【HCS】居ないアイツ【⑥】

【HCS】=春樹ちゃんシリーズ

<設定>
「倭鏡伝の春樹がもしも女の子だったら」
・セガ春ラブコメディ
・高校生
・セーガ擬人化あり

<発端>
唯夜「セーガの擬人化がイケメンすぎてつらい。春樹君を女の子化したらセガ春書けるレベル」
あずさ「書いてください」

<執筆>
・執筆者:唯夜さま
・サイト名:Useal Night Sky
・URL:http://sky.geocities.jp/free_night_sky/UNS/top.html

<執筆者から一言>
唯夜「ごめんなさい


※本編とは直接関係ありませんが、女体化・擬人化等が苦手な方はご覧にならないようご注意ください。
 この注意を無視した文句は受け付けられませんのでご了承ください。



今までのログはこちら↓

♭1
慌しい朝。

♭2
「割と違和感」

♭3
唯夜さんオリキャラ、里桜ちゃん登場。

♭4
甘々セガ春ここに極まり。

#番外1
里桜と日向兄弟。

♭5
シリアスってきた(`・ω・´)*****


 ――何故だ。何故いない。
 日向家に放った渡威は、あっさりと封印されてしまった。だが渚にとって、それは今どうでもいいことだ。
 ――アイツがいない。なのになぜ違和感がない?
 この世界は壊れてしまっているのか。それとも自分がおかしいのか。
 それはどうでもよいことではない。どちらにせよその原因を究明せねば、己が身に災いが降りかかることも考えられる。
 ――だから、調べたいのに。
 日向家の娘。彼女に近づくたび、渚は酷い頭痛にさいなまれ、退くことを余儀なくされるのだった。
 ――とにかく、何らかの力が干渉しているのは事実だろう。
 その何らかの力は、恐らく日向家の娘か、あるいはセーガとかいう守護獣の「人型」が原因である可能性が高い。
 だからこうして日向家を調べているのだが……。
 ――干渉してくる力が、やはり邪魔だな。
 その度に頭痛にさいなまれ、全く調査することができないのだった。
 渡威を放って調べるのも、持ち駒の関係上それほど回数をこなすことはできない。どうしたものか、と夜道を歩きながら考える。
 ――有用な能力を持つ倭鏡の人間を探すのが得策か?
 それで手を打ってみるか。

「しかし、いったい何が起こってるんだ」

 倭鏡に戻る算段と、有用な能力者を探す手段を考えながら無意識に呟く。渚はそれが意味のない問いであることに気が付き、ただ一言付け足した。

「……ふん」

 詮の無いことだ。求めていけば、調べていけば、答えは自ずから出るのだろう。ならば。

「俺はそのために動けばいい」

 ただ、動けばいい。


 ――なんだったんだろう、あの夢。
 名残惜しそうに帰って行く里桜を見つめながら、春樹はぼんやりと考えていた。
 昨晩見た夢。自分が消えてしまう夢。思い出すだけで怖い。
 ――本当に、リアルな夢だった。
 母に相談してみようか。ちょうど明日は倭鏡に行く日だ。月曜日が祝日なので、お泊りである。
 春樹は鏡の向こうの世界が好きだった。王族という立場のせいで里桜のように親しい友人はいないが、住民はみな春樹に優しく接してくれる。
 なにより、倭鏡には父がいて、母がいる。そして、兄も。

「仕事、手伝わされないようにしないと」

 葉のことを思い出すと、まず先に浮かぶことだった。

「春姉っ」
「なに?」

 リビングに戻ると、すぐに大樹がまとわりついてきた。この歳になっても元気が有り余って仕方ないらしい。

「遊びに行きたいっ」

 休日に言うことは、決まってこれだ。昔から変わらない。

「明日倭鏡に行くんだから、今日くらいおとなしくしてなさいよ」

 そんな大樹に苦笑しつつ、春樹はテレビの電源を入れた。ワイドショーが流れ始め、土曜の昼の定番となった顔がテレビに映る。

「えー、じゃあセーガ貸してくれよっ」
「だーめ、セーガはものじゃないの」
「つまんねぇ」

 いいじゃんちょっとくらい、と大樹は頬を膨らませた。ソファに座る春樹の周りをうろうろうろうろ、しきりに遊びたいなぁなどとつぶやいて回る。時に視線をちら、ちらと春樹に向けながら。

「あぁ、鬱陶しい! わかったから落ちつきなさい!」
「ホントか!?」

 それだけで、ころりと表情を変える大樹に苦笑が漏れた。全くこの弟には苦笑してばかりである。

「セーガに聞いてみるけど、駄目って言われたら我慢するのよ?」
「わかったっ」

 ダメなんて言われるわけがねぇ、と大樹の顔に書いてあるようだった。
 春樹が呼ぶと、セーガはすぐに姿を現した。守護獣の状態だが、春樹を見てすぐに人型になる。その眼にどこか寂寥がにじんでいるような気がしたが、ともあれ春樹は大樹との約束を果たすことを優先する。

「……と、いうわけなんだけど」
「御主人が命じるなら」
「命令なんてできないわ。これはお願い。だから聞いても聞かなくてもいいの」
「遊ぼうぜ、セーガっ!」

 セーガの返事を待たず、大樹はぐいぐいとセーガを引っ張る。大樹に連れられて、セーガは外へ消えていった。
 一人残され静かになったリビングで、見るともせずワイドショーを眺めながら春樹は先ほどの光景を思い出していた。
 呼び出したときの、セーガの顔だ。守護獣で出てくるので表情は判別しづらいが、何故だかとても寂しそうな、悲しそうな顔だったと感じた。そういえば、昨日渡威と対した時も同じ顔をしていたように思える。
 ――私、セーガにとっていい主じゃないのかな。
 その可能性は大いにある、と思う。セーガにとって春樹は主だが、春樹にとってセーガは従僕ではなく友だ。

『あんた、セーガさんのこと好きでしょ』

 そこまで考えて、昨晩の里桜の言葉が唐突に思考に割り込んできた。

『だって、手をつなぎたいって思ったんでしょ?』

 買い物に行った時の話を聞かれ、洗いざらい話した後のことだ。

『あんた杉里とか咲夜が近くにいるくせに、全然靡く気配ないしさ。告白されたのだって一回や二回じゃきかないじゃない。なのに一件も成立しないときた。誰だって怪しむわよ。そこへ今回の話。これで確定』

 そして、最初のセリフへ戻るのだ。

「セーガのことが、好き……?」

 呟くと、昨日セーガに抱きしめられたことを思い出す。体の熱が触れ合った場所に集中していく感覚。耳元で聞こえた低い声に、耳から体内を溶かされるような……。
 はたと、我にかえる。いつの間にか昨日の感覚に浸っていたことに、春樹は気恥ずかしさを覚えた。顔が熱い。

「掃除でもしよう」

 じっとしているとまた思い出してしまいそうで、春樹は忙しなく働き始めた。


 大樹とセーガが帰ってきたのは、夕方になってからだった。大樹はそのままだが、セーガは守護獣の姿で帰ってきている。

「ただいまー」
「おかえり」

 そっとセーガの毛並みを撫でようと思ったのだが、春樹が触れる前にセーガは人型をとってしまう。

「おかえり、セーガ」

 守護獣状態のセーガが妙に冷たく、遠く感じられて、知れず春樹の表情は曇る。

「御主人?」

 それを察したのか、セーガが春樹の顔を覗き込んできた。視界いっぱいに迫ってきたセーガの顔に、春樹は慌てる。せっかく家事をして無心になったのに、またあの記憶が首をもたげてきそうだった。

「どうかしたか?」

 慌てて顔を離し、なおかつそっぽを向く春樹に、セーガはいよいよ不振の色を露わにする。

「なんでも……ないことも、ない……かも」
「はぁ?」

 何でもない、と言おうとしたが、その瞬間に守護獣状態のセーガが頭をよぎる。こうして優しくしてくれる人型に聞いてみたら、何か分かるんじゃないかと思った。
 当のセーガは、煮え切らない春樹の返答に眉根を寄せている。

「ちょっと、きて」

 そんなセーガを、今度は春樹が引き連れて行った。

「ねぇ、人の時のセーガと、守護獣の時のセーガ、どうして態度が違うの?」

 春樹の部屋で、二人は向かい合う。春樹の質問にセーガはわずかに身を固くした。

「最近ね、守護獣のセーガがちょっと冷たくて、遠くなったなって思うの」

 セーガは黙って、春樹の話を聞いている。

「だけど、人のあなたは私にちゃんと接してくれる。どうして?」

 春樹はただ真っすぐにセーガを見つめて話していた。

「ねぇ、どうしてなの!?」
「……」

 いつまでも返答をくれないセーガに、春樹の声はきつく、荒くなる。決して大声ではないが、その剣幕には言い知れぬ迫力があった。

「私が、だめなの? あなたにとっていい御主人じゃないから?」

 セーガを見つめる春樹の眼が、潤む。そこから溢れる水分はすぐに眼に溜まり、大粒の涙が頬を流れた。それでも、春樹は真っすぐセーガを見続ける。

「セーガ、答えてよ」

 涙を流しながら、春樹は言った。その体を、セーガはただ無言で引き寄せる。

「……」
「セーガ?」
「違うんだ。俺は、違う」

 涙を流す春樹を、セーガはじっと抱きしめた。


*****


あずさ「渚がかっこいい……だと…… ノ)゚Д゚(ヽ」
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