかん……いっ、苦しいっつーの、ちょ、おま、に゛ゃあああ!?」
「どうだ? 間接的にでも何か味わえそうか?」
「いや、ただの大樹だわ。お姉さんのカケラもない」
「当たり前だろーっ!?」

 痛いほどに戻ってきた日常に先ほどの不安定な気持ちは消えてなくなっていく。
 こうして、里桜に関わるとなんだかロクな目に遭っていない気がする、と大樹の乏しい学習機能にもほんのりインプットされつつあるのだが――それでもなぜか邪険にすることはできないし、やっぱり嫌いになることなんかもできないのだった。
 友人と道端ではた迷惑な騒ぎをぎゃあぎゃあ繰り広げながらも大樹はそっと決意する。
 ――とりあえず次に抱きしめられても負けないようにしよう。
 具体的にどうすればいいかは分からないが、まあ、きっと何とかなる。

「何ニヤニヤしてんだよ、てめぇには素敵な姉ちゃんがいるだけで十分だろうがくっそー! 一人よこせー!」
「あだだだ!? はぁ? 何で春姉をやらなきゃなんだよ?」
「出たなシスコン!」
「この贅沢者ぉお!」
「あーもうっ、何なんだよさっきからー!?」

 ――撤回。
 里桜に勝つ前に、まずはやたらと執拗に絡んでくるこいつらに勝つことにしよう。


*****


あずさ「このシリーズの大樹は色んな意味で役得ですよね^q^」
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