倭鏡伝プチ番外2

飲んできました~。
2杯くらいしか飲んでませんけどねwww
色々とお話してきましたぜ……
先生の生きる時代は興味深かったです、タイプライターかっこよすぎるだろうwww

さて、しかし実際にはのんびり飲んでいるヒマがあるわけでもなく。
28日まで色々と余裕がないので潜るかもしれません。


その前にプチ番外の続きを投下していきますね(´∀`*)
置き土産にしてはしょぼくてサーセンw*****

これの続きです。

*****


 まるで人形のように動かなかった瞳が、微かに震えた。

「あ」
「……む」

 くぐもった声がし、それから徐々に瞼が持ち上がる。

「隼人くん。神田さん、起きたみたい」
「眠り姫のお目覚めだね!」
「近くで大声出さないの」
「Oh……春樹クンに母性を見いだしたよ」
「せめて父性と言ってよ」

 くだらない言い合いをしながら保健室のベッドに横たわった神田奈緒の姿を見下ろす。彼女はぼんやりとしたまま数度瞬いた。すぐには動こうとしない。おそらく現状を把握できていないのだろう。

「神田さん、大丈夫? どこか具合悪い?」

 心配になって覗き込むと、思いがけず無感情な瞳とぶつかった。気圧されて一瞬言葉を紡げなくなった春樹だが、彼女は気にした様子もなく起き上がる。

「ここは……」
「不思議な世界のラビリンスさ」
「隼人くんの発言がだんだん気持ち悪くなってるんですけど」
「春樹クン冷たいね、クールビューティーに路線変更かい?」
「一度たりとも狙ったことがないよ」

 隼人が口を挟むとまるで話が進まない。
 そのことに頭を痛めつつ、春樹はとりあえず奈緒に向かって笑ってみせた。

「えっと……ここは保健室。今、先生が会議に行っちゃったから留守番も兼ねてるんだけどね。神田さんは教室で倒れたんだけど、覚えてる?」
「いや……」
「隼人クンが打ち返した雑巾にぶつかっちゃったんだけど……大丈夫?」
「HAHAHA予想外の出来事だったね。本当に悪かったと思ってるよ」
「ああ……いや、大丈夫だ」

 奈緒はやはり表情を動かさずに答えた。
 おや、と春樹は意外に思う。話したことがほとんどないので知らなかったが、ずいぶん古風とでもいうか――堅いしゃべり方をするものだ。

「私が倒れたのは単なる睡眠不足と空腹のためだと思う。テスト中に睡眠をとったつもりだったが足りなかったのだな」
「……」

 神田さん、テストはお昼寝のためにあるんじゃありません。
 そう言いたくなったが言える空気でもなかった。春樹はぐっと飲み込み耐える。

「寝てないのかい? それはいけないね、睡眠不足は美容の敵じゃないか」
「新聞配達に手間取ったんだ、仕方ないだろう」
「新聞配達……?」
「……委員長は新聞を読まないのか」
「え、いや、新聞は知ってるけど」

 不思議そうな顔をされたので慌てて否定する。新聞が何なのかは知っているし、しょっちゅうではないが時間のあるときに一面、二面程度なら読んでみることもある。それに新聞配達という仕事があるのも分かっているつもりだ。
 気になるのは、彼女がソレをしているということで。

「神田さん、アルバイトしてるの?」
「ああ」

 淡々と答えられ、春樹は表情を曇らせる。

「アルバイトって禁止されてなかったっけ?」
「さぁ? オレは生徒手帳なんて落書き用にしか使ったことないからね!」

 それは生徒手帳も浮かばれない。

「私もあまり気にしたことはなかったな」
「神田さん……」
「まあまあ、春樹クンもそんなに規則については強く言えないだろう?」
「え」
「財布。持ってきてるじゃないか」

 固まった春樹に向かい、にっこりと爽やかな笑顔。
 それはそれは憎たらしいほどで。

「……え、あの、隼人く……」
「うん、タイムセールスに間に合うには仕方ないんだよね!」
「わあああ!? ちょ、何でそこまで知ってるの!?」
「春樹クンってチラシ見るの好きそうだよね」
「あーあーあー!」

 耳を塞ぐ。こうも突然に無情な現実を突きつけられたくはない。
 確かに安くなっているとちょっとときめいてしまうけれど! ワクワクしちゃうけれど!

「HAHAHAその辺のマダムみたいだね」
「隼人くん、僕、うっかり消毒液を上からぶちまけてもいいかな」
「Oh! そんな金銭感覚もしっかりした春樹クンが素敵だよ、I love you!」
「ありがとう」

 能面のような笑顔――この場合は決して間違った表現ではないはずだ――を向け、それから春樹はすぐにため息をついた。
 だから違う。そんな話をしたいのではない。

「ていうか、神田さんも怒っていいんだよ?」

 ぼんやりやりとりを見ていた奈緒に苦笑してみせる。
 すると奈緒は変な顔をした。首を傾げる。

「怒る?」
「あの……意味分かんないことで騒いでたりしちゃったし。その、そもそも雑巾をぶつけられたんだし」
「オレも反省してるよ、だけど許せないというのなら君の感情を丸ごと受け止めてあげようじゃないか!」

 隼人が大げさに腕を広げる。
 こういうことをされた場合の反応は大きく分けて二通りだ。
 隼人はハーフだということも関係しているのか身長が高く、顔立ちも整っている。それを好ましく思う女子も多いので、そういう人たちは照れたり恥ずかしがったり喜んだり――ともかく好意的に受け入れる。しかし中身がいかんせんふざけているので、大方の男子や見た目に惑わされない女子は呆れることが多い。
 しかし、奈緒はそのどちらでもなかった。
 ふむ、と彼女は平坦な調子で呟く。隼人の大げさな行動などまるでなかったかのように。

「今は怒る場面だったのか……」
「……神田さん?」
「スルー? これが噂のスルースキルってやつかい?」

 奈緒は軽くかぶりを振った。

「ああ……いや、すまない。私はどうも感情というものに鈍いらしい。嬉しいというのがどんな気持ちのことを指すのか、理解できていないんだ」
「え……?」
「それでもこういうときに怒るんだろうとか喜ぶんだろうというのは何となく分かっているつもりだったが……やはり上手くはいかないな」

 そういうものなのだろうか。
 周りにはあまりいないタイプで春樹は少々面食らった。あえてあげるなら蛍が近いタイプかもしれないが、彼は感情を表に出すのが苦手なだけで意外と喜怒哀楽ははっきりしている。オーバーすぎるくらいの隼人などは似ても似つかないだろう。

「今何時だ?」

 呆気にとられている春樹と隼人を気にした風もなく奈緒が周りを見回す。時計はベッドから見える位置にはなかったので、ひょいと隼人が上半身をそらして確認した。

「四時になるね」
「……バイトに間に合わなくなるかもしれない」

 わずかに表情を曇らせた彼女はそそくさとベッドから抜け出し準備をする。

「あの……神田さん。夕方もバイト、なの?」
「……親戚の手伝いのようなものだ。規則違反というほどのことじゃない」
「何でそんなに……?」

 素朴な疑問だった。そうまでしてお金を稼がなければいけない状況なのだろうか。
 奈緒は一度動きを止めた。こちらを見る。その瞳はやはり無感情で、まるで動くはずのない人形に見つめられているような居心地の悪さを感じさせる。

「……父が借金を残して愛人と逃げた。母は病気がちで弟は幼い。少しでも足しになるものがないとやっていけない」

 あくまでも淡々と呟いた彼女は、鞄にしまおうとしていた本を春樹に手渡した。

「すまないが時間がない。これを図書室に戻しておいてはくれないか」

 春樹が返事をするより早く、彼女は身を翻し――急いでいるようには見えないのだが隙がない――保健室を颯爽と出ていった。
 見送った隼人が口笛を鳴らす。

「Cool! あれがヤマトナデシコってやつかい」

 ずいぶんと無愛想な大和撫子だ。
 春樹はため息をつくだけで返事をしなかった。とりあえず怪我もなかったようなのでそれで良しとしよう。変わった子だったがそれもまた個性というものだろう。

「ところで何を渡されたんだい?」
「学校の本だね。そういえば神田さんって、教室より図書館で見かけたことの方が多かったような……、あれ?」

 春樹は手渡された本を見、それから数度瞬いた。
 ――これは……。




**********


私の書く女の子はどうして可愛くならないのでしょうか(´Д`;)
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